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鷲と黄旗  作者: 登山家ヒムラーとゆかいな親衛隊の仲間たち
3/7

#3 権力闘争

ゲオルゲは一時間目の準備を始める。

「あの、ゲオルゲさん,,,」隣の席の瑞穂が話しかける。

「パウルでいいよ」ゲオルゲは言う。

「パウルさん。」

「なんだい?」

「その...教科書を忘れちゃって...」

「ああ、いいよいいよ。一緒に見よう。」

「え!?いいの...?」

「そんな固くなることないじゃないか?普通だろ?」

「そ、そうだね...えへへ...」

正直、日本人に対してあまりいいイメージはない。

でもヒトラーも言っていた。我が闘争にて。

"日本人は我らより劣るが、優秀な人種である"と。

確かに容姿も整っている。個人の感想だが。中国人や韓国人とは違う、何かがある。そんな顔立ちだ。

「それで我が国はアジアの解放の...」教師が話す。

ゲオルゲは根は真面目そうだが、中身はただのさぼり野郎である。

会社では国の仕事なので真面目にやるが学校だと授業中友達と話したり隅に絵をかいて自慢するようなやつである。

「暇だし絵しりとりしようぜ。」瑞穂にいう。

「え!?」

「シー――ッ!静かにしろ、バカ!」

「ご、ごめんっ!」

「それでやるの?」

「...じゃあ、やるね...」

絵をかいて送る。帰ってくる。

意外にうまい。顔の絵。

「うまっ!」ゲオルゲは言う

「そ、そう?」

「うん。めっちゃうまい」

「えへへ...」

そんな感じで1.2.3.4と時間が過ぎて気づけばもう下校前だった。

「さようなら~」

瑞穂とは家が近い、というかとなりである。ここまでくると何か運命みたいなものを彼も感じた。

瑞穂は根は暗いが話しやすい。友達になると、話が止まらない。

今日食べた朝ごはんとか、友達の頭が鳥の巣だとか、学校一馬鹿な奴の話とか。

照れる表情もかわいい。

恋なのか?俺が?日本人に?低地位人種に?

でもやっぱりかわいい。正直になろう。好きだ。

家に帰ると窓から顔を出して話し始める。

今日の晩御飯の話とかだ。

瑞穂は両親の家で住んでるらしい。お母さんがおいしい料理を作ってくれてるらしく、夜7時くらいになると、隣の家からいい匂いがしたから何を作ってるのか聞いてみたら、オムライスだった。

日本は洋食も取り入れるのか。

さすが文化大国日本だ。と瑞穂に言ったらそうだよね!すごいよこの国の文化はね!と楽しそうに返してくれた。

いい一日になった。夜は以下の手紙を書くのに時間を割り振った。

***

日本。総理大臣、東条英機が死んで2年。政府では大規模な権力争いが行われている。表面上はいい顔をしながら、心の中では互いを憎しみあっている。政府内派閥でも巨大なものは3つある。


一つは統制派の片倉衷。

東南アジア戦線にて戦績をあげ、統制派の中心人物へと成りあがった男である。

全派閥一番の影響力を持っており、やや非全体主義的方針を取る、統制派の中でも穏健的な派閥で知られている。

二つは皇道派の村中孝次。

戦前から戦後まで多くの不満を持ちながらひっそりとその時を待ちわびた彼だが、2.26に参加せず、事件に関してはノーコメントを通している。インド進軍にて数多くの戦績をあげ、インドの最前線で戦う将軍は大体彼である。しかし2.26などもありそこまでの影響力を保持していないのが現状である。

三つは民主主義者の政治家、吉田将志である。

日本の脱軍国化、脱全体主義化を目指している。まあまあな影響力を持っており田舎などの人々から好かれる人物である。

以上の三つが"巨大な"影響力を持つ派閥であり、彼らはいろいろな権力や権限を駆使して今日も争っており、空白の玉座はなかなか埋まらないだろう。

ここから一日いてどうだったかの報告。

ミズホという女子と仲良くなった。

日本は洋食なども取り入れ、日本なりにアレンジしている。さすが文化大国である。

これからもほかの人たちと仲良くなっていくつもり。

進展などあったら報告する。

****

「これが日本から届いてきた資料か?」ゲーリングは手貝を手でひらひらしながらそういう。

「そうらしいですね。」ゲーリングの側近も言う。

「素晴らしいじゃないか。ゾルヤに伝えてくれ。いい部下を持ったな、と。」

「そうですね。これほどまで短期間で調べるとなると恐ろしいです。」

「しかし日本国内はここまで混乱しているのか?」

「調べによるとですね」

「今が日本侵略のいいタイミングじゃないのか?これは閣下に報告すべきだ。報告頼む。」

「わかりました。ハイル・ヒトラー。」

「ハイル・ヒトラー」

ドアが閉まる。歩いていくと、総統執務室がある。

「何者だ!?」門番が叫ぶ。

「ゲーリング様の側近のシュミットだ。通してくれ。

「そうでございましたか。では。」

初のご対面である。

ギイイイイイ、、と古めかしい音を立てて鷲の描かれた扉が開く。

部屋は広かった。ゲルマニアの夜景を見渡せるでっかい窓、ヒトラーの肖像、勲章などがあった。まさに総統の部屋にふさわしい。

「誰だ?」四角い口髭。ただならぬ威厳。

ヒトラーだ。

「ゲーリング様の側近、シュミットであります。」

「そうか、用件は?」

「こちらを...」資料を渡す。

「ほう、日本へのスパイの報告kゴホゴホゴホ!ゲホゲホ!」ヒトラーはせき込む。ヒトラーがふらふらし始める。

「大丈夫ですか!?」

「大丈夫だ、ゲホ...少し体が悪いだけだ...」

「日本内部の状況の資料です。ぜひこれからの外交の方針などに役立てればと...」

「そうか、ありがとう。ゲーリングにもありがとうと言っといてくれ。」

「はい。わかりました」

「私は少し休むとゲホゲホゲホゲホ!グハッ!」血だ。

「苦しい...ヴォエエエエ!」吐き始める。

「大変だ!閣下が重体だ!」外に出てそういう。

「なんだと!」皆が集まる。

「おい、そこのお前!担架を持ってくるから閣下をそれに乗せてくれ!」

担架が来た。シュミットはヒトラーを持ち、のせる。

「ありがとう。協力感謝するぞ。あとは任せてくれ。ハイル・ヒトラー!」

「ハイル・ヒトラー!」シュミットも返事する。

あの調子じゃヒトラーも長くはもたんだろう。シュミットはそう思う。

せいぜい、生きてあと二か月くらいじゃないか?

ドイツは今、風雲急を告げた。

一人の巨人が倒れたのである。

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