episode39〜変貌〜
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山の中へと消えたノギジ達。
2人を探し回るように、彼らを追いかけるアルネ。
そう… ルクナ達を欺き、その即興で作り上げた偽アルネによって。
作者のそのすぐ側には、ハルザがついていた。
しばらく森の中を探していると、遠くの方で、何かが吠え唸るような声が聞こえた。
「今のは!? この声… 」
ハルザが声を漏らすと、アルネがすかさず反応した。
「ノギジッ!?」
「まさかっ… 」
アルネ達は、その声がする方へと走った。
すると、その姿はすぐに現れた。
大きな身体の男が何かを抑えつけるように、地面へと腕を伸ばしていた。
地面へと伏せられている方は、爪を引っ掻くようにもがき抵抗しているように見える。
「ネネちゃんっ!?」
そのネネルトの下にいたのは、獣のような呻き声を上げ、もがくノギジであった。
しかし、その姿に一同は驚く。
その姿は、いつものノギジより何倍も大きかったのだ。
その大きさはネネルトと大差ない。
頭部はまるで人間のような形に変化していた。
しかし、異様にもその頭部からは獣の耳が生えていた。
口元の牙が際立ち、身体からは毛並みというものはなく、人肌が露わになっていたのだ。
しかし、その瞳からはいつもと変わらない獣の金色の光りを放っていた。
それは獲物を見るように、瞳孔が開いていたのだ。
そう、それはまるで人狼のようであった。
ノギジだと、かろうじてわかるくらいであった。
噛まれたのか、引っかかれたのかはわからないが、抑えつけるネネルトの腕からは血が滴り落ちている。
「アルネ様っ! 下がってっ!」
「ネ、ネネちゃんっ!? そこに居るのはノギジなの!?」
「はい! 我を失っているようです。空を見上げたかと思えば突然、うっ… 雄叫びを… 」
「そんな… 一体どういうこと… 」
「おかしい… 」
困惑した中、ハルザが何かを考え込むように言葉を発した。
「えっ? ハルザ!? 何!? 何か知ってるの!?」
「満月は明日のはずです。なぜ今宵… ?」
「えっ!? 何!? わかんない! わかんないけどっ… 」
(何だ? 今夜の朧げな月のせいなのか? ノギジ自体… 本体への制御が、うまくいってない?
いや… それにしても何かが… 待てよ… もし今宵が… そうだとしたら… フルムーンだと… したら?
はっ! 俺もだ! アルネ様が危ないっ!)
しかしその考えている間も、ノギジのその変化は段々と進んでいく。
その時だった。
少しの自我を保っていたノギジが、苦しそうに声を絞り出す。
「… その… 首か… ざりをつ… け… 」
「ノギジッ!? え!? 何!? 首飾り?」
ネネルトは、ノギジを抑えつけながら、辺りを見渡した。
すると数メートル程先に、キラリと光る何かが見えた。
(あれかっ! でも何であんな所に!? ここからでは届かない… )
ネネルトがハルザの方を見る。
そして…
突然、その身体に衝撃が走る。
ドクンッドゥク… ン
(これは… )
「ハルザさん! あそこにある首飾りをっ… 」
ネネルトの声が遠い感覚がした。
(アルネ様は… )
そう思い、その視線を自我を駆使してアルネの方へと飛ばした。
アルネは、不安と混乱の中ノギジ達を見ていた。
その姿はかろうじて、灯りの届かない場所にあった。
ハルザは、動けなかった。
その身体を月の灯りが照らし出したからだ。
「ハルザ… ?」
アルネはその様子に気が付き声をかけたが、彼には返答する程の余裕がなかった。
ドックンドゥクンッ…
(まずい… )
「えっ!? ハルザさんっ!? 聞い… 」
アルネ達は、その様子に息を潜ませた。
その時だ。
ネネルトが気を取られている隙に、ノギジがするりとその腕から抜け、何処かへと走り去ってしまった。
ネネルトは即座にその光る首飾りを拾い、慌ててその後を追いかけた。
「ネネちゃんっ! 頼んだわよ!」
アルネがネネルトにそう託すと、コクリと頷き再び闇へと消えてしまった。
その間に、今度はハルザが胸を抑えながらどこかへ走り去ってしまった。
「え!? ちょっ… 待って!! ハルザッ!?」
アルネは、即座にハルザを追いかけた。
(2人とも一体どうしたのよ!)
