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episode88〜調査〜


たくさんの作品から見て下さり、ありがとうございます!

最後まで読んで頂けると、嬉しいです。



「うーん、でも誰もその痕跡を残した者の姿も形も見てないって事なのよね?」


アルネは謎の証言に、疑問を抱いていた。


「ねぇ、その不可思議な4つの現象を見る人達には、それぞれ特徴はあるの?」


「特徴か… あるにはあるけど… でも、それが確かな事なのかは、更に調べる必要があるのを念頭に置いて欲しい」


「えぇ、もちろん今の時点での事で構わないわ」


アルネの同意にルクナは、自身の考えを言葉にした。


「黒い羽根を見たのは、貴族の… それも、更に上位の王家にかなり近しい者達だったわね、それもここ2日程前から、突然現れた証言だったらしいわ」


(王家の血が、濃い者達って事か… )


「しかし水や粉、生臭さは私達がいなかった、ここ何ヶ月も前から起こっているらしいの。水がある時は粉はない、逆に粉がある時は水らしきものはない」


「何だか… ナゾナゾみたいね。どちらにせよ、何だか… 嫌な予感がしてきた」


「アルネ?」


アルネは、奇妙な悪寒がした。

その悪寒を身震いによって、弾き飛ばす。


「こう… なんというか胸騒ぎみたいな、何かがまとわりついているような… 出会わなければいいと思ってるというか… 」


「ん? 大丈夫?」


(大聖女の勘か?)


「えぇ。ねぇルクナ、その現場って今から行ける?」


「今から? まぁ… 行けなくもないけど… 何ヶ所かメモしてあるから、ここからだと、すぐ近くの洗濯場の川ら辺が近いかしら」


「なら、決まりね! シュリさん! 今日はもうこれでおしまいよね?」


「えぇ、そうね」


(本当は、まだまだ着せたいドレスや服もあったのだけれど… )


少し残念そうにそう言うシュリは、いつもの笑顔を崩さずにそう言った。


「アルネ、またいつでも来てね! … いいえ、いいわ! 私が行く! 王宮にて、とびきりの子達を連れて行くから! 今日測った子達の完成品も楽しみにしててね!」


そう言って、シュリは再びその豊満な身体でアルネを覆った。


アルネは嬉しそうに、それに応える。


「ふふ… えぇもちろんよ! シュリさん! 楽しみしてる! 今日は本当にありがとう!」


こうして、アルネとルクナは帷の裳をあとにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シュリがいる工房から、数分歩いた場所にそれはあった。


「ここの川ね。あれ? 待って… 」


「えぇ、そうよ。ここはアルネという大聖女が、ルクナリオというこの国の殿下から逃げ出した場所。あの時は確か、子供達と楽しそうにお魚獲っていたわよね?」


アルネは思い出していた。

あの恐怖の笑みを。

アルネがこの国へ来て間もなくの頃、勉学が上手くいかずにルクナから逃げ出した事を。

その時は、この川辺で魚釣りをしていた子供達に、そのコツを教えていたのだ。

そして、彼に見つかる事となった。

一応反省はしていた。

その誠意を見せようと、言葉にした。


「ここのお魚さん、とても元気で中々獲れな… 」


その冷たい視線が突き刺さる。


(まだ根に持ってるのかしら?)


「ゔぅん… 私が言いたい事は、ここは淡水って事よ。塩のような物があるはずがないのよね。撒いたのであれば別だけど」


「そう、アルネの言う通り、淡水魚は塩分などに触れると元気がなくなる。しかし、ここの魚はそのような不調はなさそうだ」


「うーん、なら他に考えられるのは… 」


「あれね」


そう言って、ルクナは少し奥ばった場所にぽつんと佇む石造りの古く低い円柱を指差した。

目を凝らしながら、視線を飛ばすアルネ。

そして、2人はその円柱に近づく。


段々とその様わかると、アルネは声を出した。


「井戸!? え? あんな所に?」


そして、蓋がない井戸に顔を覗かせて、アルネは身を乗り出した。


「お、おいっ… 気を付けろ!」


ルクナは焦るあまりに、思わず素の声をあげてしまっていた。


「あ、うん。うーん… この辺りの精霊ちゃん達がね… どっかで見たような… いや、実際には見ては無いんだけども… 」


「ん? よくわからないわ」


「似てるのよ。雰囲気が… いやぁ何処で感じた精霊ちゃん達だろう?」


「… さぁ? でもアルネがそう感じると言うことは、本当に何処かで出会った精霊の中で似ている者達がいたんでしょうね」


「そうね。とりあえず、この井戸について聞き込みしましょうか? 何処かに… 」


アルネがそう言いながら、辺りを見渡すと、遠くの方に何軒かの小さな民家が見えた。


その周りに、洗濯をしながら何やら楽しそうにお喋りを繰り出してる老婦達がいた。

アルネは、彼女達に話を聞くことにした。


そこでも不思議な証言を耳にする事となる。


「あの井戸? えぇ良く使っていたわよ。でもここ最近、何だか変なのよね」


「そうそう! 急に井戸の水から塩っ気を感じるようになったのよ? 一体何故なのかしら?」


「誰かがイタズラでもしてるんじゃないの?」


「それにしては、貴重な塩を井戸に投げ入れるなんて、勿体無いったらありゃしないわ、ほんと」


老婦達は、ご立腹だった。


それもそうである。

生活に欠かせない井戸の水は彼女達にとっては命にも関わる事。

そのひとつが止まるとなると、相当の痛手であろう。

そしてアルネは、更なる質問をした。


「最近変わった事? そうねぇ、あとは時々井戸から生臭い臭いが、漂って来たこともあったわ」


(生臭い? … さっきはそのような臭いは感じなかったけど、たまたまかしら?)


