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暴食の尻尾

 そんなこんなで始まった対九尾に向けた特訓。私はランク2で解放された能力についてベルゼに聞いていた。


 『一番大きいのはやっぱり「暴食の尻尾」だね。見せたことあるから分かると思うけど、あの尻尾みたいなのが生えてくる奴。この尻尾はちょっと使い方が難しいんだけど、「暴食」が凄く使いやすくなるし、もう一つの能力「超回復」も使いやすくなるから頑張って使いこなしてね。』


 暴食の尻尾…下級霊100体を一瞬で全滅したやつか…確かに滅茶苦茶強かった覚えがあるし、頑張って使いこなそう。


 「他にはなんかあるの?」


 『後は「結界」が使いやすくなったね。結界の持続時間が増えて、更に自分と自分以外への結界の同時使用が可能になる。』


 シンプルに暴食が便利になったってことか。天狐と戦ってる時に思ったが、自分に結界を張っているときにアカリに結界が張れなかったのが心配だったし、凄く助かる。自分が死んだら誰もアカリを守れないし、自分が死んでもアカリは死なせたくないのだ。


 『ユキナってさ…多分一番やばい奴だよね。』


 「失礼な!私はアカリの次にまともですー。」


 全くベルゼは何を言ってるんだか。私ほどまともな人も中々いないだろうに。


 『分かった。言い換えるよ。ユキナはアカリ馬鹿だ。』


 「アカリ馬鹿って何?」


 『アカリが大好きすぎるってこと。』


 何を言っているのかよく分からないが、確かに私はアカリが大好きだし、今回は引き下がることにした。


 「とりあえず「暴食の尻尾」を試してみるよ。」


 『そだね。コツは手や足と同じように考えないこと!頑張って!』


 私はアカリとの会話を終え、特訓へと意識を向けた。

 ひとまず、その「暴食の尻尾」とやらを使ってみる。出せなかったら意味がないのだ。


 「憑依」


 黒い光が走り、私の服装が変わる。確か…「霊装」だっけ?


 「にしても…和服か…」


 前は見ている暇がなかったが、ちゃんと見てみると雪女のような衣装だった。前からあった王冠とマントは引き継いでいるが、和服にマントってどうなんだ…?


 「よーく見ると冷たそうな…冷気?が漂ってるし。これじゃあ雪女じゃん。」


 しばらく霊装を眺めた後、今度は刀に着目する。圧倒的に白い服装に対して刀は真っ黒。所々金色になっていたりするが、刀身は黒一色で、正しく漆黒といった感じだ。

 黒で思い出したが、アカリとクロとトワの髪色は黒なのに、私だけ白だ。クロは髪が短いし、私がアカリとトワを見間違えるわけがないので何も問題は無いが、少し仲間はずれな感じがして悲しい。


 「ま、そんなことは置いておいて早速使ってみよう「暴食の尻尾」」。


 そう言うと、パッ、と6本の尻尾が生えてきた。長さは大体2m程で、色は少し赤っぽい黒。先っぽにドラゴン?トカゲ?の顔があってなんか揺れている。


 「えっと?どう動かせばいいんだこれ?」


 ベルゼが言うには手とか足とかと同じようには考えない方がいいんだっけ?

 

 「手とか足とかじゃない…?」


 ・・・手とか足以外の動かし方ってなんだよ!?指!?腰!?首!?どれも一緒じゃないの⁉


 「いや、一旦色々試してみよう。ほっ!」


 試しにお尻に力を込めてみる。動かない。じゃあお腹か?違うな。太もも?違う。


 「どうやったら動くんだよこの尻尾!こんなんじゃ全然使い物になら──」


 「ぎゃあああああ⁉」


 私が能力に文句を言っていると、どこからかアカリが飛んできた。腕じゃ絶対にとどかない。


 「ほっ!」


 「きゃあ!?」


 私は尻尾でアカリをキャッチしていた。なるほど、こーゆー感じね。

 一度できてしまえば案外簡単に出来るものだ。体のどことかじゃなくて尻尾に力を込めるのか…分かるわけないでしょ!


 「ありがとうユキナ…これ何?」


 「これね。なんか新しい能力らしいよ。」


 私はアカリを降ろしながら簡単に説明した。


 「そういうアカリは何で飛んできたの?」


 そう聞くと、アカリは苦笑いを浮かべる。「えーっとね?」と言って説明し始めた。


 

 ~ちょっと前~


 「それで?私の能力の何が開放されたの?」


 私はスサノオにランク2の能力について聞いていた。


 『主なものはやっぱり「瞬間移動」だな!逆巻で一々戻らなくても、一瞬で移動ができる1今はまだ10m程度しか移動できないが、私レベルになればどこにでも行けるようになるぞ!』


 「あれね…距離を伸ばすにはやっぱり練度を上げていくしかないの?」


 『そんなことないぞ!例えば一度行ったところならば行ったことないところよりも行きやすいし、目に見える範囲なら結構いけたりする。要するに、自分が瞬間移動できる範囲外への瞬間移動を沢山行えば、結構すぐに行けるようになるぞ!』


 「なるほどね。とにかく数を重ねた方がよさそうだし、早速やってみるわ!」


 『おう!頑張れよ!』


 そうして、スサノオとの会話を終わらせた私は、早速瞬間移動をしていた。長距離移動はまだまだ遠そうだから地道にやるとして、瞬間移動を連続で出来た方がよさそうよね。


 「連続…あそこの木からこっちの木に行って戻って来ましょう。」


 パッ、と木の目の前まで来た。次はこっち──


 次に移動すると、木の前じゃなく空中になっていた。制御が難しすぎる。


 「ぎゃあああああ!」


 

 ~現在~

 

 「こういうことがあったわけ。」


 「アカリの能力も結構大変だね。」


 瞬間移動か…下手したら戻ってこれなくなりそうだな。まぁ戻ってこれなくなっても見つけるけど。


 「そうなのよ。ユキナの方はどう?」


 「私は結構順調だよ。さっきので動かす感覚も掴んだし、後は戦闘とかにどう取り込むかかな。」


 「そう。…特訓終わったら試合しましょ!アンタの尻尾の使い方見てみたいし!」


 アカリがアホ毛を揺らしてそう提案してくる。私もアカリと試合したいし、断る理由がないな。


 「いいよ。暴発しないようにしてね。」


 「もちろん!」


 そうして、私達の特訓が始まったのだった。

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