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グローリアオンライン  作者: テイク
第二章 ハザマの夢
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第五話 職人ギルド命の秤

 銀翔の森を抜け俺たちはリベイユの一個手前の街学術都市ニベイユへと到着した。


 このニベイユはこのグローリアでは珍しい学術都市だ。そのほとんどの住人は若い学生となっている。こ


こでこの世界のことをいろいろ学べる。今では初心者が立ち寄る街として有名だ。ここまでは遠回りになる


が安全な道がある。だから初心者でも楽に来ることが出来る。


「さて、サクヤさっきは手伝ってくれてありがとう」


 改めてサクヤに礼を言う。


「礼を言われることではない。それにこちらもそなたたちに助けられたからな」

「そうか」

「某はここから北に行くがそなたたちは?」

「俺たちはここからさらに西のリベイユへ」

「ではここでお別れだな」

「ああ」

「では、また縁があれば」

「ああ、またな」


 そう言ってサクヤは去って行った。


「いい人でしたね」

「そうね」

「ああ、なんかまた会えそうだな。さて、とりあえず今日はここで一泊してから出発する」


 というわけで宿を取り久々の休息を取った。

 朝早く俺たちは出発する。


「さて、出発するぞ」

「はい、目的地はもうすぐそこです」

「さて、もうすぐね」

「う~」


 リーナとユイは大丈夫そうだがユウは眠そうだ。


「大丈夫か?」

「う~ねむい~」

「がんばって歩いてくれ」

「うん~」


 よし。出発しよう。


 ニベイユを出て西へ。街道はよく整備されており歩きやすく。小高い丘を越えていく。


「リベイユはそんなに離れていませんからすぐにつきます」

「ああ、確か三時間位か」

「はい」

「それにしてもすがすがしいな」

「このあたりは気候的にすごしやすいみたいですよ」

「飛びやすいわ」


 頭上を飛ぶユイが言った。


「あたたかい」


 ユウが言う。確かにここは春みたいで暖かい。


「さて、このもうすぐ頂上だがそろそろ街が見えるんじゃないか?」

「うん、見えた! すごい、大きな街。煙突がいっぱいたってるよ」

「ああ、こっちも見えた。確かにでかいな」


 こんな遠くでもこの大きさなんだかなり大きな街のようだ。俺たちはそのあとも歩き続け昼ごろにはリベ


イユに到着した。


「技術都市と言われる理由がわかった気がする」


 リベイユには作業用のつなぎを来た人が大勢おりさらに様々な仕掛けや機械がところ狭しとあった。


「さて、じゃあその飛空挺を開発している人を探すか」

「はい」

「いらっさや~いヒッヒッヒ~」


 さて、何かさっき見知った奴を見た気がする。


「あれ~カイトじゃないか~」

人形師(マリオネッター)こんなところでなにをやっている」

「あはは、ここはワタシにとっていい場所でね~。時々遊びにきているのさ~」

「まったく、それより人形師(マリオネッター)飛空挺を開発している奴を知らないか」

「知ってるよ~」

「教えろ」

「どうしようかな~」


 ドゴッ!


