学園襲撃⁉
その後も試合をし、授業が終わった。初めて最後まで授業を受けたが、後半の勉強はお兄ちゃんに教わってるところばかりでつまらなかった。今は昼休み。私が早起きして4人分の弁当を作ったのだが、持ってくるのを忘れた。
「そうなると思ってたわよ。ほら!私が持ってきといたわ!」
そう言ってアカリがカバンから四つ弁当を出す。どこにそんなスペースがあったのかという疑問がでたが、気にしないことにしよう。
「流石アカリだな。ユキナが忘れることをしっかり読んでる。神様仏様アカリ様だな。」
「本当に凄いですね。私じゃ真似できません。…私も他人の行動が読めるように精進していきます!」
クロやトワが尊敬の眼差しを向けている。確かに凄いのだが…私もアカリの行動読めるし…何なら次に何言うかまで読めちゃうんだよな…「馬鹿なこと言ってないで、ユキナが作ってくれたお弁当食べちゃいましょ。」だね。
「馬鹿なこと言ってないで、ユキナが作ってくれたお弁当食べちゃいましょ。」
おっと⁉自分でもあたると思ってなかった。ここまで来ると流石に自分が怖くなるね。
「うまー!」
『⁉』
お弁当を食べていると、突然真横から知らない声がする。狼の仮面をつけた女が、どういう原理か仮面をつけたまま私のおかずを食べているのだ。
「誰⁉」
アカリが即座に反応し、箸で仮面の女に攻撃する。仮面の女はそれを軽々と躱し、軽く距離を取った。
「別に怪しい者じゃないんだけど…丁度いいか。全員、かかってきな。」
仮面の女が手招きをし、それとほぼ同時にクラスメイト全員が攻撃を始める。任務組を中心に即席で連携をとるが、一切の攻撃が当たらない。速いなんてレベルじゃないのだ。攻撃が当たったと思ったらいつの間にか消えていて、ダメージも入っていない。そんなこんなで、教室は大騒ぎ、気付いたら任務組以外は倒れていた。
「これで20人。後は君たちだけかな。」
仮面の女は余裕綽々といった口調でそう言う。多分クロ辺りが突っ込むからそれを利用しよう。
「なめんな!」
きた。予定通りクロが突っ込む。私とアカリはその隙に近づき、トワがそれを隠蔽する。
「とったっ!」
アカリが完全に意識外から攻撃をする。しかし、仮面の女はそれすらも躱してしまう。だがそれでいい。その先には私がいる。私は刀を振るが、それもまた躱される。
「もう何なんだよお前⁉」
「ん-、天才かな?」
私は超近距離まで近づき、ナイフで戦おうとするが、私がナイフを出した直後に弾かれる。ならばと、私は素手で殴りかかるが、軽く対処される。
「なんで私がナイフ得意なの知ってんの?」
「さぁ?なんでだろうね。」
今度は普通に剣を打ち合う。私は躱す先まで予測して攻撃をし、刀を振る。
「うわっ⁉」
仮面の女は驚きの声を上げた。私は刀で叩こうと仮面の女をよく見て、今度は私が驚いてしまった。笑っていたのだ。仮面で表情は見えないが、なんとなく。だが確かに笑っていた。そしてそれを見て私は刀を下ろしてしまった。
「甘いね。」
そんな言葉と同時に、私は抑えられていた。
「え?」
何が起こった…?気が付いたら転ばされていて、動けない。
「全く誰に似たんだか。まぁそれがいいところなんだけど…」
私は何とか抜け出そうと力を込めるが、びくともしないどころか、更に動けなくなり、ギシギシと体からなってはいけない音が鳴る。
「バカバカバカ無理やり抜け出そうとしちゃだめでしょ。折れるよ⁉」
何でやってる張本人が心配するのか分からないが、殺意は感じないし悪い人じゃないのかもしれない。というか多分悪い人じゃない。そういう雰囲気?がする。
「さて、制圧完了…する気はなかったんだけど、まぁ予定通りだしいいか。」
「いいか。じゃねぇよ何しに来たんだよ。」
気が付くとサクナ先生が来ていた。
「いや、ちゃんと仕事ができてるか確認にね。そのついでに色々あってこうなっちゃいました。」
「何があったらこうなるんだよ⁉教室内にいる生徒の大半が倒れてて、倒れてない生徒も負傷多数。言い訳には厳しいぞ?」
「えーと、その…」
仮面の女が焦りまくっていた。ここまで来ると恐らく言い返すのは無理だろう。
「すみませんでした!」
そう言って仮面の女は窓から逃げて行った。私も動けるようになり、ちょっとずれた骨を戻す。
「誰なんですか?あの人。」
アカリがサクナ先生にそう問いかける。
「私の上司だ。変な人…いや、凄く変な人だが、まぁ仲良くしてあげてほしい。」
できるか!とも思ったが、案外できそうだから怖いものだ。
一通り片づけをして、非難させてたお弁当を食べていると、アカリがこんなことを言ってくる。
「何であそこで刀振らなかったの?」
「そういえばそうだな。あそこで攻撃してれば少なくとも負けはなかっただろ。」
「そうですね。確かに気になります。」
正直自分でもよく分かっていないのだが、推測で述べるのなら…
「あの仮面の人がアカリっぽかったからかな。」
「はぁ?」
アカリが心外といった顔をしていたが、事実なのだ。動きの癖、声、雰囲気、その他諸々。全てがアカリに近かったのだ。だから私は回避先が読めたし、刀を振れなかった。
「ユキナもアカリを間違えることなんてあるんだな…待て、何だこの言葉。」
クロは自分で言ったことに自分で疑問を抱いていたが、私もまだまだということだ。
「何でユキナが私とあの仮面を一緒にするのよおぉぉおお!」
アカリの叫び声が教室中に響き渡った。
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