第二話 人形師の情報
はい、第二話です。時間がないのといろいろあり短めです。
クエスト途中に見つけた謎の女の子を抱えてギルドへと俺たちはも戻ってきた。
「あ! もう、カイト君どこ行ってたの!」
リーナの怒り顔が俺を出迎えた。
「いや」
「言い訳は聞かないわよ。まったく、あんな中に置き去りにするなんてどういうことよ」
「いや、かたっくるしいの苦手で」
「それでもあなたはギルドの長でしょ。まったくもう少し自覚を持ってくれないと困ります」
この四年間リーナはこんな調子だな。ギルドのことを思ってくれてるのはわかるんだがもう少しどうにかならないものだろうか。
「ちょっと聞いてます! ってその子は?」
ようやく俺の後ろでおぶわれていた女の子に気がついたようだ。
「一体どこからさらってきたんですか!」
「違うわ!!」
「じゃあ、どうしてこんな幼い子を連れてくるんですか!」
「だから、クエストの途中で保護したんだよ」
「本当ですか?」
「ああ、ティアに聞いてくれ」
その肝心のティアは早々とカウンターで酒を飲んで酔っ払っていた。
「おい!!」
「はあ~、とりあえずその子を寝かせましょう」
「ああ、頼む」
「まったく」
リーナが女の子を置くの部屋に連れて行った。ちょうどその時アルト達が帰ってきた。
「あれ、カイトさん、帰ってたんですか? 確か建国パーティーに行ってたんじゃ?」
「ああアルトか。帰ってきたんだ。それでさっきクエストに行って帰ってきた」
「そうなんですか。僕も今帰ったんです。これからまた行きます」
「そうかお前も結構がんばるな」
「はい、早くカイトさんたちに追いつきたいし。それに新人たちには負けたくありませんから」
「ああ、がんばれよ」
「はい!!」
四年ですっかり表情が冒険者になったアルト。はじめてあった時が懐かしい。
「カイト、また逃げたわね!」
アリアがギルドに入って来た。
「アリアか、悪いなかったくるしいのは苦手なんだ」
「もう」
「そうだ、アリア、この辺りで迷子の届けでとかないか?」
「どうして?」
「いやな……」
あの女の子のことを話した。
「なるほど、私の知っている限りはないわね」
「そうか」
「広場の掲示板とかならあるかも知れないわよ」
「そうだな迷子の届けでがないか掲示板を確かめてくるか」
アリアとギルドを出て中央広場に向かう。アリアは言うまでもなく有名人のためいやおうでも視線が集まる。半分は嫉妬な気がするな。主に男性プレイヤーからの。視線で殺せるなら今頃死んでいるだろう。
「さて、ないかな」
掲示板を見る。好奇の視線はまだ続いているが無視だ無視。
「それらしい届けはないな」
「こっちにもないわ」
さて困ったまあ、あの子が起きたら何か話を聞いてみよう。それでもわからない場合は届けを出しておこう。もしかしたら親が見つかるかもしれない。その時アリアにメールが届いた。
「げ」
「あからさまにいやそうな顔してどうしたんだ?」
「呼び出し」
そう言って申し訳なさそうな顔をする。
「いいさ、行って来いそっちのほうが大事だろ」
「うん、ごめんね」
「いい」
「こっちでも一応調べておくから」
「ああ、サンキュー」
アリアが走り去っていった。
「カイトくーん!!」
「リーナどうした?」
その後リーナが慌てた様子で走ってきた。
「大変なんです。大変なんですよ!!」
「わかったから落ち着いてくれ」
「は、はい」
「それで何があった」
「そ、それが、あの女の子がちょっと目を離した隙に……」
「逃げたのか?」
「………………はい」
「だが、ティアやコペイがいたはずだろ。ユイだって」
「それがみんな気づかない間に消えちゃったらしいんですよ」
どういうことだ。リーナが連れて行った部屋から出てギルドから出るにはみんながいるエントランスを必ず通らないといけない。誰にも見つからずに出られるわけはないのだ。
「窓は?」
窓から出たのなら可能性はある。
「それが、窓は開けた形跡も開いていた形跡もなくて」
「どういうことなんだ?」
建物の中から痕跡も残さずに人が消える。こんなことはあるのか? バグ? いや、ゲームを管理しているコンピュータはAIが独自に生み出し最適化したものだそんなはずはない。じゃあ、なぜ?
