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ランク2「武装」

 「さてと、どうする?前のラセツ戦は私がキレてて何も考えてなかったのとアカリやお姉ちゃんの助けがあって何とかなったけど今回はそうはいかないよ?」


 私は取りあえずトワに作戦を聞いてみる。


 「大丈夫です。きっと多分確実にどうにかなります!」


 ノープランか…まぁどうにかするしかないんだけど。


 『憑依』


 黒い光が走り、私の手に刀が握られる。切れ味は期待できないが、敵の強さが分からない状態で近づく方が危険だ。

 

 「トワ!遅延よろしく!」


 「了解です!」


 私は刀の間合いギリギリで攻撃を仕掛ける。攻撃は敵に当たったが、ダメージはほぼ無し。流石の切れ味(悪い意味)だ。


 『おはようユキナ!久しぶりだね!結構ピンチそうだけど大丈夫?』


 「問題ない。出てこなくていいよ。」


 『りょーかい。』


 ベルゼが起きてるのか。まぁ今は関係ないな。頼ってばかりもよくないし、今回は見守ってもらうことにしよう。

 そうこう考えているうちに、敵は弾幕を展開する。そういえば上級霊は喋るんだっけ…?何で喋んなにんだろ?


 『喋れるのは上級霊の中でも上位の奴だけだよ。憑依霊は憑く相手が見つかると喋れるようになるけどね。』


 ベルゼがそう教えてくれた。なるほど。つまりこいつは上級霊の中でも弱い方ってわけか。それでも十分脅威なのだが、強くなるためにはいずれ倒せるようにならなきゃいけないし、今倒せるようになってしまおう。

 私はギリギリの距離を維持しながら、倒し方を探していく。正直効いてる気がしないが、効くようになるまでやるしかないのだ。


 「トワ!私が右から行くから左からよろしく!」


 「了解です!」


 会ってまだ数日だが、中々の連携ができるようになっていた。敵に一切反撃させずに攻撃し続けている。しかし、どの攻撃も決定力に欠け、あまりダメージになっていない。


 「これやばくない?このままじゃ私達普通に死ぬけど?」


 今のところあまり喰らっていないが、敵の攻撃はかなり痛い。今はまだ回復が間に合っているが、結界はトワの分も守っているため、中々キツイ。少しでもミスったら致命傷だ。


 「これは結構まずいですね。でも勝つしかないんで勝ちましょう!」


 根性論かよ…ま、それしかなさそうだしやるしかないか。


 

 一方その頃、アカリとクロは…


 「危ない!」


 私は急いでクロの前に移動し、攻撃を弾く。


 「悪い…追いつかなかった。」


 「気を付けなさい。喰らったら死ぬわよ。」


 目の前の敵には確実にダメージを与えられている。正直もう少しで倒せそうだ。だが、攻撃力が高すぎる。追いつめてからというものの、ずっと喰らったらどれも致命傷になりそうな攻撃にずっと翻弄されている。


 「とにかく死なないようにしなさい。私が今から強くなる。」


 「あぁ。悪いが任せる。」


 さて、姉貴とラセツ。私が見たランク2の憑依はどちらも特徴があった。一つ、顕現させた武器を使いこなしていること。二つ、憑依や顕現をせずとも素の力だけで鬼と戦えるほど強い事。これくらいしか思い浮かばないが、一応どちらも私は満たしている。なら、できるんじゃないか?

 そんなことを考えていると、また敵の攻撃がこちらに来る。試したいけど正直試す隙が無い。


 「任せろ!」


 私が敵の攻撃に苦戦していると、クロがナイフと刀を使って敵を抑えてくれた。その動きはユキナを彷彿とさせるもので、かなり技術が上がっていることが分かる。もちろん、ユキナには程遠いが試す時間を稼ぐには十分。


 「ありがとうクロ!武装!」


 黒い光が走り、私の服装が変わる。これは…なんだこれ?未来的?…な服?すごく動きやすい。


 「へぇ。」


 私は自分の剣を見つめる。いつもの靄が晴れ、真っ白な刀身が姿を見せる。凄くかっこいい。鞘も真っ白で誰とは言わないが誰かに似ている。


 「あのー⁉すみませんアカリさん⁉そろそろ限界なんですけど⁉」


 私が自分の剣に見惚れていると、クロから苦情が入った。そういえば今戦ってるんだった。


 『くっはっはっはぅ!げほげほっ、アカリよ!ランク2に達したようだな!貴様のランク2の権能は2つ!我が能力、「逆巻」の更なる解放と新たな能力の開放だ!』


 「逆巻」。私の能力は時間を巻き戻すことができる。と言っても、代償無しで戻せるのは3秒程度。しかし、これを利用することでちょっとした距離を瞬間移動したり、敵の攻撃を受けなかったことに出来たりするのだ。


