episode37〜大聖女の魔導書〜
たくさんの作品の中きら見て下さり、ありがとうございます!
最後まで読んで頂けると嬉しいです。
アルネはアディとフレールが生きてきた、これまでの目的、そしてその想いを聞いた。
アディはというと、アルネの真っ直ぐで真剣な言葉に心を奪われ始めていた。
そして、今度はアディがアルネ自身の事を尋ねた。
「先程、国王と言っていたな? お前もあの国の出身なのか?」
「え? あれ? 言ってなかったっけ? 私はその国の出身じゃないの。その国はルクナ達の国よ。私はある島から来たから。ここから南にある… ル… 」
(あれ… ? 何だっけ? おかしいな… )
「どうした?」
「違う… 思い出せないの。あれ? 何でだろ?」
「島出身か。それにしても、その国に少しは世話になってたんだろ? 国の名を覚えられないほど、お前はバカなのか?」
「なっ! 失礼な!」
そう言いながら、アディの頬をつねるアルネ。
再び顔が赤くなるのがわかる。
「そうやって… すぐに、触るなよ… 」
そう言いながら、その不安定な痛みに触れるアディ。
「… チッ、はぁぁぁあ… それよりお前、大聖女なんだってな?」
邪念を払うように、頭を掻きむしりながらアディは話を変えた。
「え? あら? わかっちゃう? やっぱり大聖女様っぽい雰囲気と、オーラがダダ漏れっちゃってる感じ?」
「そうじゃない。聞いたからな。むしろ、言われなければ一生わからなかったくらいだ」
「んなっ! 失礼ね!」
「ふっ… それで、これなんだが… 」
そう言うと、アディはある物をアルネの前に差し出した。
それを目にしたアルネは、息をするのも忘れるほどだった。
肺胞に溜まっていた空気を全て吐き出すように、声を張り上げた。
そして、その待望の本を抱きしめたのだ。
そうそれは、アルネ達が彼らによって襲撃された時に、落としたと思われていた本であったのだ。
アルネが厳選して王宮から持ってきていた、3冊の本の中の1つである。
襲撃された時に咄嗟に拾い上げた本を、弟のフレールが大切に持っていたのだ。
それはここに来る前にも、アルネには伝えていたことだった。
しかし、実際にその本を手に取ると、嬉しさのあまり、アルネは思わずアディへと飛びついた。
「ありがとっ! 無事でほんと良かった! これとても大切な物で… あぁ、本当に良かっ… 」
しかし、その瞬間、2つの違う腕が伸びた。
1つは、アディからアルネを引き剥がす為に。
もう1つは、その怪しげな本を確認するために。
「あっ! ちょっちょっと! ヴィカ!? 何すんのよ! 返してっ! 折角再会できたのに!」
しかし、背の高さに加え、そのすらっと伸びた長い腕にアルネが敵う事はなかった。
更にはその身体を引き寄せ、離さない者がいたからだ。
「ルクナも離してよっ!」
「嫌だ」
「え? あ? い、嫌だ? 何言ってんのよ!?」
「ほほぅ、これが探していた本ですね? 旅に持ってくる程の物です。一体何が… 」
ヴィカの両手が左右へと、広がりかける。
「あぁぁぁぁ! ちょっと! ダメ!」
「何をそんなに焦っておられるのですか? そんなに重要なことが? それとも何か見られてはまずい物でも記され… ? ん? これは… 」
ついに、その本が開かれた。
アルネは阻止するのを諦め、その手を頭を抱えるのに移行し始めた。
しかし本の中身を見たヴィカの表情は、驚くこともなく、ただただそれを不思議そうに見つめるだけだった。
その反応にその腕を緩め、視線を本の方に移すルクナ。
彼らは言葉も出なかった。
それは、そこに何が書かれているのか、いや、何が描かれているのかがわからなかったからだった。
アルネはその少し青ざめた顔をゆっくりと上げながら、言葉を絞り出した。
「み… 見た?」
こくんと頷くルクナ。
そして尋ねた。
「これは… なんだ?」
「え、えと… な、なんて言うか… 私の記録? みたいな?」
「落書きか?」
「え? 落書… き? ん?」
「本当… 酷いですね、これは… もしかして聞き手じゃない方で描いたとか?」
ヴィカもその本の中身に関して、感想を述べ始める。
彼らのその目には、無惨な絵らしき物が映っていたのだ。
いつから見ていたのか。
デイルが、近くで大口を開けて笑っていた。
それも腹を抱えてだ。
「ハハッ… ハハハハッ… 心配して損したな! アルネ! ハハッ、安心しても良さそうだぞ! まぁ俺は最初からそう言ってたけどな! ハハ… ヒィ… 」
「どう言う事だ? デイル?」
「これは大聖女のための本。つまり、魔導書のようなもんだ。大聖女の思考そのものが映し出される。頭に浮かべた事を、実際に世に現す事さえできる… 最強の本だ… ふふ… 最強のな… 」
「大聖女の思考?」
「そう、アルネのな。だから直接、手で書いたものではない… んだ… ふふふふ… それを、ら、落書きっ… 落書きって… ふふふふふふふっ」
(アルネの思考そのものか… 知りたい… 解読したい)
「だから、あんなに必死に探し、隠そうといたのか?」
「普通なら見られたらまずいもんな? 大聖女の思考は世界そのもの。その通りになり得る。天国へ導くことも、地獄絵図をもたらすこともできるんだ。もしそれを操作しようと、奪う者が出てきたら終わりだ。普通の大聖女ならばな… 普通の… ハハハハハッ、あーおかしい」
「ちょっとデイル!!」
アルネの顔面は、これほどない程真っ赤になっていた。
「この本も、こんな思考が映し出されるなんて思ってもなかっただろうな… ハハハハハハッ」
そう、その本に記されていたモノとは、アルネの思考そのものであった。
それが文字として記されるのか、絵として表されるのかは、大聖女の御心次第であった。
アルネは、その後者が半数以上を占めていたまでのこと。
それもまだほんの一部であるというから、恐ろしい。
腹が捩れかけている最中のデイルの耳を、これでもかってくらい引っ張るアルネ。
気にする様子もなく、大聖女の魔導書に食い入るように見るルクナ。
その隣で側近が興味本位のみで、共にその思考を凝視していた。
2人のその顔は、真剣そのものであった。
そして、その目はあるページで止まっていた。
「ん? なんかこの絵だけ… 」
「そうですね、美化されてないですか?」
しかしその瞬間、本の持ち主の手が勢いよく伸びてきた。
「はいはいっ終わりよ! 清き女子の思考を覗き見るなんて、破廉恥極まりないわ! 全く!」
そう言って、アルネはその本を抱えて逃げ去るように、小屋の方へと戻って行った。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
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