完全攻略
さて、どうしようか。問題は2つ。トワの能力と、素の実力だ。
まず、この間合いが読めない動き。これが能力なのか技術なのか。能力なら突破は難しいし、技術なら打ち合いで勝てるかわからなくなる。どっちだ?
「物は試し。取りあえず突っ込もう。」
ビビるな。利用しろ。全て利用して、天才を偽れ。
私は一瞬でトワの後ろに回る。そして、居合の構えに入る。もちろんトワは、私に攻撃を仕掛けてくる。だが…
「え?」
トワの素っ頓狂な声がする。理由は明確。私が捨て身で反撃を仕掛けたからだ。
「やるね。結構痛いよ?」
トワは意味が分からないという顔をしている。まぁ血は結構出てるけど動きに支障はないしね。そんなに引くことなくない?
「ほら、続きやろう。」
私はまた距離を詰める。間合いは相変わらず読めないが、多分能力だ。技術にしては毎回ずれ方が違うし、さっきの反撃の仕方を見るにトワの素の実力はそんなに高くない。能力なら対処はできる。私は目を瞑る。目の感覚をずらしてるんじゃないかと考えたのだ。
「ちょっズルいですよ!」
当たりみたいだ。私はいつも通り、攻撃を刀で弾きながらナイフの間合いへと詰めていく。ナイフの間合いに入ったら後は私の戦場だ。トワも短刀で対抗してくるが、私のナイフ技術に勝てるわけもなく勝敗が決まる。
私の勝ちだ。
「やばいですね。」
その場に倒れこんだトワが、こっちを見て言う。
「やばいでしょ。」
「はい。まさか目を瞑った相手に負けるとは思いませんでした。凄いですね。」
純粋に尊敬してくれているのはうれしいが、少し罪悪感も覚える。私は別に凄くないのだ。
「ありがとう。放課後色々教えてあげるよ。あんま技術無いでしょ?」
そう言うと、トワは嬉しそうに笑う。
「はい!お願いします!」
「そういえばトワの能力って何なの?」
「私の能力ですか?」
トワはキョトンとして聞き返してくる
「そう。昨日は結界張るの手伝ってくれたでしょ?今日は間合いずれてたし、何の能力なの?」
「私の能力は「遅延」。文字通り、時間や距離を延ばせる能力です。私はこれでユキナさんの視覚情報を延ばして覚束ない間合い管理を誤魔化していたのですが…目を瞑って突っ込んでくるとは思わないですよね。」
中々にぶっ壊れていた。制約も多そうだが、使いこなせば強くなるタイプの能力。ベルゼのもそうだが、強い能力には制約が多いのかな?
「任務組、試合はそこまで。次の時間から二人一組で任務に向かってもらう。」
二人一組かアカリがいいな…
「怪我大丈夫ですか?」
「大丈夫…」
トワとだった…友達だっただけ良かったけどクロとアカリだったのが気に入らない…
「頑張っていきましょう!」
そんなこんなで、二回目の任務が始まるのだった。
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