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鷲と黄旗  作者: 登山家ヒムラーとゆかいな親衛隊の仲間たち
7/7

#7 動乱と計画

ヨーロッパはドイツ内戦により混沌と化した。

各国家弁務官区で反乱が発生。軍閥が立ち上がり反ドイツを掲げ国家弁務官区と衝突した。

アルビオーネ弁務官区、ウクライーネ国家弁務官区、ノルヴェーゲン国家弁務官区、ベネレーゼ国家弁務官区、オストラント国家弁務官区、モスコーヴィエン国家弁務官区、アラヴィアーン国家弁務官区、バルカン・スラヴ国家弁務官区、ミッテルアフリカ国家弁務官区、ドン・ヴォルガ国家弁務官区、カウカーズース国家弁務官区を統治する11の国家弁務官は保護地域と化したゲルマニアに全員召集され、会議が開始された。

アルビオーネを統治するブフタールが口を開く。

「わが国では独立スコットランド、独立ウェールズによる対ドイツ戦線が形成され、イングランド地域でも独立の機運が高まっている。このままではロンドン陥落も時間の問題だろう。」

ベネレーゼを統治するザイス=インクヴァルトは静かに言う。

「ここにいるすべての人間が同じ状況だ。今考えるべきことは我々がどう動くかだ。」

エーリヒ・コッホが吐き捨てるように言う。

「ふん、実に滑稽だ。そんなもの、我々の力で踏みつぶしてしまえばよい。踏みつぶせないのなら、それは君の実力不足じゃないのかね?」

カッシェが冷静に言う。

「なら反パルチザン連盟を我々11管区が宣言し、共に戦おうではないか。」

ベーメが言う。

「お好きにどうぞ。今ここで一番権力を持っているのはカッシェ殿ですし。」

ローゼがまとめる。

「ではそれで決定ということでよろしいと・・・?異議のあるものは手をあげてくれ。」

・・・誰も上げない

「それではこれで今回の会議はおしまいだ。皆、長い時間に付き合ってくれてありがとう。ハイル・ヒトラー!」カッシェが締める。

「ハイル・ヒトラー!」

しかし事態は好転しなかった。コッホはOUN率いる独立ウクライナに捕まり公開処刑された。

キーウには青と黄色の旗が掲げられ、ウクライナは独立を果たした。

ブフタールは車でパルチザンから逃走中にパルチザンの仕掛けた地雷を起動させ死んだ。パルチザンが来た頃にはもう少しの肉と骨しかなかった。

ベネレーゼでは独立オランダが一度は勝利するも内部のごたごたにより崩壊。低地地方は無政府状態と化す。インクヴァルトは本国に亡命した。

モスコーヴィエンはソ連の侵攻が迫っていた。ドイツ内戦は今までウラルより東に追放されていたソ連に希望を与えた。わずか3か月でモスコーヴィエンは降伏し、モスクワは再び共産主義者の手に戻った。


こちらはドイツ本国。絶賛内戦中である。

ゲーリング派は順調にシュペーア、ボルマンを打ち破り駒を進めていた。ハイドリヒはボルマンに敗北しブルグントへ亡命した。


ブルグント。この国は他の国家弁務官とは違った。

独立を宣言し、核実験を行った。

大きな雲を見た、という国境近くの市民からの報告が相次ぎ、その恐怖は現実だと確定した。

ヒムラーは静かに居座る。

「実験の結果です。」書記が紙を渡す。

【実験結果】

・ユダヤ人含む非アーリア人種に放射能汚染が確認される。

・あたりの建築物は全壊。

・着弾時大量の光、音が鳴り、失明するほどの光を出した。

「そうか。」ヒムラーは静かに口を開く。

「それでは、失礼します」


こちらは地中海、いやイタリア海の海の上の都、ローマである。

ローマ帝国は今や北アフリカ全土からオクシタニア、ユーゴスラビア沿岸地域、トルコ沿岸地域、コンスタンティノープルまでを領有する大帝国となっていた。まさに、イタリア海を囲むようにしてその国はあった。

皇帝ムッソリーニ崩御後、息子のヴィットーリオが即位。専制政治は続く。


ジョバンナ・ベアトリーチェ・グイディはイタリアの海岸線で友達のカルロ・

デ・トレビと車を走らせていた。あたる海風と潮の匂いが心をすっきりさせる。

「いい車持ってるな、高かっただろう?」カルロが言う。

「いいえ、中古の車よ。こう見えて。」ジョバンナが返す。

「それにしても海岸はいいもんだ。まぁいつかここもアトラントローパで海岸じゃなくなるんだがな・・・」

「例の計画ね。イタリア海を埋め立てる、新皇帝の計画」

「ああ、すっごいこと考えるもんだ。海を埋め立てるなんて。」

「日本も東京湾を埋め立ててたじゃない」

「あんなのとは比べ物にならない大計画さ。残りの水はサハラに流すらしい。」

「あんなことして何になるんだろう?」

「さあな・・・政治家の俺にもわからんさ・・・」

車はやがて一つの家に止まる。

「ありがとう、送ってくれて。」ジョバンナが礼を言う。

「別にいいよ。じゃあね。また明日。」

ジョバンナは家に入るとテレビをつける。

「次のニュースです。ついにアトラントローパ計画を明日から実行に移すとヴィットーリオ陛下が宣言なされました。」

「なんですって!?」思わず声をあげる。

世界一の大計画が始まろうとしている。

それは彼女の心を震えさせた。大災害、津波、異常気象。恐ろしい考えが浮かんでは消える。

吉と出るか凶と出るか、それは誰にもわからなかった。

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