トワ強くね?
学校に戻ると、私たちは保健室に連れてかれた。お姉ちゃんとは途中で別れて、上司?に会いに行くようだ。
私の怪我は殆ど治っていて、服が血だらけなこと以外は特に目立った傷跡もない。アカリも同様だ。保健室の先生はドン引きしていたが、気にしないようにしよう。
「一応怪我してたんだから、今日はここで休んでなさい。」
そう言われて仕方なく私達は休む。私たちの他にいるのは、逃げる途中で鬼に襲われて傷を負った名前も知らないクラスメイトと他クラスの人が数人。
「私たちの学年って何クラスあるんだっけ?」
私は隣のアカリに向かって言う。
「4クラスじゃなかったかしら?」
「ありがとう。そういえばトワ達は大丈夫だった?」
「問題ないわ。兄貴がいたし、無事に学校に戻れたと思うわよ。」
お兄ちゃんといたのか…何してたんだあの人…?お姉ちゃん寄越すよりほかの人呼んだ方が早いと思うが、私の勘違いだろうか?
「にしても凄かったわね姉貴。あんな強いとは思ってなかったわ。」
アカリは「何食べたらああなるんだか…」と呆れていた。確かに、お姉ちゃんは凄かった。私とアカリの二人がかりで苦戦したのにそれを圧倒する強さ。私達と特訓してた時は手加減してたんだなと分かる。
「ラセツも強かったね。次は絶対殺してやる…」
「え、えぇ。頑張って頂戴。」
アカリが若干引いているのが気になったが、あんまり気にしないことにした。
その後、アカリとすっごく特訓したことは内緒だ。
次の日、また普通に授業が始まる。
「さて、まずは任務組。昨日は大変だったな。まさかあんな強い奴がいるとは思わなかった。一人犠牲者が出たが、まぁ気にせず行こう。」
先生がそういうと、青髪のイケメン…アオイ?が立ち上がる。
「待ってください。一人、犠牲者が出たんですよ⁉なんでそんなに無反応なんですか⁉」
「お前こそ何を言っているんだ?死者が出るなんて当たり前だろう?これは遊びじゃないんだ。それを覚悟で、お前たちは来ているのだろう?」
そう。これは遊びじゃない。私達人間と、鬼の戦争。その続きなのだ。
「ですか…」
「次の時間の授業だが、任務組は総当たりで組手、残りは昨日の続きだ。場所も昨日と同じ。各々準備するように。」
そう言うと、先生は教室を出てしまった。
「私達も行こう。」
「そうね。」
私はいつも通りアカリと教室を出る。
「私も一緒にいいですか?レイカさん、スカルさん。」
トワがそういってきた。断る理由もないので一緒に出た。
「言ってなかったけど名前でいいよ。私は勝手に名前で呼んでるし。」
向かう途中、そんな話をした。
授業が始まると、最初にクロと戦うことになる。
「お前かよ。」
「悪かったね私で。悪いけど勝たせてもらうよ。」
「悪いと思ってるなら勝たせろよ。」
「憑依」
クロの周りを黒い光が走り、手に刀が握られる。
そういえば、お兄ちゃんやお姉ちゃんは「顕現」って言ってたな。何が違うんだろ?
「顕現」
そう言うと、いつもの黒い光は出ず、刀だけが顕現した。なるほど。憑依せずに武器だけ出せるのか。これはいいね。
憑依するというのは、大なり小なり体のエネルギーを使う。結果、普通に戦うよりも疲労がたまるのだ。それが起こらないというのは、かなりいい。
「なめんな!」
そういって突っ込んでくるクロの攻撃を私は最小の動きで躱す。ラセツの回避はこんな感じだった。
「省エネばんざーい。」
一気に踏み込み、ドンっという音が鳴る。クロの懐まで潜り込み、刀を振る。避けようとしたクロが態勢を崩し、そこをすかさず抑える。
「はーい私の勝ち!」
あれ?そういえばクロの武器って刀じゃなくない?そう思ったが、そんなことなかったようで、クロが憑依を解くと刀も消えた。おっとそこの君!前の話確認しちゃだめだよ?分かった?
「あぁ。分かったから離れろ。」
「あ、ごめん。」
びっくりした。聞こえてたのかと思った。
くそが。またユキナに負けた。なんなんだよこいつ。強すぎるだろ。今回はナイフも出させられなかった。次は絶対勝ってやる。
それはそうと…こいつ顔が良すぎる!別に気があるわけじゃないのに近くで見られるとなんか照れる!てか距離が近い!なぜ押し倒したりするんだよ!距離感バグってんのか⁉…バグってたな。
俺はユキナとアカリの距離を思い出し、納得する。
「はぁ…」
次の試合は知らん奴だ。
悪いが、八つ当たりさせてもらうぜ?
次はトワ。昨日能力は見たけどよく分かんない。補助系かな?とは思ったけどクロが言うに戦うこともできるらしいし、何なんだろう?
「憑依」「顕現」
「行きますよ!」
トワが私との間合いを詰める。振られた短刀を刀で防ごうとするが、そこで違和感がする。トワと私の距離がおかしいのだ。短刀は目の前にあるのに、トワは遠くにいる。即座に私は対応を避けるに切り替え、攻撃を避けた。
「流石ですね。避けられるとは。」
「もっとやばい奴見たしね。」
今度は私から間合いを詰める。確かお姉ちゃんがやったのはこんな感じだったはず…。ドンっという音が鳴り、私は一気に踏み込む。トワとの距離を詰めて刀を振る。…いつも通り、切れ味は微妙というか切れてなく、もうバットとして使い始めていた。
「切れ味悪いですね…それ。」
トワは少し冷や汗をかいている。まぁそりゃ良かったら真っ二つだしね。
「そんなビビらなくていいんじゃない?憑依の回復効果もあるし、回復能力持ちの先生も待機してるよ?」
「そうですね。じゃあ、本気で行きますよ。」
「っ⁉」
トワの雰囲気が変わる。これはちょっと…想定外かも…
「憑依」
『おはよう。昨日は大変だったね!』
「おはよう。起きてたなら助けてほしかったかな。」
『ラセツだっけ?あいつ「武装」できそうだったし、見たらできるかなって!お姉ちゃんが来てたのは知ってたしね。』
「さいですか。」
『そんなことよりも目の前のことに集中した方がいいんじゃない?練習でも負けたくはないでしょ?』
「そだね。」
私は意識を戦闘に戻す。戦況はかなりヤバイ。間合いが全くつかめない。どうなってんのこれ。
「さぁ、どうします?ユキナさん。」
トワが微笑む。「倒せるなら倒してみろ。」そんな挑発が顔に書いてある。
「初めての名前呼びがここかよ…最高じゃん。」
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