「とりあえず探そう。まだ街の中にいるはずだ」
「は、はい」
「ギルドの連中にメールして探させてくれ。俺も探す」
「はい、わかりました」
「そしてリーナはギルドで待っていてくれ戻ってくるかもしれないからな」
「はいわかりました」
「じゃあ、頼んだぞ」
俺は走り出した。
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市場でいろんな人に聞いてみたが目撃情報はない。情報の集まる酒場でも同じだった。
「クソおかしいぞ」
この街であの年の女の子だいやでも目立つ。なのに誰の目撃情報もない。ギルドの連中からの連絡もない。どうなってるんだ。
「仕方ない。行きたくはないがあいつのところに行くしかないか」
俺は表通りから裏通りに入る。この街というかこの国は今日建国だが街は4ヶ月前から作られてきたその中で一部の職人プレイヤーは勝手に建設中の建物を改造したり通りの地下に部屋を作ったりとしているのだ。俺が今向かっているのはそんなのの一つ。工事現場の警護の時に見つけてそいつと知り合った。
裏通りの行き止まりそこの壁のところの地面に偽造されているが取っ手がある。それを持ち引く。見る見るうちに地下への階段が出現した。
「さて行くか」
そこに入り入り口を閉める。数分階段を下りていくと扉がある。そこに入る。人形やオルゴール、そして棺が置かれた悪趣味かつ不気味な部屋だ。
「いるか。人形師」
黒い帽子黒い服に白髪で隠れた目、ニタ~っと笑った口。と明らかに怪しい男がここの主だ。人形師と呼ばれている。本当の名前は知らない。それでコイツはここでひっそりと店をやっている。人形職人らしいのだがオルゴールや時計なども作れるらしい。まあ、あくまでそれは副業というか趣味らしいコイツの本業は情報屋だグローリアの世界にも裏表があるこの人形師はそのどちらにも精通している。
「何しに来たんだい? ここには人形しかないんだけど」
俺の言葉に人形師が答える。
「何、ただ葬式の手配をしたくてね」
「そう、ここにある棺ならどれでも」
「俺が探してるのは特別な棺さ金の棺だ」
「そんな棺はないよ。あっとしてもそんなのは実用的じゃないよ」
「それを決めるのは俺だ」
流れるような問答。
「本業ね、いや~、よく来たねカイト」
コイツの本業を聞くには合言葉がいる。それがさっきのだ。
「ああ悪いが」
「あ~言わなくていいよ、そろそろ来る頃だと思ったからね。ヒッヒッヒ」
「相変わらずだな」
「君とは仲良くしたいからね~、それでこの女の子のことだろう~?」
そこにはあの女の子の写真があった。
「そうだ、それをどこで? 」
「それは言わないよ~」
ドカッ。
一発殴った。
「暴力反対」
「うるさい、それで」
「まったくせっかちだね~。ヒヒ、なにかいいことでもあったのかい? まあいいや、君にはいろいろと世話になってるからね特別にただで教えてあげるよ。今は、あの巨大な時計塔にいるはずさ。ヒッヒッヒ」
「そうか、じゃあな」
「そうかい、今度はゆっくりしていきなよ。副業の方でも君には世話になったからね。アレはまだ大切にしてくれてるんだろう?」
「アレはな、それはそれだゆっくりするのは遠慮しておこう」
「そうかいそうかい、残念だ。ヒッヒッヒ」
まったく残念そうじゃない。
「まあまた、商品が欲しくなったらいいなよ、安くしとくよヒッヒッヒ」
「ああ。そうする」
俺は後ろでに扉を閉め店をあとにした。
「さて、移動しないうちに急ぐか」
俺は時計塔に向けて走り出した。
「ったく、高すぎだろ!」
時計塔には巨大な割りに階段しかない。魔法を使ってもいいんだが、あまり派手なことをして目立つのもなんだしそれにまた逃げられたらかなわない。そんなわけで絶賛全速力で上っている。
「カイト~!」
「ユイ!」
ユイが俺に並行するように飛んでいる。
「先に行って見てきてくれ」
「わかった」
水色の翼を羽ばたかせユイが上昇していく。
「さて、俺も急がないと」
鍛えた素早さスキルで階段を駆け上る。
「はあ、はあ、はあ」
40階分を全力で上りきった。これが出来るのもグローリアだけだな。とか思うだろうが現実ではもしログアウトした時との差異をなくすために機械が体を鍛えているらしい。つまりログアウトしてもゲームと同じことが出来るということ。こんなシステムを作った南雲財閥には感心する。
「カイトこっちこっち」
ユイが手招きする。角から時計塔の鐘楼を見ると日のあたるその場所であの女の子がまた寝ていた。
「気持ちよさそうでしょ」
「ああ、まったくだ。さて、起こさないようにつれて帰ろう」
「うん」
ユイと供に女の子を起こさないように抱きかかえ階段を下りてギルドに向かった。