決戦決戦大決戦
ユキナとアカリが天狐を捕まえたころ、クロ達は…
「えーと、どーゆーじょーきょーですか?これ?」
侵入した先にいた鬼の兵士たちが全員ラセツに跪いているのだ。マジでどういう状況?こいつ等九尾の兵士じゃないの?
「お待ちしておりました。ラセツ様。我ら鬼軍第2部隊、全員が貴方様が王になるのを望んでおります。」
「えーと、貴方達は九尾の配下じゃないのですか?」
トワがそう聞く。流石我が妹、しっかり俺が言いたいことを伝えてくれた。
「我々は確かに九尾の配下です。しかし、それは表面上のもの。裏では九尾の策略の妨害工作をしたり、わざとラセツ派との戦いに負けたりなどしていました。」
…なるほど。なんで少数のラセツ派が200年以上も抵抗できたのか疑問だったが、九尾派の中にも対抗戦力がいたからなのか。
戦争を望む王など、民に受け入れられるわけがないと思っていたが、やはりその予想は正しかったらしい。九尾は人望がないようだ。
「そうか。じゃあ遠慮なく先に進ませてもらうぞ。行こう、クロ、トワ。」
そうして、俺達は難なく侵入に成功した。
こっそり全力ダッシュをしていると、クロ達と合流することができた。
「そっちは大丈夫だった?こっちは天狐が来てたんだけど…」
「まぁ…大丈夫だったぞ。こっちに来た奴は全員ラセツに付いたからな。難なくここまでこれた。」
敵は全員ラセツに付いたのか…計算外…いや、予想外の展開だな、これは。
「少し危ないかもしれないわね。急ぎましょう!」
アカリの指示で、私達は天守に向かって走り出した。
「何が危ないんですか?味方が増えるのは良い事でしょう?」
走りながら、トワはそう質問してくる。
「今まで何の接触もなかったし、ラセツも知らなかったのに急に味方面してくるのはおかしいよ。何もないかもしれないけど、何かあると思って動いたほうが無対策より100倍良い。」
正直なところ何かある可能性の方が高いと思っている。九尾は人望は無さそうだが、恐らく頭は良い。学校を襲撃した時のタイミングや主導権の握り方。頭が良くないとそもそも勝負というものは出来ない。
そんな九尾が自分のいる拠点内に裏切る可能性のある奴を置くだろうか?
「私も大体似たような考えだわ。もしかしたらそろそろ…いや、すぐにでもそいつらが来るかもしれない。急ぎましょう!」
そうして、私達は天守へとたどり着いた。
「よく来たな。まさか天狐がやられるとは思っていなかったよ。」
でっかくて白い、9本の尻尾。狐耳の金色顔の男。九尾が立っていた。
「さて、それじゃあ私は逃げさせてもらおうか。」
「はぁ!?逃げるな!」
『憑依』
私達と九尾の鬼ごっこが始まった。