episode27〜案内人〜
たくさんの作品から、見て下さりありがとうございます。
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幽谷の奥深くにいるという ’待つ者’ 。
アンセクト族がここから出れない理由が、その者にあるという。
それを確かめるべく、そしてこの先の月華山へとノギジ達を探しに進むのであった。
「あ、でも待って。僕達コクシネルは、ここにいる皆で全員じゃないんだ。僕は他の子達にも説明して、全員連れてくる。だから、案内人にピッタリの親友を紹介するね!」
そう言うと、ライは辺りを見渡しながら、大きな声でその名を呼んだ。
「ゾル!? こっちへ!」
「……… ?」
「あれ? ゾル?」
すると他のコクシネルとは、少し違った舞い方をする音が聞こえた。
(ん? 羽音が鮮明に聞こえるな)
アルネ達は目線より、少し高めを見渡す。
(ん? 近づいているのはわかるんだけど… どこに… )
「あ、来た来たゾル! こっちこっち」
ライの声がするその方へと、アルネ達は目を向けた。
「えっ!」
(歩いて来とる… じゃあ羽根を羽ばたかせてるのは、一体何のため?)
「彼がゾルだよ! ふふ、立派でしょ?」
ライはそう言って、アルネ達に親友のゾルを紹介した。
「よう… 話は聞かせてもらった。俺がこの谷の案内人、その名も ’谷底の殺し屋’ だ」
「え? 谷底の… 殺し屋?」
(何その異名… 案内関係なくない? それにしても… )
「そうだ! 俺がこの谷の…」
「か、可愛いっ!!」
「え? 可愛… い? な、何言ってんだ! お前! 恐ろしいの間違いだろ?」
「えぇ… 非常に可愛いですね… 」
すかさず可愛い同盟のハルザが、賛同する。
(こんなフォルムのコクシネルもいるのか… )
そう思いながら、ゾルをまじまじと見つめる。
「ううん! 可愛い!! フォルムがヤバすぎ!」
そう言って、アルネはゾルの両脇を持ち、子犬を持つかのように抱き上げた。
「お、おい! 離せっ! それに何言ってやがる! 俺は谷の殺し屋だぞ!? 怖いはずだ!」
アルネは、ニタニタしたまま離さない。
「何だか… 皆より少し大きいのね?」
側で見ていたヴィカが気の毒そうに、口を開く。
「アルネ様、落ち着いて下さい。怖がってます」
ゾルは、アルネとハルザのその眼差しが怖かった。
目には見えないが、完全に怯えていた。
しかし、アルネの愛念の意は止まらない。
「え? 怖い!? 怖くなんかないわよね!?」
(何なんだこいつら… そんな事初めて言われたぞ?)
「お前ら何言ってやがる!! 俺は可愛くなんかっ… 」
ゾルがそう言いかけると、見た目とは裏腹にその身を捩らせて、クルリと回転し、宙へと舞った。
「っない! … まぁいい、仲間を探すんだろ? 早く奴の所へと行こう。あそこを通らなければ、月華山には行けない。ついて来い」
「うん! ゾル! よろしくね! 頼りにしてます!」
その真っ直ぐな言葉に、ゾルは頬が少し赤くなった。
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こうして、アルネ達はゾルに連れられ、その ’待つ者’ という男のもとへと足を進めた。
息を吐くと、白い息が少し出始めていた。
奥に進むにつれて、段々と冷え込んでくるのがわかる。
その道中、アルネはある事を思い出していた。
ハルザの方へとゆっくり近づき、声を少し落として問いかけた。
「ねぇ… さっきの呪いの人形って、まだ持ってる?」
「呪いの人形… そんなんじゃないと思いますけど… はい、ここに」
そう言いながら、ハルザは懐から袋に入った人形を取り出した。
先ほど、滝の麓の水の中から、デイルが拾い上げた人形だ。
(ハルザったら、大事そうに袋にまで入れて… )
「これがどうか致しましたか?」
「うん… まぁあんま意味ないかと思うけど… 一応、聞いてみる?」
「ん? ゾルにですか?」
「うん… うーん… 」
「?」
「それにしても本当に不気味ね… 」
「そんなことはありませんよ」
ハルザのその言葉はブレなかった。
しかし、その様子にあまりよく思ってない者もいた。
2人の仲が睦まじく見えたのであろう。
そして、ハルザはこの人形についてゾルへと尋ねてみた。
案の定、多数派のアルネ側だった。
初見は皆、そう思うだろう。
同じような反応だった。
(やっぱりな… )
しかし、ゾルもこの人形に関しては何も知らないと言う。
「しっかし、これをよく持ち歩いているな?」
ゾルはハルザに、そう投げかけた。
「あぁ、何か感じるんだ… 」
「俺も… 感じるぞ」
「私も… 」
3人の感じ方は、それぞれ違う物だった。
三者三様。
いや、一者を除いてはだった。
「可愛い… ですよね?」
ハルザは諦めない。
「不気味一択よ」
「この瞳… 容姿を整え、髪型も変えれば… あ、ほらアルネ様のような… 」
「げっ! ちょっちょっとやめてよ! 私似の模型にでもするつもり!?」
そんな2人のやり取りを見ながら、ゾルは力が緩んでしまっていた。
(それにしてもこいつら、緊張感ってもんがないのか? これから奴の所へと行くというのに… )
しかしその緊張感さえも、更に奪われる事となる。
「ねぇ、ゾル? あなたは飛ぶより歩く方が得意なの?」
「あ? … あぁ、まぁな。というか… 」
「そうなんだっ! だってさっきのあの身のこなし、本当に凄かった! カッコいいね!」
「え? あ、そ、そうか? ま、まぁな! あのくらい大した事ない。もっと凄いことだってできるぞ?」
「え? 本当? 見せて見せて!」
すると、少し得意気にその身を軽々とバク転宙返りと、次々に技を見せた。
そのままどこかへ行く。
(あれ? 見えなくなっちゃった… )
するとアルネの左の耳元から声がした。
「おい、どこを見てる? ここだ」
「っ!? いつの間にっ!」
ゾルはアルネの肩から、クルリとその身を捩らせ、地に着いた。
「まぁ軽くこんなもんだな」
「凄い凄いー可愛い可愛いー!」
「おぉ!」
ハルザも最大限に拍手を送った。
シュリやデイルも称賛を送っていた。
「かわっ… チッ、またそれか… 先を急ぐぞ!」
「はぁーい」
そう言うと、アルネはニコニコとしながら、ゾルの後をついて行った。
すると、何かを見兼ねたヴィカが気配もなく、アルネへと近づく。
「アルネ様、少しお話ししたい事が… あちらへよろしいでしょうか?」
そう言うと、列の後ろの方へと連れていかれた。
すれ違いざまに、ルクナが横目で2人を目で追った。
「?」
ルクナのその視線の意図が分からずに、アルネは言われるがまま、ヴィカの言葉を耳にした。
「… っ!? 何ですって!?」
一同がその声にビクつく。
ある者を除いては。
何を言われたのかは、ヴィカとその主人しか知らない。
(騒がしいな… )
しかし、そう思うゾルも、この騒がしさに微かに笑みが溢れていた。
アルネはそれどころじゃなかった。
(どどどどどどうしよう… 油断してた… 確認するの… 忘れてた… )
逸れた2人が心配なあまりに、アルネは大切な物をここ数日、手に取っていなかったのだ。
そう、あれから読んでいなかった。
その結果、愛読書のうちの1冊が失くなっていることに、全く気が付かなかったのだ。
アルネの士気が、一気に下がるのがわかった。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
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