第十七話 楽園 アヴアンの村
目覚めて一番に目に入ってきたのはこげ茶色の木の天井だった。ゲーテルの家は全て石造りだから少なくともゲーテルではない。ならここはどこだ?
「こ…こは?」
「あ!、目覚めた」
隣に目を向けると白を基調にした服を着た水色の翼を持つ水色の髪をツインテールにした小柄な少女が俺を覗き込んでいた。
「お~い、目覚めたよ」
水色の髪の少女が外に行ってそう言っていた。
そのまま待っていると。老人が入ってきた。
「目覚めなさったか」
「ああ、ここは?」
「世間からは楽園とも言われている場所じゃ。我々はアヴァンの村と呼んでおる」
「…楽園」
俺はリーナの言葉を思い出した。
『この国は越えられない山脈に囲まれているんです。あ、でも噂なんですけどゲーテルを通り過ぎて一時間の所にある、越えられないとされる山の中には洞窟があってそこを越えると楽園があるらしいんですよ』
という言葉を思い出していた。
つまりここはその楽園という奴か。
「わしはこの村の長老じゃ、この子」
水色の髪の少女の方をしめして。
「ユイがあなたを見つけてここまで運んできたんじゃ」
「そうか、ありがとう」
俺は起き上がって礼を言った。
「そうそう、感謝してよね」
「これこれ、とりあえず何かあったらユイに言ってくだされ」
「えー!、私!?」
「当たり前じゃ」
長老はそのまま出て行ってしまった。
「む~」
「まあ、なんと言うかご愁傷様」
「は~、もういいわ、私はユイ」
「俺はカイト、よろしく」
「そう、カイトねよろしく」
「そういや、お前ウィニシス族か」
「そうだけどなに?」
俺は初めて見るがウィニシス族は翼を持つ種族だ。
「いや、綺麗な翼だと思ってね」
「なななな、なに言ってんのよ!」
「いや、正直な感想を」
「そ、そう…り…と」
最後が小さくて聞き取れなかった。
「ん、最後小さくて聞こえなかったんだが」
「な、何でもないわよ!」
そのまま外にユイ出て行った
「さて、これからどうするか」
ガイドとリーナのことが心配だがとりあえずフレンドで確認したところ死んだ様子はなかったので、今はこの幸運を満喫することにしようと決めた。
とりあえず装備を確認して外に出る。メールでも送ろうかと思ったがここからじゃ送れないらしく諦めた。
外は楽園だった。村は突き出した崖の上に作られていた。そして眼前には青くどこまでも広い海が広がり村の中は草花が咲き乱れ村を綺麗に染め上げていた。
「綺麗だ」
いや、それだけでは言い表せないほどの美しさだった。
「あら?、もう、起きて動けるの」
「起きて動いて欲しくなかったみたいな言い方だな」
「そうしたらあなたの面倒なんて見なくていいじゃない」
「まあ、俺を助けたお前が悪いな」
「べ、別に助けたくて助けたんじゃないわよ。道の真ん中に倒れてたから仕方なくよ、仕方なくよ!」
「何ムキになってんだか、とりあえずこの村を案内してくれよ」
「もう、仕方ないわね」
俺の寝ていた小屋は村の一番高いところに建てられていたようだ。
「あと、いろいろ教えてくれ」
「わかったわよ、で、何が聞きたいの」
「この村に成り立ちを」
「そういうのは長老に聞くのがいいんだけどいいわ話してあげる」
ユイが語りだした。
「まず、この場所を見つけたのは長老、見つけたのはまったくの偶然なんだって」
「そうなんだ」
「あんたと同じで洞窟に落ちたそうよ」
俺は助けられたが長老は自力でここまで来たんだな。すごいな。
「で、そのあとここを見つけたの。外は雪なのに春みたいなこの場所を」
「長老は帰ろうとは思わなかったのか?」
「思わなかったらしいわ。この場所の虜になってしまったんだって、だからここに村を作ることにいたらしいわ」
なるほど、この村が作られたのは偶然か。
「それでね、時々迷いこんできたりする人を助けるうちにここはにぎやかになっていったのよ」
「その人たちも帰ろうとは思わなかったのか?」
「思った一部の人たちは帰ったみたいよ」
噂の出所はその人たちか。
「だけど一度出たらもう一度見つけるのは困難なの。外は雪だしね。だからここは見つかってないのよ」
「謎が解けたよ」
「そう、それはよかったわ」
周りを見る。さまざまな花が咲き乱れている。結構な広さがあり家畜までいる。