「あとは、洗濯物が白くなったりする事もあったわね」


「そうそう! あの時は本当に大変だったわ! だってもう一度、洗い直さなきゃならなくなったんだもの! 乾くまでわからなかったのだから、尚更よ!」


ルクナは、そんな彼女達の言葉に疑問を抱いた。


「失礼ですが、いつも井戸の水を?」


「いいえ。いつもは川の水を使って、洗濯をしたりするんだけど、その日だけは使わなかったのよ」


「ええと、どうしてその日は、わざわざ離れたあの井戸の水を使ったのですか?」


アルネは、更に首を傾げた。


「ええと… 何故だったかしら?」


そう言いながら、目を見合わせるようにして、あの日の記憶を辿るようにした老婦達。


「… ほらっ! あれじゃない? 確か奇妙な男があの日… 」


老婦達によると、その日の早朝、それはまだ日が登る前の事だったという。


全身黒い服のフードを深く被った男が、家の扉を叩いたという。

その日は霧が深く、男の髪の毛が濡れていた。

そして、こう言われたのだという。


『今宵は、赤く染まった川が流れるだろう。そう、血のような… 近寄らぬが身のためだ』


その身の毛もよだつ言葉に、老婦は持っていたグラスを思わず落としてしまった。

その音に気が付いた同居人が驚き、側に駆け寄ってきた。

しかしその時には、既に男の姿はなかったという。


その事を受け、ここ一帯の民家に声をかけたのだ。


(またフードの男… もしかして、オルの屋敷にいた男と同じなのかしら?)


「でも変なのよね」


「変とはどういうことですか?」


「えぇ、実際にはその川は、赤く染まる事はなかったのよ」


こうしてその日、何事もなかったが為に、周辺の者達はイタズラだと思い、通常の生活に戻したのだという。


「でも… どうやって確かめたんですか? 夜なら尚更暗くて、赤い水かどうかはわかりにくいですよね?」


「確かにそうね。でも、ちゃんと染まらなかったって確信が持てたのよ」


アルネは、その言葉に首を傾げた。


「そうなのよ。次の日、お魚さん達が元気だったんだもの! それもいつも以上にね!」


「そうそう、それに下流の方も、特に赤く染まったような痕跡もなかったようだったし」


(いつも以上に? 元気だった?)


(確かに、血のような不純物が流れ込んだとしたら、淡水魚達に何かしらの影響があるに違いない)


アルネとルクナは、共に険しい表情を見合わせた。


そしてそれ以来、その奇妙な男の姿は見かけることはなくなったとか。


「… 奇妙な事ついでに、変な事をお聞きしますが、黒い羽根などはこの辺りで見たことはありませんか?」


「黒い羽根? カラスか何か? それならたまに飛んでいるのを見かけるけど、この辺に巣はないから、あまり落ちてるのは見かけた事はないわね。ましてや、お嬢ちゃんのように、その手で表してる大きさの羽根なんて見た事はないわよ?」


「そうですよねぇ、ふふ、色々と教えて下さり、ありがとうございます」


そう、アルネ達は礼を言うと、再び井戸の方へと戻った。


「ここでは、黒い羽根の目撃情報がなかったとなると… 」


「いいえ、アルネ。あるのよ、目撃情報が。それも3名程のね」


「え? 今の貴婦人達に、そのような話をしていた人なんて、いなかったわよね? ましてや、その周辺で大きな黒い羽根を見た他の者達の気配も… ねぇ、それって確かなの?」


「えぇ、通りかかった貴族達にね、いたの。しかもその3名は共に同じ馬車に乗っていたわ」


「それが、さっき言ってた同じ現場… そう、同じ時して目撃したって事?」


「えぇ… ’その境界’ である可能性もあるわね」


「境界… ?」


「えぇ、境界。まぁでもどちらにしろ、もう少し調べる必要があるけどね」


その言葉に謎が残るものの、アルネ達は井戸を再び覗き、そして嗅いだ。


今度は、ルクナの注意を受けない程に。


「うーん、やっぱり怪しい感じはしないわね。とりあえずっと… 」


アルネはそう言うと、井戸に掛かっていた桶で、水を汲み上げた。


そして、それに人差し指を沈ませ、躊躇なく口に含む。


(… なんて怖いもの知らずな)


ルクナは目を細ませた。


「っか! しょっぱ! … やっぱり塩が含まれているのかしら? いや… 何だろ? この覚えのある味は… っ!」


「誰かが、故意に塩を入れたんじゃないの?」


「いいえ、この塩分濃度は… おそらく何処からか、なだれ込んできたんじゃないかしら?」


「なだれ込んできた?」


「そうね… これはおそらく海水?」


「海水かどうかわかるの?」


「島育ちなんでね!」


(そう… いうもんか?)


「それにしても一体どこから? 他の井戸も、全て調べる必要があるわね」


そのアルネの言葉に、ギョッとしたルクナ。


(この国に、一体いくつの井戸があると思ってるんだ? 2人だけでは、到底短期間では無理だ)






最後まで読んで頂きありがとうございます。

突っ走って書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。

何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。


また、心ばかりの評価などして頂けると、励みになります。何卒よろしくお願いします。


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