「街はずれの家に一人で住んでるはずさ、じゃあべ~」


 人形師(マリオネッター)はどっかにいった。


「面白い人~」

「ユウあいつみたいにはなるなよ」

「何で~?」

「なんででもだ」

「うん」

「素直でよろしい」


 ユウは素直でいい子だ。


「じゃあ、はやく行きましょ」


 ユイが急かす。


「私も急ぎたいです。ここはなんか視線が……」


 リーナも言う。確かにこの街男しかいない。いや、女もいないこともないんだが外からの人間なのと二人


は亜人だからだろう。翼やあのネコ耳は魅惑だ。今だから言うが初めて見たとき実はかなり魅了された。そ


のときは隠していたがな。


「?」


 ユウはわからないようだ。まあ、まだ子供だからな。


「ああ、わかった。行こう」

「ねえ、何?」

「そうだな、まだユウは知らなくていいことだ」

「?」


 まだわからないようだ。


「さて、街外れに行こう」


 注がれる視線を無視して俺たちは街外れに向かった。


「ここだよな」

「たぶん」

「他に建物はないし」

「ぼろ~い」


 街外れに来たはいいがまさに廃墟という感じだった。


「本当にこんなところに住んでるのか?」

「入ってみればわかるわ」

「そうだな」


 一応扉らしきものをノックして廃墟の中に足を踏み入れた。


「うお、すごいな、てか最近ここ焼けただろ」


 明らかに燃えた跡だここ。


「誰かいませんか~!!」

「お~い」


 どこからか声が聞こえる。


「いるぞ!」

「ここにいる」


 瓦礫の山をユウがさす。


「掘り起こせ!」


 全員で中に埋まっているであろう人を助け出すために瓦礫を掘り起こした。

「いや~はは、助かったぜ」


 上下作業用の服に身を包みすすで汚れたオッサンが言った。


「いや、マジ死ぬかと思った。助かったぜ」

「まあ、いいですけど」

「お前らは恩人だ。俺はギン」

「俺はカイト」

「私はリーナです」

「ユイよ」

「ユウ」


 とりあえずみんな簡単な自己紹介をする。 


「それでお前ら旅人だろ。ここに何しに来た」

「山脈を越えに来た」

「西のか?」

「ああ」

「……あそこは徒歩で越えられねえぞ」

「あんたが開発してる飛空挺を借りたい」

「……何を聞いたか知らないが俺はそんなもの作ってねえ」


 少し間をおいてギンさんが言った。


「……」

「なんと思おうが勝ってだが街の連中に聞いてみろ。飛空挺の開発は街の中心のギルドでやってるそこを当


たれ」

「……そうですか」

「ああ、さて、俺は片付けがあるんだ。そろそろ出てってくれ」

「ああ、すみませんでした」

「悪いな力になれなくて」

「いいさ」


 俺たちは廃墟を出た。


「いいんですか?」

「あのおっさん絶対何か隠してると思うんだけど」

「リーナにユイの言いたいことはわかる。俺もそう思うからな」

「だったら……」


 リーナが何か言いかけたがさえぎる。


「だがあの人にそう強要する権利は俺たちにはないからな」

「でもさ~」

「ユイも。あの人にはあの人の事情があるんだ俺たちが深入りしていい話じゃないだろう」

「それじゃあ、どうするの?」

「まあ、とりあえずあの人が言っていたギルドに行ってみよう」

「それしかないか~」


 今はそれしか道がない。これで無理だったら別の方法を探そう。それにしても何で人形師(マリオネッタ


ー)の奴ギンさんを紹介したんだ。


「ぎるど?」

「ああ、ユイ街の真ん中のギルドに行くんだ」

「カイトのギルドとおんなじ?」

「いや、違うと思うぞ」

「ん~楽しみ」

「ああ、そうだな」


 さて、行くか。それにてもまたあの視線にさらされるとなるとすこし嫌になるが目的を果たすためと割り


切ろう。街中に戻りギルドを目指す。相変わらず凄まじい視線だ。主に男の。俺は違うが街中に戻ってから


リーナとユイの距離が近い。しかも俺によってきているので物凄く歩きにくいその上ユウもまねしてよって


きているのでなお歩きにくい。


「なあ、少し離れないか?」

「えっとその……ごめんなさい」

「ユイも離れてくれ羽があた――」

「無理」

「――あ、そう」


 即答された。


「ユウも離れてくれないか?」

「い~や~」


 ………………はあ~。俺の苦悩は続く。そのまま十分ほど視線に耐えつつ街の中心に位置しているギルド


の前に着いた。


「職人ギルド命の秤(ゼーレヴァーゲ)か」

「ここ一帯の最大の職人ギルドですね」


 俺たちのギルドのような普通のギルドと違い職人ギルドは職人たちの集まりで一人では出来ないようなも


のを作ったり分業したり出来るのが特徴。ギルドは他にも様々な種類がある。


「入るか」


 命の秤(ゼーレヴァーゲ)の建物へと入る。中は酷く猥雑としていた。薄暗い中に作業着を着た人間がひ


しめきあい。無秩序に置かれた様々な工具。油や煤のにおいが鼻を突く。


「うお!! すごい……な」

「う……」


 俺はまだしもリーナとユイはドン引きだ。


「すごいすごい!!」


 そんななかうれしそうな声を上げるのはユウのみ。これが子供のすごいところなのかと関心する。


「さて、ここの責任者に会いに行くとしよう」


 ギルドの案内カウンターに行く。


「こちら命の秤(ゼーレヴァーゲ)ギルド本部です。どのような御用でしょう」

「ギルドの責任者に会いたい」

「僕に何か用かな」


 金髪のこの職人ギルドの雰囲気に合わないイケメン男が立っていた。


「アンタがギルドの責任者か?」

「そうだよ。君こそあの黒き翼のカイトだろ」

「そうだ。アンタは?」

「僕はこの命の秤(ゼーレヴァーゲ)ギルドマスターフィオだ」

「似合わないな」

「君は正直だね。まあ、僕もそれは自覚してるよ。でも楽しいじゃないか。自分で新しいものを作るのは」

「なるほど。疑って悪かったな」

「いや、慣れてるよ。それにこのほうが取引もしやすいからね」

「そうか」


 どうやらそう悪い奴ではなさそうだ。


「それでそちらのお嬢さんたちは君の連れかい?」

「ああ、リーナとユイとユウだ」

「へ~、みんな可愛いね」

「あいつらの前でそれを言うなよ」

「何かあるのかい?」

「まあ、いろいろな」

「そうかい、ではそうしよう。それで用があるんだろう。僕の部屋に来るといい」

「ああ、行くぞ」


 俺たちはフェイについてギルドの奥へ。ユウが興味津々でどこかに行ってしまいそうな勢いだったがリー


ナに抑えてもらった。


「ここだよ」


 ギルド二階のフィオの執務室に来た。


「割といい部屋だな」

「ありがとう。さて、座るといい」


 言われたのでそのあたりのイスに座る。


「それで何をしにあの銀翔の森を抜けてこの技術都市リベイユに来たんだい?」

「俺たちはあの山脈を越えに来た」

「あの西の山脈かい?」

「ああ」

「なるほどそれでここに来たのか。僕達の作っている飛空挺を借りに来たんだな」

「ああ。単刀直入に言う飛空挺を借りたい」

「借りて山脈の向こうでなにをする気だい?」

「……ユーニヴァスコノシェンツァに行くんだ」

「あるとも思えない街に? その子ですか?」


 フィオがユウを指す。


「ああ、そうだ」

「何かわけありのようですね……お貸しすることは出来ません」

「……そうか」

「いえ、勘違いなさらないでください協力したいのはやまやまなんですがアレはまだ飛べません」

「そうなのか?」

「はい、飛空挺はまだ実用段階ではありません。そうですね。飛空挺は貸せませんが人なら紹介できます」

「人?」

「ええ、飛空挺の開発の第一人者です。彼ならもしかしたら飛空挺を完成させているかもしれません」

「その人は一体どこに?」

「確か今は街外れに住んでいる――」


 街外れまさかな。


「――ギンという名の職人です」


 フィオが言ったのはあの職人の名だった。



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