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episode13〜情報〜

たくさんの作品の中から見ていただきありがとうございます。

最後まで読んで頂けると幸いです。



翌日。


アルネは書庫室へと来ていた。


ここは国一番の書物が揃う場所、王宮書庫室である。


その机には、頭が見えない程の書物が積み上げられていた。


「まさか… これを全て読む気か… ? というか、あの短時間で文字まで覚えたのか?」


「え? 何か言った?」


アルネはその本の山から首を伸ばして、ルクナの方を見上げた。


彼は今日も綺麗な装いをしている。


「ふふ… 何でもないわ」


「そ? それにしてもそのユマン族以外の種族って、他に4種いるじゃない? 彼らってどのような種族なの? 共存していた事ってくらいしか書いてなかったから。どれかおすすめの本でもあるのかしら?」


「そうねぇ、誰も見た事がないから、どれが真実なのかどうかはわからないけど… 一応それぞれの種族に関しての書が他にもあるわ」


「その書を教えてくれない?」


「もちろん良いけど… でもまぁ… そうね。一応簡単に説明し… うーん、いや、ここはハルザに託そうかしら?」


(また、目の前で眠られると、ダメージが来るからな… ん? ダメージって… 何だ?)


(あ、声の事気にしてるのかな? タイミングも関係あるんだけど… まぁいっか… )


2人の視線が、互いにぶつかる。


「御意。ではまず、シレーヌ族ですが、その姿は半分が人間、半分が魚のようだと言われております」


「左右どっちかが人間… !? 反面が魚で… 」


アルネの耳は言葉を通す事なく、勝手に奇怪な種族を思い浮かべていた。


「あ… おそらくアルネ様が思い描いているような位置関係では… 上半身が人間で、下半身が魚… の方かと… 」


「あ… そっちか! 良かった!」


(良かったのか… ?)


「そして、ルー族は狼の姿が関係していると言われています。… と言いますかその姿は、狼そのもの。ある時にしかその姿を見せないとか。とても見分けがつきにくい種族と、言われております」


その言葉にある人物… いや、ある狼が思い浮かんでいた。


「狼… やっぱり… ノギジの事よね? 絶対… そうよね?」


「そうだな。喋ってる時点で、可能性大だがな… しかし、どうやって確かめれば良いのかしら?」


「それはあれよ! 旅に出たらきっと分かるわ! 他の種族でもいい。何かの手掛かりが、ノギジにもきっと繋がるはず!」


「まぁそうね… 彼の仲間も見つかるかもしれないしね」


ハルザは続ける。


「… そして1番多く存在していたと言われている種族、アンセクト族です。その姿は昆虫と言われております」


「こ、こんちゅ… 」


「昆虫と言っても、その種類は様々だと言われています」


ハルザはアルネの想像がゲテモノに変わる前に、次の知識を植え付けた。


「どのような種類がいるのかは、詳しく判明されておりませんが… その美しさは暗闇ほど、輝きが増すとかならないとか… 」


「本体が光るっていう事?」


「… それはわかりかねます。情報が少な過ぎるものですから」


「そうなんだ… でも、詳しい本には書いてあるんでしょ?」


「いや、それも確かめる術がないの。真相は詳しくは… 始まりの書以外の書物は、全て父上が書いた物だから」


「え!? そんな最近!? それなのにこんなに書いてあるの!? 出会った事もないのに!?」


(俺もそこがずっと引っかかっていた。出会ったことがない… ? 本当にそうなのか? この妙に真実味のある内容… これらの情報を流した者が、どこかにいるはず。父上一代の知識だけでは、ここまで、到底わからない。一体誰が… ?)


段々と考えに耽り始めるルクナを横目に、アルネは自身の知りたいという欲を全面に出していた。


「ねぇねぇ、ユマン族の事なんだけど… 順番的にいうと最後のフェール族以外は、すべて絶滅してるのよね? てことは私達以外の種族は既に… 」


「… ここでひとつ。はじまりの書においてですが、第2のアルジャン族と第3のブロン族、この2種族が、絶滅しているという記述があったのを覚えていらっしゃいますか?」


「えぇ… 確かにそう書かれていたわね? それがどうしたの?」


先程からのその言葉遣いに何の違和感もなく、対応するハルザ。


「では、他の種は?」


「ドレ族とデュー族ね? それに関しては確かに書かれていなかった。しかしそれは、確認がただ取れていないというだけで… いや、というよりは、特に今まで気にしていなかった事ね… 歴代に代わり移っていったと記述があったから、てっきりユマン族はフェール族になってしまったのかと… 」


ルクナのその言葉に、確信を得たように、ハルザはゆっくりと考えを口にした。


「そう… この5種族の中の、はじまりのドレ族と風雲児のデュー族、この2種族に関しては、滅びたという記述が何処にも記されておりません。これは、滅びたのが ‘確認できていない‘ からというまでの事かと。しかし、この事実から、もし未だに生き残りがいるとしたら… 」


