畜生共め
犬好きの人、ごめんなさい。
父も母も獣だった。
理性などというものは無くしたようにまぐわい、達し、そして父は思い出したかのように俺の元へやって来る。
乱暴に俺の身に着けているものを剥ぎ取り、組み敷き。
「この後お前もあの女を抱いてやればいい。あの女は俺の親父や兄貴に抱かれても悦んでいたからな」
……ああ、今目の前に居るものは、人間ではない。
ただの獣……畜生だ。
俺は何故こんな奴らの元へ居るのだろう。
畜生の手が俺の下半身へと伸びるのを、もう一匹の畜生が羨ましそうに眺めている。
ああ、なんて穢らわしい。
俺はまだ、人で居たい。
人でない畜生共に人の体を自由にさせてなるものか。
犬や猫だろうと実の子供にこんな事はしないだろうよ。
お前たちは犬か?犬であればいい。そうすればこの手で直接殺す事も出来る。
そう願ってしまった。
その願いは、叶えられる。
「〜ッ!?」
俺の上に居るのはただの犬畜生だ。俺たちを見ているのも同じ。
畜生は畜生らしく言う事を聞け。
「おすわり」
二匹とも、俺の言葉に逆らえない。
大丈夫だ、俺には「親なんて存在しない」。目の前に居るのはただの獣だ。
「この家は本当にろくでもない家だったよ」
これだけは、自分の手で。
ああけど丁度いい物が無いな、鉈辺りがあれば良いのに。……いや、願えばいいのか。今すぐに鉈が欲しいと。
俺が願えばすぐ目の前に鉈が現れる。
「お前たちが次は最初から畜生として生まれる事を願うよ」
人として生まれて良い存在ではないのだから。
「―――!!!!」
二匹の遺体を眺めながら俺は乱れた姿を直した。
真っ新な下着が欲しいな、汚れてしまった。べとべとして気持ちが悪い。
「それにしても、あんたに愛情ってあったんだな」
雌犬を守るように雄犬が庇っていて、先に死んだ雄犬に寄り添うように雌犬は俺に殺された。
愛情なんてものがあるなら、何で糞爺たちに差し出したのか。
本当は人の姿に戻して埋めてやろうかとも思ったけど、やめた。
人の姿の遺体を眺めようと思ったが、最期に寄り添い合う夫婦なんて見ても反吐が出るだけだ。
「消えろ」
願いが叶い、犬共は消えた。
消えた所で「しまった」と気が付く。
「飼ってやれば良かったな」
飼ってやって、糞ガキ共の玩具にしてやれば良かった。
そう思ってももう遅い。
俺はただ一人、親だった畜生共がまぐわっていた場所を冷めた目で見つめていた。