 「新たな能力は今使っても邪魔なだけだし、逆巻の解放だけ教えて。」


 『了解!ランク2の逆巻で一番大きいのは代償無しで巻き戻せる時間が10秒になることだな。他にも瞬間移動がやりやすくなったり、身体能力上昇、思考能力上昇などのバフが強化されてたりするぞ!」


 基本的には能力の単純な強化だけか。まぁ今の状況なら十分だね。


 「ありがと。また何かあったら呼ぶね。」


 『おう!我に任せとけ!」


 私は意識を現実に戻し、早速「逆巻」の「瞬間移動」を発動する。すると、行きたかった場所に一瞬で着くことができた。前までは一度巻き戻して移動してまた戻す必要があったからすごく楽になったな。

 私は敵の背後に移動し、一撃で敵を消し飛ばした。



 時は少し遡り、アカリが「武装」をする直後。ユキナ達は大ピンチだった。


 「はぁ…はぁ…」


 やばいやばいやばい。ガチでヤバイ。何がやばいかって?そんなの目の前の敵に決まってんでしょうが!現在の状況を説明すると敵の体力は残り8割ってとこ。それに対して私は6割。これだけなら問題ないけどトワがもう疲労しきっている。今はトワを抱えて攻撃を捌いているため、私の体力の減りも早い。


 「絶体絶命ってやつだね…」


 「すみません、ユキナさん。私のせいで…」


 トワが本当に申し訳なさそうに言う。


 「大丈夫だよ。逆転があるから勝負は面白いんだ。ここから勝つことだってできるよ。」


 と、言ったものの、もう正直打てる手はないし、勝てる気もしない。ベルゼは寝ちゃったし、もしかしたら負けるかもしれない。負けたら死ぬってのに何でこんな冷静なんだろうな。私は。


 「ここからは賭けに出る。トワは5秒…いや3秒でいい。「遅延」で時間を稼いで。」


 「分かりました。ユキナさんは?」


 「私は今から「武装」を成功させる。出来たことないけど、今できなかったら死ぬしかないね。」


 我ながら最悪な作戦だ。今までできなかったことを成功させないと死ぬのだ。行き当たりばったりもいいところ。


 「分かりました。やりましょう!やらない後悔よりやって後悔です!」


 「出来るなら後悔なんてしたくないけどね。」


 「それもそうですね。じゃあ必ず成功させましょう!」


 私はトワを下ろし、3秒間、時間を稼いでもらう。


 「ふぅー」


 「憑依」において重要なのは心の強さだ。心の強さで、憑いてくれる憑依霊も憑依霊の力をどれだけ解放できるかも決まる。自分の心が強いかどうかは正直分からない。だが、やらなきゃいけないことを出来るくらいには、心は強いと思う。


 「武装」


 私の周りを黒い光が走り、私の服装が変わる。成功だ。

 

 「後は任せて!」


 服装を確認する間もなく、私はトワと交代し、刀を振る。


 「え?」


 いつもの刀の靄が晴れていて、私の目には真っ黒の「鞘」が映っていた。


 「はぁぁあぁあああ⁉」


 え?何?え?私鞘に入ったまんまの刀使ってたの?そりゃ刀の切れ味も悪いよね。そもそも切るための者じゃないんだもん。


 「えー?あの?大丈夫ですか?」


 トワが凄く心配そうな顔をしている。そっか、その位置からは見えないのか。私は結界で身を守りながら、刀をトワに見せる。


 「・・・頭大丈夫ですか?」


 真顔でそう言われた。だよね。私もそう思う。そう言えばベルゼはいつも鞘から刀を抜いていたのだ。その時点で気づくべきだった。


 「聞きたいことは色々ありますけど、取りあえずあいつをやっちゃってください!」


 「おーけー!」


 私は鞘から刀を抜く。漆黒の刀身が姿を現した。小一時間程眺めていたいが、それは敵を倒してからだ。

 ドンっという音と共に、私は敵の背後まで移動する。そして、刀を振りぬいた。スパっと音が鳴り、敵の体が真っ二つになる。


 「切れ味良すぎでしょ…」


 トワの短刀でも切れなかったのに、一発で切れてしまったのだ。もちろん、ランク2に至ったことで身体能力が上がってたり刀の切れ味が良くなってたりするのかもしれないが、もしラセツ戦でこれを知ってたら勝てたんじゃないか?と思わせるほどの切れ味だった。


 「ユキナさん!それランク2にならなくても刀抜いてたら勝てましたよね?頭大丈夫ですか!?」


 トワが驚きと喜びと困惑が混ざったような凄い顔でこちらに来た。


 「まぁまぁ、取りあえずアカリ達と合流しよう。話は後でも出来るでしょ?」


 私たちはアカリ達の元へと向かった。



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