するとその言葉に、一気にルクナの顔色が変わった。


「まさかっ… そんな… ドレ族とデュー族の生き残りが? この世の何処かにいるというのか? もし本当にそうだとしたら… 」


「ルクナ! ふふ… わかってるはずよ? 探しに行けばわかるっ! あぁ! ほんと! ワクワクして来た!」


「そんな簡単に…… そう… だな… ふふ、わかった!」


その大きな一言が、ルクナの世界を更に明るくさせた。


ルクナには、その姿がとても眩しく見えたのだ。


「ルクナ様… あくまでも可能性が高いと言うことなので… 何とも… しかし、この世の均衡を元に保つためには、他の種族達も探す必要があるのは事実です」


「あぁ、わかっている。彼らは既に滅びている可能性があるかもしれない。しかし、探しもせず、やることもせず、その可能性を俺達が潰してはいけないな。まだどこかに存在するのであれば、滅びゆくその前に… 」


すると、ヴィカがアルネの顔に近づいてそっと言った。


「本当は… かなり前から念入りに準備を初めていたんですよ? ふふ… ルクナ様本人も、この旅をとても楽しみにしていらっしゃるようです」


その言葉を聞いたアルネは、自然と笑みが溢れた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


それからハルザの更なる講義も、滞りなく進んでいった。


そのおかげもあって、アルネは種族の事だけでなく、この国の事も学ぶ事ができたのだ。

何より学ぶという行為が、彼女には楽しくて仕方がなかった。


この国の言語を教わったアルネは、本日も書庫室の本を読み漁っていた。


それを何冊か借りて、自室へと持ち帰って来ていたのだ。


ベッドに座りながら、ぶつぶつとその本を音読していると、寝支度を終えたルクナがベッドに入ってきた。


(今夜もか… 今回は随分と分厚いのを持ってるな… )


「アルネ、あまり夜更かしをするなよ? あと数日で出立するんだ」


「えぇわかってる… 」


(わかってるのであれば、毎晩毎晩繰り返さないだろう… まぁいざとなれば、俺が… )


するとアルネの疑問と復習が、ルクナへと飛ぶこととなる。


「ねぇルクナ。ブロン族を滅ぼしたと言われる神… というのは、今もこの世界の何処かに存在するのかしら?」


「さぁ… 本当に実在したのか、更にはどのような姿をしているのかは、未だ不明だ。もしかしたらその辺にいるのかもな?」


「へ!? その辺に!? … まぁ、神だもんね。人の姿をしているとは限らないし、想像以上の凄まじい生き物の姿かもしれない… それに、今の私達、フェール族って、そんな荒んだ種族なのかしら?」


「それは慣れだろうな。今、この時にしか生きてない者達の慣れだ。他を知らないからこその。そして、目の前の事しか、見えていないからかもしれない。他の国や見えない所では、想像以上の苦痛を抱えている生き物がいるんじゃないのか? そして、それまでの時代は、今以上に色んな事が豊かだったのだろう」


「なるほどねぇ… ふふ」


「何だ… ?」


「ううん! さすがは一国の王子様だなぁって。ふふ。いつもそういう話し方なら、それっぽいのに」


「ゔ… ん」


「ふふ、じゃあ復習ね!」


(え? 今から!?)


「私達ユマン族は、ドレの時代から始まって、アルジャン、ブロン、デュー、そして現在のフェールの時代になるんだよね?」 


「その通りだ」


「その始まりのドレの時代では、皆が幸せに何不自由なく暮らしていたんでしょ? その彼らは ’太陽の種族’ と言われていた… 」


「うむ… 」


「次にアルジャンの時代では、4つの季節に分かれた。あぁ、これが四季の始まりかぁ。んで、そのために家を造ったり、自給自足をし始めたりしたのよね。うーん、ここまでは良かったみたいだけど… 」


「う…… ん」


(… 非常に眠い)


「この次のブロンの時代から、人々の心が荒れ始めた… 海へ出たり、金属を求めたり… 欲求という欲求が人々の心を争いへと導いた。そして国という概念ができ、境界が生まれた。そして、神は人々に怒り、滅ぼすことに決めた。だけど、滅んだと思われてた人類が、ある山に2人の人間が生き残っていたと言われているのよね? それが ’風雲児デュー‘ の時代の始まり。でも何でこの2人は生き残っていたのかしら? … うーん。そしてその時代が終わり、今がフェールの時代って事ね。ユマン族も色々とあったのねぇ? ん? ね? ルクナ? 聞いてる?」


そう言いながら、目を閉じていたルクナの瞼を2本の指でこじ開けた。


もちろん、本人は意識が飛んでいた。


しかし、アルネの顔が突然目の前に来たものだから、彼の魂は一瞬にして、飛び起きた。


「なっ… びっく… りしっ… うわっ!」


その瞬間、2人は布団ごとベッドの下へと転げ落ちてしまった。


しかしこの状況に、笑いが込み上げて来てしまったアルネ。


「ぶふっ… ふふ、全然痛くない… ふふふふ… びっくりしたね! ふふ… 」


その屈託なく笑うアルネの表情に、その大きくなった鼓動が笑い声と共に、全ての感情が表へと飛んでいってしまった。


「ふっ… お前… ふふっ、それはやめ… ろ… ふっ… 眠気が一気に吹っ飛んだぞ」


「ごめんごめん… ふふ」




最後まで読んで頂きありがとうございます。

またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。

何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。


また、心ばかりの評価などして頂けると、励みになります。何卒よろしくお願いします。


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