第十九話 帰還
洞窟を出た途端猛吹雪で瞬く間に洞窟の場所はわからなくなった。
「もう、戻れないな」
「うん、でも、行くって決めたから」
「そうか、改めてよろしくなユイ」
「こっちこそ、カイト。そうだ、まずはフレンド登録しよ」
「そうだな」
ユイから送られてきたメッセージに了承する。
「これで、いいかな。じゃあ、山を降りるぞ」
「うん」
と歩き出した途端。
『アオオオォォォ!』
アイリーウルフの咆哮。
「うお!、囲まれたか」
「いきなりこれって運悪いよね」
「まあ、これくらいならどうにかなるだろ」
手に入れたばかりの魔剣を抜く。
「行くぞ!」
アイリーウルフの群れが一斉に襲い掛かって来た。
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「ふう」
「楽勝だったわね、あのヒルよりは」
「まあ、当たり前だろうな。それにしても」
なんて切れ味だよ。この魔剣。
HPがないこのグローリアオンラインにとって敵に与えるダメージは武器の攻撃力では決まらない。武器の切れ味、重さ、使用者の筋力、振るスピード、切り込む角度が重要になる。この魔剣は切れ味が凄まじい。
まあ、どのみち頭と心臓に刺さったりしたらあまり関係がないが。
「さて、さっさと行くか。また囲まれてもかなわないからな」
「そうだね」
俺たちはさっさと山を下りゲーテルの街に向かった。
「なんか久しぶりだな」
「……」
「おい、何だまってんだ、あと、何で俺の後ろに隠れてるんだ」
「気にしないで」
「いや、歩きにくいんだが」
「気にしないで」
「おい」
「気にしないで」
もう、とりあえず無視することにする。ギルドハウスに向かう。
「ここなに?」
「俺がいま所属してるギルドの本部だ」
「ふ~ん」
「安心しろ、みんないい人だから」
中に入る。
「ただいま~」
「カイトさん!!」
リーナが入った途端走ってきた。
「もう、今までどこにいたんですか!、心配したんですよ!」
「そうだ、どこに行ってやがったんだお前!」
「ガイドもリーナも心配かけてわるかった。メールを送りたかったんだが無理だったんだよ」
「おう、帰ったか坊主」
サイガもやって来た。
「ああ、今帰ったよ」
「そうかそうか、で、そのうしろの子は誰だ?」
みんなが一斉にユイに注目する。
「あ~、まあ、いろいろあったんだよ。これから話すよ」
「そうです、話してください」
こうしてアヴァンの村でのことを話した。途中からシェードとヤミも加わって話すことになってしまった。
「楽園!!、本当にあったんですね」
「てめえ、魔剣なんか手にいれやがってこの野郎!」
ガイドがゴスゴス殴ってくる。
「やめろ、殴るな」
「うるせえ!」
「暴力はだめだぞ~」
「なら、見てないで止めたらどうだ、ヤミ」
シェードがヤミに言うが。
「見てた方が面白いから止めない」
唯一の味方はリーナか?
「うわ~、ユイちゃんかわいいです」
リーナはユイに頬擦りしている。助けは見込みそうにない。サイガは笑ってるだけだし。
「誰か止めてくれ」
こうして俺はギルドに帰ってきた。
カイトスキル 現在
片手剣スキル熟練度146
両手剣スキル熟練度132
短剣スキル熟練度129
武器防御スキル熟練度145
投擲スキル熟練度128
索敵スキル熟練度151
見切りスキル熟練度159
回復補助魔法スキル熟練度132
火魔法スキル熟練度135
体術スキル熟練度142
常時装備発動スキル
筋力スキル熟練度159
俊敏スキル熟練度158
跳躍スキル熟練度142
受身スキル熟練度163
体力スキル熟練度154
魔力スキル熟練度145
耐久スキル熟練度185