王都レイン
黒髪との戦いが終わった後は普通に下校となり、私とアカリはヒカリに学校がある街、「王都レイン」を案内してもらっている。
「ここが喫茶店で、あっちが図書館。こっちのでかいのが最近できたイスラム商会のデパート。質も値段も高いから貴族とかがよく行ってるね。」
「ヒカリはこの辺の人なの?」
「この辺って言ったらこの辺だね。そんなことより!どこ行きたい?」
どこ行きたい、か…
「お腹空いたからご飯食べれるところがいい。」
「私もユキナと同じよ。」
そういうとヒカリは手で丸を作り、「了解。」と言いながら連れて行ってくれた。
「美味しい!なにこれ!」
私達はレストラン「ソソス」でご飯を食べていた。
「ポテトっていうの。確かジャガイモを揚げたんじゃなかったかな。」
「ねぇアカリ!このソース掛けるとめっちゃおいしくなるよ!」
「ほんとね!美味しい!」
アカリはアホ毛を左右にブンブン振っていた。
「・・・」
そんな話をしていると、ヒカリがジトーとこっちを見ていた。
「どしたの?」
「いや、ユキナって白いなーって思って。髪も真っ白で肌も白くて、夜中に外で会ったら悲鳴上げる自信がある。」
そう言われて改めて自分の体を見てみる。白い。圧倒的に白い。
「ユキナは昔から白いわよね。初めて泊まった時に悲鳴上げたことあるもの。」
「アカリの家の骸骨よりは怖くないでしょ。」
「それはそうね。」
「ユキナとアカリって昔から仲いいの?」
「生まれたころからの付き合いだしね。仲良くもなるよ。」
そういうと、ヒカリは少し悲しそうな顔をする。
「そっか…良かったね。」
意味を聞きたかったが、そういう空気じゃなかっから聞かないことにした。
「寮ってどこだったかしら。」
田舎者の私達は寮に住むことになっている。のだが…
「寮が多すぎてどれかわかんない。」
私とアカリはFA寮。今いるのがG寮。FのAってなに!?
「えーと、大丈夫ですか?レイカさん。スカルさん。」
後ろから声をかけられ、振り返ると多分教室で見た人がいた。
「トワ・フリートです。先ほどは兄さんがすみません。」
「謝んなくていいよ。気にしてないし。やったのトワじゃないし。」
「右に同じくよ。アンタが気にすることじゃないわ。」
すると、トワは言いずらそうに口を紡ぐ。
「あの、実は…私のせいなんです。兄さんがあんなこと言ったの。」
『?』
「私、田舎貴族に連れ去られたことがあって、それで兄さんがあんな感じに…」
「それ、別にアンタが悪いわけじゃないんじゃない?」
アカリがアホ毛を?にして言う。
「私もそう思う。悪いのはその田舎貴族だし、やっぱりトワが気にすることじゃないよ。」
「っ、ありがとうございます。それで、お困りのようでしたがどうしたんですか?」
トワが頭を下げてから聞く。
「そうだったわね。寮の場所が分からないのよ。FAってどこかわかる?」
「FAですね。私もそうなので、案内しますよ。」
「ありがとう。」
トワに案内されてFA寮に着く。
「これって…」
「寮ってより…」
「シェアハウスですね。」
トワも見たのは初めてだったらしく、驚いていた。
「取りあえず入ろうか。」
「そうね。カギはもらってるし。」
そういってアカリは鍵を開けようとするが、その前に扉が開く。
「げっ…」
扉から出てきたのは黒髪…クロ・フリートだった。
~教室~
ユキナたちの担任、ミズキ・サクナは次の授業の準備をしていた。
「これで終わりか。」
ミズキはベランダの扉を開けて外を見る。すると、扉の先にはユキナの兄、アキラがいた。
「今日のところはバレなかったな。姉ちゃん。」
アキラがそういうと、ミズキの赤髪はみるみる白色になっていき、ウェーブはストレートになる。
「意外とばれないもんなんだな。姉としては少し悲しいところだが。」
そう。ユキナの姉、チナツ・レイカは何を隠そうシスコン!弟も大好きだが、妹はもっと大好きなのだ。結果、心配過ぎて無理やり教師になり、担任の先生として様子を見ることにしたのだ。
「姉ちゃんのシスコンぶりにはさすがに引くけど心配ってところには同意だな。」
アキラ・レイカ。この男もまたシスコンであった!姉も大好きだが、妹はもっと大好き。表には出さないが、愛の重さで言えば姉以上。犯罪者予備軍なのである。結果、コッソリ侵入して様子を見ることにしたのだ。
「新しい友達もできたようだし、まずまずの駆け出しだな。」
「そうだね。アキラは明日からも侵入するのかい?」
「流石にしない。俺は姉ちゃんと違って忙しいんだ。憑依霊だけ置いてくよ。」
「いや置いてくなよ。何かあった時どうすんだよ。」
「大丈夫。」
「なにも大丈夫じゃねぇ。」
~FA寮~
なぜか寒気がし、体がぶるぶると震える。
「どうかしたの?」
アカリが不思議そうに私を見る。
「なんか寒気が…噂でもされてるのかな。」
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