「ほんと、楽園みたいだな」
「そうでしょ、そうでしょ」
俺の一言に自分がほめられたようにうれしがるユイ。俺と同い年かそれ以上なのだろうが年下に見えてしまう。たぶんそれ言ったら怒るだろうから言わないが。
「で、他に質問は?」
「ここの生活はどうなってるんだ?」
「?」
ユイが首をかしげている。
「食生活とか、どうやって暮らしているかってこと」
「ああ、そういうこと、なら、そう言いなさいよ。大体が自給自足よ。ここ、気候がいいから作物は一年中取れるし。海に下りれば魚もいるしね」
自給自足。当たり前か。ここには商人が来ることもないだろうからな。
とりあえず、長老に会いたいと言って案内してもらった。
「もう、動いていいのですかな?」
「ええ、おかげさまで、ありがとうございます。なにかお礼をしたいのですが」
「いいですよ、困ったときはお互い様です」
「しかし」
「長老、コイツがお礼したいって言ってるんだからアレを頼んだら良いじゃない」
「これ!、ユイ、お客様に頼むものじゃありませんよ」
どうやら何か困っているらしい。
「何か困っているなら力になりますよ」
俺は言った。
「いや、あなたに頼むのは」
「困ったときはお互い様でしょう。俺に出来る事なら何でもやりますよ」
「わかりました。それならお願いしましょう」
長老が話し始めた。
「実はこの村と外を結ぶ洞窟があるのですがそこに凶悪なモンスターが住み着いてしまったのです。我々はその洞窟で薬草を育てているのですがそのモンスターのせいでとりにいけないのです」
「つまり、そのモンスターを倒せばよいのですね」
「はい、よろしくお願いします。その場所まではユイが案内します」
長老の言葉にユイが驚く。
「私!?」
「当たり前じゃ。お前が言い出したんだからな」
「そんな~」
そうして長老の家を出る。そしてユイに言った。
「お前、損な性格してるな」
「う、うるさいわよ!、ほら、モンスター倒しに行くんでしょ。行くわよ」
ユイは顔を真っ赤にしながらさっさと歩いて行った。
「待てよ、まったく」
すぐにユイを追いかけた。
そのまま洞窟へ向かい入った。
洞窟の中は光る水晶のような鉱石のおかげで明るかった。それにモンスターもいない。ユイに鉱石について聞いてみた。
「これは輝水晶よ。これのおかげで洞窟はいつも明るいしモンスターを寄せ付けない効果があるの」
「そうか、ならまずいかもな」
「なにが?」
「この輝水晶のおかげでモンスターは寄り付かないんだろ。なら、ここに住み着いたモンスターってのはかなり強力ってことだろ」
「そっか。って、なら勝てるの!」
「わからないな」
「わからないって」
「まあ、勝てるように祈ってくれよ」
「はいはい」
歩くこと1時間。
「そろそろよ」
ユイが言った。確かにモンスターの反応がある。
「じゃあ、案内ありがとう。ユイは帰れ」
「え?、でも」
「ここから先は危険だ。だからここまででいい」
「待ってよ。私が帰って死なれたら気分が悪くなるから、私も行くわ」
「たが」
「大丈夫よ、こう見えても私結構強いんだから」
「わかった。危なくなったら逃げろよ」
「わかってるわよ」
俺達はモンスターがいる開けた空間に入って行った。
開けた空間はどうやら薬草を育てている場所らしい。
「あれ?、モンスターは?」
ユイが周りを見渡して言った。
「反応はここなんだが――上か!」
その瞬間巨大な何かが落ちてきた。ユイは気づいていない。
「ユイ!」
ユイを抱えて走り落ちてきたものを避けた。
「なななな!、何するのよっ!」
「悪いが。さっそく来たぞ」
ユイを下ろして言った。
巨大な影が起き上がってきた。
カイトスキル 現在
片手剣スキル熟練度85
両手剣スキル熟練度83
短剣スキル熟練度69
武器防御スキル熟練度75
投擲スキル熟練度69
索敵スキル熟練度80
見切りスキル熟練度80
回復補助魔法スキル熟練度69
火魔法スキル熟練度73
体術スキル熟練度72
常時装備発動スキル
筋力スキル熟練度89
俊敏スキル熟練度88
跳躍スキル熟練度80
受身スキル熟練度86
体力スキル熟練度84
魔力スキル熟練度80
耐久スキル熟練度95




