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episode81〜ジャグモ〜

たくさんの作品から覗いて頂き、ありがとうございます!

最後まで読んでくださると、とても嬉しいです!


こうして、バジリスクこと、バージはアルネ達と言葉が通じる事が確認できた。


それがわかった今、彼は怒涛の質問地獄に陥る事となった。

疲れ知らずのバジリスクではあったが、さすがにこれの時ばかりは、その生にて初めて心労という言葉の意味を実感する事となった。


「で!? 何で黙ってたのよ!? どうして!? ねぇ!? 心を… 全然心開いてくれてなかったって事!? 酷くない!? ねぇ、酷くない!?」


そして今、目まぐるしく尋問が繰り広げられていた。


それはまるで、浮気が発覚した時のようなソレであった。


(言い訳は… いらないんじゃなかったのか?)


そう思いながらも、バージはアルネの問いに応える。


「いや… それに関しては、ほんと… すまなかった」


拗ねるような感情を剥き出しにするアルネに、どうにも頭が上がらない。


そして、全員がバージを気の毒に思っていた。


(俺達は、一体何を見せさせられているんだ… ?)


ルクナは事の成り行きを、とにかく静かに見守った。


「精霊パストゥールの言う通り、私はどの言語にも属さない、縛られない。全てを理解している」


(もう精霊じゃないけどな)


デイルは割愛した。

おそらく彼は既に理解していると、感じているからだ。


バージは続ける。


「そして大聖女の言うように… いや、言うような事は何も無い。特に言葉を発さなかったのは、ただ単に、何びとにも、属すことの無いようにしていたからだ。

族者というのは、会話を交わす事によって、親しみや憎しみ、そう言った感情を生み出すきっかけとなるだろう?

言わば仲間意識、反対に申せば敵対心。そう都合の良いように汲み取ってしまう可能性がある。

それによって、世界の秩序が崩れ始める状態が否めない。

大聖女の場合は、その全てが前者に当たるが…

それは君達にとっては良い傾向であろう。

しかし、これが悪い傾向へと導く可能性もある。それらのことを踏まえて、私は言葉を介すのを極力控えている」


「……… 」


(ん? どうしたアルネ?)


「そして君達が考えているように、私は竜族だ。神である者達に近いと言われているのは確かなこと。

しかし、それはもう昔の話に過ぎない」


(やはり竜族か… )


「え? では今は違うというのか?」


ルクナが思わず、聞き返してしまった。


「… 現在は、君達の知っているように元大聖女… そうか、今は女神と呼ばれるんだったな。そう、彼女達によって、仕える者の存在意義がわからなくなってしまった。私も歳を取ったものだ。まさか大聖女によって… 」


「… がう… 」


「え?」


「ちっがーう! 大聖女じゃないでしょうにっ! アルネでしょ! アッルッネッ!」


「へ? ア、アルネ?」


「そうよ! 私の名前はアルネなんだから! ちゃんとそう呼んでよ!」


(((そこっ!?)))


その場にいる者達は思った。

観点とは。


(本当… 一体何を見せつけられているんだ… 俺は)


「それにそんな硬い頭じゃ、仕える者を見定めるような事は到底難しいでしょうね、へっ」


「… 硬い頭か… 」


「考えすぎなのよバージはっ! 秩序がどうとか、誰にとって良いように働くか働かないとか!? そんなのあなたが気にするようなことではないわ! 断じてない! ましてや、神が決めるようなことでもない! 私達はね、ただ今を生きるの。1人1人を生きるの。姿形は似ていても、同じ者はただ1人としていない。

全員が違う考えを持って、同じ事を考えていたって微妙なズレを持っている。

そのズレが上手く調和して、いずれまた同じになる事もある。

そうやって皆、毎日をそれぞれ生きているの! 一生懸命生きているの! だから、誰がどうとか、利益不利益の行動を考える必要なんてないのよ! バージも今の自分を精一杯生きて? 自由に… ね」


「アルネ… 」


(自由にか… ? この私が… そうか… )


バージは、その後に言おうとした言葉を飲み込んだ。


しかし、アルネの異変に気が付かないわけがない。

ルクナ達は、その様子を見て思った。


(表情管理… 崩壊してますね)


(すごく嬉しそうだな)


「そうか… 初めてそのような事を言われた。確かに、ここ何百年も、私が会話をしなくとも他種族達はそれぞれの道を進んでいたな… それと… 」


そう言いながら、アルネの方をチラリと見る。


「ん?」


「先程から、いや、出会った時から言いたかったのだが、その ’バージ’ という呼び名… 大変気になる… のだが、まぁ愛称として呼ぶ分にはいい」


「あ、そうか、確かにあなたが話さなかったから、勝手にそう呼んでたけど… 名前、何て呼べば良い?」


「私の名は、ジャグモだ」


「ジャグモ! いいね! かっこいい名前ジャグモ! 改めて、よろしくね!」


「あぁ… ありがとう、アルネ。これからは、其方の言うように自由に生きてみる。それがどの方向に進もうとも後悔しないように、精一杯… 生きよう」


「えぇ。でもほら! 重く考えないでっね! で、早速だけど、もう1つ聞いてもいい? 他の種族と関わろうとしていなかったあなたが、何故あの狼の幽谷と呼ばれる場所で威嚇を放って、凶暴化していたの?」


「あぁ、あの時か… あの時の一発は一生忘れられぬ… ふふっふ、思い出しただけで… 痛い」


アルネはその言葉に、顔が真っ赤になった。

あの時の記憶を消して欲しいと思った。


咳払いをひとつする。


「あぁ、凶暴化していた理由だな? それに関しては記憶がない。正気を失っていたと言った方が近いか」


「正気を失っていた? 一体どうして… 」


「わからない… その正気を取り戻してくれたのは、アルネという大聖女だったという事は確かなんだがな」


揶揄うような笑みを浮かべながら、ジャバンはアルネへとそう言った。


再び、アルネの顔は赤く染まる。


(拳一つで制圧…?)


ノギジは震えた。


(そんなこったろうと思いましたよ)


ネネルトは腑に落ちた。


(アルネ… タフだな)


リランはアルネという大聖女を、知りつつある。


(え? ん? 殴っ… た?)


オレスの方はというと、理解が追いつかないでいた。


(聞こえる。全員の心の声が… )


アルネは俯き、赤らんだ顔が戻らない。


しかし、あの時はあぁするしかなかったと開き直り、真っ直ぐに前へと視線を飛ばした。


「と、とにかくバー… じゃなかった。ジャグモが竜族で会話ができるとわかった以上、かなり強い味方ができたと思っても過言ではないわ!」


「脅威もないとわかったしな」


その言葉にこくりと頷き、そして次の目的地へと繋いだ。


「さて、今はオルのいる別邸と急ぎましょう」






最後まで読んで頂きありがとうございます。

突っ走って書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。

何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。


また、心ばかりの評価などして頂けると、励みになります。何卒よろしくお願いします。


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