暗闇を縫うように走るハルザ。
彼女にも、その光を浴びさせないために。
しかし、その意志は途切れる事となる。
息を切らしたアルネは、遠くにハルザの佇む姿が見えた。
天を仰ぐように、そして今度は避けることもなく、その光を全身に浴びていた。
その雲間から見える月は、先程とは異なり、その姿をはっきりさせていた。
本来ならば明日であった。
満たされるはずのその球体を、既に完成させていたのだ。
そう… 月が満ちていたのだ。
「はぁはぁ… っはぁ… やっと追いついた。一体どうした… の? ハルザ?」
(やはり何だか様子が変だわ)
瞳孔が完全に開いていたのだ。
それだけではない。
その瞳は真っ赤に染まっていた。
そう、まるで血塗られたかのように。
アルネは、その姿に目を見張った。
「ハル… ザ?」
そう言いながら、近づくアルネ。
しかしその瞬間、ぐるりとその首をこちらへと回したかと思えば、突然ハルザが襲いかかって来たのだ。
その大きく開けた口元からは、長い2本の牙が見えた。
そして、2本の鋭過ぎる牙をアルネの首元めがけて突き立てた。
「え… ?」
しかし、何故かそこで止まったまま動かなくなった。
ハルザのその身体は、少し震えているようにも感じた。
まるで自我と欲望の狭間で、耐えているかのように。
そして、アルネは気が付いた。
(まさか! ハルザも狼… っ! ん、いや違う! これはっ… まさか吸血鬼!?)
一瞬の判断で、アルネは手を出した。
そして思い立ったまま、両手でハルザの突飛な2本の歯を掴んだのだ。
その瞬間、耐えきれなくなったハルザが、ついにアルネの首元へとかぶりついた。
しかし、すぐにハルザが我に返ったかのようにその身を離した。
慌てた様子で、その細い首元を確認する。
アルネも自身の首元へと手を当てていた。
(血が出てない?)
「セーッフ! あっぶな! ねぇこれ、噛まれてたら私もなってたわよね? 吸血鬼に! てかあんたやっぱり… わかってたんでしょ!? 怪しいとは思ってたのよね! まったく! こんな危険な生態事情を何で黙ってたのよ!?」
ハルザはまだ混乱しているようだった。
そのせいで言葉が出ない。
月に一度、訪れるその日は世が明けるまでは、その姿のままであるはずだから。
しかし、今はその姿が元に戻っていたのだ。
「アルネ様… ? これは一体… 」
「こっちが聞きたいわよ! … ほれっ! これじゃない?」
アルネの手には、2本の鋭い牙があった。
先程、掴んだ際に折ったのだ。
脅威の馬鹿力。
(これを… 折ったというのか… !? あの一瞬で?)
「アルネ様申し訳ございません! すぐに手当てをっ… 」
「あぁ、大丈夫大丈夫! ちょろっと歯形がついたくらいでしょ? 血も出てないし、平気よ」
(いや… 良くない… まずい… 殺される… )
そう思いながら、アルネの首元に再度目をやる。
動揺の感情の方が優っていた為に、彼女の言葉は脳内へと入ってこなかったのだ。
「はっ! そうだ! アルネ様! フルムーンです! 月が満ちたのです! そのお姿… あれ?」
満月の夜、その時彼女の力はみなぎり、姿を現す。
「あ、え? 本当だ」
そう言いながら、アルネは自身の煌々と光るその姿を見た。
「気が付きませんでしたか?」
しかし、言葉より先にその鼻に小さな痛みが走った。
アルネが、ハルザの鼻を摘んでいたのだ。
「それどころじゃなかったわよ! 心配… かけさせないで」
「申し訳… ございません… 」
「とりあえず、皆の所へ戻りましょ」
最後まで読んで頂きありがとうございます。
突っ走って書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
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