episode97〜元凶〜
たくさんの作品から見て下さり、ありがとうございます!
最後まで読んで頂けると、嬉しいです。
遠くの方から、ルクナ達がアルネを見つけ、急いで駆け寄る。
「ん? なんだ? 話が見えないぞ?」
しかし、段々と近づく毎に、ある者へと視線がいった。
そしてその様子を見て、すぐにルクナは理解したのだ。
(そうか、そういうことか)
そして、ルクナはアルネを疑った男の方へと、言葉を飛ばす。
「失礼。わたくしの連れが何かしたようですが… それは誤解です。私共は、本日この国へと到着したばかりの身。貴国の者ではございませんが、道中にて不幸があり、事情によってここに来てすぐに貴国の衣服を着ておりました」
アルネはことの行く末を、黙って見ていた。
しかし、視線は黙っていない。
「それに… 我々の馬車は道中、使い物にならなくなってしまいました。それなのにも関わらず、何故、私共がこの国の者でないと、わかったのでしょう?」
「え? あ、いや… 俺はただ… そうい… 」
(言われたまま… )
そう言いながら、その男は後ろを振り返り、ある場所を凝視した。
「あれ? いない?」
(回りくどいことを… )
ルクナは、ため息をひとつ吐いた。
「君、何を言ってるの? 勘違いなんだよね? なら、もう行ったら?」
アルネを庇おうと突然現れた男は、冷たい表情でそう言い放つ。
そして男は、焦ったようにして去って行った。
(一体何だったんだ?)
アルネはそう思いながら、奇妙な男の方へと向き直る。
「えぇと、あなたは… 」
「ふふ、危うく犯人にされそうだったね」
(何の?)
「それにしてもよく、私が疑われているって、わかったわね?」
アルネはそう言いながら、ルクナへと視線を飛ばした。
「それはほら… 」
ルクナが指を示す方向に、精霊達が舞うのが見えた。
「なるほど」
「はぁ… それにしても、全く何だったんだ? いや… 何故こんな事に巻き込まれた?」
そう言いながら、ルクナはアルネと男の間へと入り込んだ。
そして、華麗な作り笑顔を繰り出す。
「ご機嫌よう、ダリアルド殿下」
「えっ!? で、殿下ぁ!?」
アルネはそのひと言に、ついに目を飛び出した。
(待って… この人、どっかで… そうか! あの時、国王の横にいたのは… この… ん? この人だよな? それにしても随分とうさん臭い)
そう思いながら、全身を往復しながら観察した。
「何だい? 僕に興味があるのかな? それはとても光栄… 」
ルクナが、その言葉を遮るように強く放つ。
「アルネが自国の者でないと吹き込み、更には何かしらの犯人だと風潮した者がいるな?」
(… ? どういうこと?)
アルネの脳内には、疑問しかなかった。
それとは正反対に、不審に笑みだけで応える者もいる。
「この短時間で、それができる者は中々いない。事前にそれを知っていた者ならば、別だが。そうだな… 例えば、そこにおられるダリア殿下の指示によって… とか?」
「え?」
アルネは、眼球を先に移動させて、ダリアの方を見た。
そして、アルネだけが振り向いたのだ。
「え? え? んん?」
視線が集中する中、今度は嬉しそうな笑みを浮かべるダリア。
「ふふ… ふふふふ。さすがルクナ殿下だ。あーあ、折角もてなしの料理を中止までさせたのに」
「待って… 本当にあなたが? え? もしかして、私達を街に出させるために?」
「御名答だよ? 子猫ちゃん」
「おえぇぇぇぇ」
アルネは、声を大にして言った。
(びっくりした… )
中々聞くことのない奇声に、そばに居たヴィカの心臓は波打っていた。
「やめてやめてぇ! その呼び方!」
「何でだい? この世の全ての淑女達は皆、子猫ちゃんと昔から決まっているだろう? それに君は特別な子猫ちゃんだからね」
ダリアはそう言いながら、さらりとウィンクをぶちかました。
「いや、まぁ偏見なくそう言えるのは、素晴らしい事だけど」
(子猫ちゃん? なんだ?)
ルクナは、ある疑問を掠っていた。
「いや、待て待て。そもそもそれ自体が偏見だからな?」
「そうよ! ルクナの言う通り! 男性にも可愛い子猫ちゃんはいるじゃない」
(え… ? そこ?)
