REVENGE
九尾暗殺作戦の概要はこうだ。
まず私とアカリ、クロとトワとラセツで二手に別れ侵入。その後合流し、全員で九尾に挑む。
ざっくりと言ったらこんな感じ。ただし、これは侵入から合流まで妨害が無かった時の話。妨害があった場合、それぞれで戦うことになる。1人では戦わない。合流するまで九尾には挑まない。
など、色々細かいルールも作りつつ、メインの作戦を実行できるように調節した。
「んじゃ、さっさと侵入しちゃうわよ。」
アカリの瞬間移動で私達は中へ侵入する。クロ達はトワの能力で誤魔化すそうだ。
「侵入成功♪じゃあさっさと合流して九尾をやっつけるわよ!」
「うん。」
ちなみに、二手で別れてはいるのは単純に相手の戦力を分散させるためだ。片方だけバレたらもう片方が奇襲を仕掛けられるし、両方バレても敵を分散できる。
アカリの能力で私達はいつでも逃げれるし、クロ達もラセツが頑張れば逃げれる。あくまで命を第一に。駄目だったらもう一度攻めればいいのだ。
「そこまでだ。これ以上しんにゅうはさせない。」
天狐だ。どうやらもう見つかってしまったらしい。
「丁度いいわね!実力試しにリベンジといこうじゃない!」
「おーけー。できたら捕まえようね。」
ユキナ&アカリvs天狐 開幕!
一方クロ達は…
「おっし、こっちも早く侵入しようぜ!」
俺達はまず侵入が少し難しい。アカリみたいに一瞬で移動することができないし、俺達は警備のある外から侵入する必要があるからだ。
「少し待て。これを使う。」
ラセツはどこからかローブを3つ取り出し、俺達に被せる。
「とーめーマントだ。」
「なるほど。これ被ると透明になるのか。」
体が空け、俺からもトワとラセツが見えなくなっている。
「便利ですね。どこでこんなものを?」
「俺の仲間が何かあった時の為に作っててくれたんだ。」
まだ少し疑っていたが、やっぱりラセツ派は良い奴が多いみたいだ。
「お前の仲間に感謝だな。じゃ、行くぞ!」
俺達は鬼ヶ島へと入っていった。
『憑依』
「暴食の尻尾」「瞬間移動」
私が暴食の尻尾の手数を利用して天狐と殺り合い、アカリが瞬間移動を駆使して決めに行く。
「絶対ペットにしてやる。」
「ならねぇし、最初から本気で行く。」
ビュンッビュンッと目の前から天狐が消えた。
確かに見えない。が、私の尻尾なら捕まえられる。
「おらおらおらおらおらぁ!」
アカリを私に寄せ、暴食の尻尾と結界を私を中心に使い続ける。
「なっ⁉」
「捕まえた。」
暴食の尻尾が天狐を捉え、アカリが剣を振り抜く。
「くそっ!」
天狐が避けようと尻尾から抜け出すが、それこそ私達の狙いだ。
「いらっしゃーい。」
避けた先を予測していた私は、天狐をキャッチし、自分に憑かせた。
天狐は私に吸い込まれ、消えてしまう。
「ホントにできちゃったよ。」
憑依霊を一体以上憑かせることができるというのは、ヒカリに教えてもらった情報だ。何やらヒカリの家は霊と人の関係を研究しているらしく、心が強さに応じて憑かせられる数も変わるそうだ。
「やったわね!これでモフ耳ゲットだわ!」
実はアカリはもふもふしたものが大好きで、家にあるぬいぐるみなどは全部もふもふだ。寮にも何個かお気に入りを持ってきていて、毎日抱いて寝ている。
アカリがそうやって気持ちよさそうに寝ているのを眺めるのが、私の楽しみの一つなのだ。
「アンタ…めっちゃ変な事考えてない?」
アホ毛をぴんと立たせてアカリが警戒しているが、別に私に対して警戒する要素はないだろう。
「考えてないよ。それよりも早くクロ達と合流しよう。」
「そうね。急ぐわよ!」
私達はクロ達と合流すべく全力でこっそり走った。
「ここは…どこだ?」
確か私はあいつらに倒されて…
「むにゃむにゃ…はにゃ?」
はいごから誰かが眠そうにやってきた。なんだこいつ…おうかんとマントって、おうさまか何かなのか?
「あんた誰ぃ?」
すっげぇ寝ぐせを直しながら、こいつはそう聞いてくる。
「あぁ、ユキナが言ってた狐ちゃんか。ほらほら~こっちおいで~。」
まるで小動物にエサをやるかのように寝ぐせやろうはてまねきをしている。
「なめてんじゃねーぞ!」
私はそいつに殴りかかる。なめてる奴はころせ。そう九尾様にめいじられているからだ。そうして、私の拳が寝ぐせやろうに…
「え?」
いつの間にか転ばされ、動けなくなっていた。
「確かに強いけど…今のユキナ達なら勝てるね。1対1ならユキナは辛いかも…?まぁでも何とかするでしょ。」
ぼそぼそと寝ぐせやろうが何かを言っている。あんま分からねぇけど、やっぱり舐めてやがる。
ぐぐぐっと、私は全身に力を込めた。
「バカバカバカ!力入れたら折れちゃうでしょ!解いてあげるから少し大人しくして!」
寝ぐせやろうはぴんっと指をならす。すると、動けるようになった。
「私はベルゼ。ユキナの憑依霊。確か…天狐だっけ?君は単刀直入に言うと負けた。ユキナとアカリにね。それで、天狐は可愛いからユキナが憑依させたの。ここは精神世界?心の中?脳内空間?そんな感じのところで、君には大人しくしてもらわないといけない。というか、ユキナに従ってもらわないといけない。」
「・・・いいぞ。」
「いいの⁉」
「あぁ。私は負けたんだ。敗者は勝者の言うことを聞く。九尾様に教わった。」
そういうと、べるぜはとことこと私に近づいてきた。
「そっか。じゃあまずは言葉を覚えようか。出来れば文字も。」
「おう!」
私はしょうはい関係をだいじに生きてきた。負けはわるいことだと、そう教わってきたから。
九尾様へのちゅうせいは消えていない。が、私が負けたのなら勝った奴の考えに従うのが私の生き方だ。
「これからよろしくね!天狐!」
「おう!」