そう思ったヴィカは、話を割りに入った。
「はぁ… 話の観点がずれておりませんか?」
その言葉に、趣旨を戻される事となる。
「「あ…」」
「ゔぅん、で? 何で私達を街へと、連れ出すことをしたの?」
「いるんだ」
「へ?」
「王宮に… お化けが」
その言葉に、一気にげんなり顔となるアルネ。
「何言ってるの? マジで」
「大聖女アルネ。そう… 僕は君を待っていた」
「私?」
「あぁ、この国へと来ると聞いていた時から… いや、ルクナリオの誕生祭で君を見た時からだ」
(げ… )
その不気味な顔に、血の気が引いた。
「ダリア、わざわざ祝いの席に来てくれた事には、礼を言う。しかし、アルネを待っていたとはどういう意味だ?」
「そのままの意味だよ? 彼女を僕の妃にするためにね」
「… っ!? 何をバカな事を言っている!? そんな事、許されるわけがないだろう!?」
「ん? 何でだい? だって、アルネはどの国のものでも、ましてや誰のものでもないだろう?」
「… 今はな」
ルクナはそう言いながら、冷たく視線を飛ばした。
(てか、こいつ… なんか以前と雰囲気変わってないか? 誕生祭の時は話はしなかったものの… 変だな)
「今は? … そう、それなら問題はないよね?」
「くっ… 」
その場の空気が凍りついた。
しかし、ものともせずにアルネは口を開いた。
「えぇ… なんかめんど… 。それより私、お腹空いたんだけど」
「「え?」」
観点のずれがまた生じた。
二大超大国であろう殿下達が、自身について争っているという自覚がないアルネ。
その無関心さに、逆に肝を抜かれる事となった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こうして、何故かヴァーネル国殿下であるダリアルドと共に、城下町探索をすることとなったアルネ達。
しかし、ダリアがいるこの状況は、予想以上に助かることとなる。
この街を何より知っている、彼だからこそだ。
そしてアルネは、その煩悩を大いに露わにしていた。
ヴァーネル国の特色溢れる露店を物色する。
それらを頬張りながら、言うことは言わなければならない。
「… んぐもぐ… 妃は無理だけど… ごくんっ… 友達なら良いわよ?」
「え!? いいのかい!?」
嬉しそうにそう言うダリアの両手には、アルネの胃袋へと順番待ちしている食物達がいた。
「えぇ、こんな素晴らしい食文化の、一国の王子の友達なんてとても良いじゃない!」
「ぷっ… 」
ルクナが思わず吹き出す。
それでも嬉しそうなダリアは、ニコニコと手に持っていた串をアルネへと渡した。
(それにしてもダリアの奴… 雰囲気が全然違う。まるで人格が変わったようだ… 会話していなかったいなかったこの十年程で、何かあったのか?)
ルクナはその様子に、警戒を怠らなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして、アルネ達がこの国へと来た目的は、主に2つ。
その1つである、よく当たるという祈祷師の元へと、本日来ていた。
例によって、ダリアルド殿下も一緒である。
(何でこいつが… )
そう思いながら、この国における殿下を無碍にはできないでいた。
しかし、その視線は鋭く、自身の側近へと放り注ぐ事になる。
ちょっぴり目を逸らすヴィカは、変な汗を掻いていた。
対するアルネは、昨夜の事を思い出していた。
(ルクナと同じ部屋にされていたなんて… 想定外… いや、予想内か。いつもなら何ともないのに、昨日は全然寝れなかった… )
そう思いながら、眠い目を擦る。
見慣れないその道を、新鮮さを踏みしめながら歩いていると、ある場所で足が止まった。
「ここだよ」
そう言うのは、率先して案内係へと名乗り出たダリア殿下であった。
「へ? ここ?」
「これは… 」
「えぇ、何と言いますか… 」
三者から、疑問の声が上がった。
その建物の見た目は、まるで祈祷師が在しているには、ほど遠い場所だったからである。
「ここって… その踊りを… 」
ヴィカが、言葉を濁らせる。
「何だか随分と派手ね。祈祷師って派手好きなの? バニーちゃんなんてのもいるけど?」
その周りの装飾品を指差しながらアルネは、首を傾げた。
その店の前には、等身大のバニーガールの置物が何体も並べられ、まるで誘惑を惜しまないかのようだった。
「そうだよ? その名も ’バニーの館’ 。さぁ中へと入ろうか」
「入ろう… か? … 待てっ! てことは、本当にここに入るのか?!」
ルクナは声を荒げ、そして渋った。
「おや? 何をそんなに興奮しているんだい? … あぁ、そうか。ルクナリオ殿下は ’夜の方’ に来たかったようだね?」
「… っな、違う!」
「ふふ、夜にはもっと賑わうからね。というか、 ’そっち’ の方が本職だから… 夜に出直すかい?」
ダリアのイタズラな笑みに、ムッと表情を露わにするルクナ。
「いや、入ろう」
そう言って、その一歩を前へと出した。
アルネは、ヴィカの耳元でそっと尋ねた。
「このお店って、夜来た方が良かったのかな?そっちの方が、力が発揮できるのなら… 」
「いや、アルネ様は今来て正解かと」
「… ? そう?」
最後まで読んで頂きありがとうございます。
突っ走って書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。
また、心ばかりの評価などして頂けると、励みになります。何卒よろしくお願いします。




