私復讐代行します
前回の続きです
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あれから数日…
結局この数日間も人間は途切れること無く来ては帰って来ては帰ってを繰り返していた
そのせいかこの世界の言葉にもだんだん慣れてきて『異能』 『鑑定』のおかげもあいまって聞き取れるようになった
いやぁ! この世界の言葉に慣れてよかったぁ!
しかも『念話』で発する言葉もこの世界の言葉になってよかったぁ!
私はそんな安心感にさいなまれていたこの日事件は起きた…
この日も人間が来ては帰るを繰り返しているのを感じていたその夜
いつものようにマイホームで寝ているとドーンという音で目を覚ました
何々!? 何が起きたの?
私は気になり外に出たするとそこには小顔で白髪の少女が木にもたれ掛かっていた
その少女は脇腹と右足から血を流して息が荒くなって顔色は青ざめていた
どういうこと!? 何が起きているの?
私はこの状況を必死に分析しようとしていた
するとそこに数日前に見たのとは別個体の大蛇が現れた
少女はもたれ掛かっている木を使って何とか立ち上がるが力が上手く入らないのか上手く立ち上がれずすぐに座り込んだ
すると大蛇が少女に襲いかかる
私は『固有能力』 『毒液玉噴射』を使って大蛇を吹き飛ばして少女がもたれ掛かっている木にぶつかって絶命した
「誰?」
少女は周囲を見渡す
あぁ! 何やっているんだろ私!
今さら後悔していた
人間だった頃何百という人の命を奪ってきた私が無慈悲に人を殺していた私が今さら人助けるなんてそう思いつつ本当に反省していたのかとここでようやく実感していた私は仕方なく少女の前に姿を現した
「あなたが助けてくれたのねぇ?」
えぇと! そうだ! ここは『念話』使います!
【『固有能力』 『念話』を使用します!】
(そうだよ! とりあえず回復魔法を…)
私が『異能』 『回復魔法』を使うと魔方陣出るが少女は首を横にふる
(ありがと! でももう私は助からないの!)
少女は死を悟っているのか感傷に浸っていた
「ムカデさんお願い… いや聞いてもしょうがないか!」
(もしよかったら叶えてあげるよ!)
「本当!」
私は長い体を縦にふると少女は晴れやかな表情をうかべた
「ありが… とう!」
少女は血を吐き涙を流しながら感謝した
「お願い… 私の代わりに二人を… 殺して!」
少女の目は死を覚悟し託そうとしている目だった
殺し屋だった私にしか分からない目だった
(わかった! 詳しく聞かせて!)
「わかっ… た!」
「私… はケルテア王国で駆け出しの冒険者をしていたの… そんな中… この森の定期調査のクエストが出ていてわたしと二人の仲間と一緒にこの森の調査にきたの… でも… 二人にとっては好都合だったみたいなの… 彼らにとって私はただの金を獲るための道具だったの… そして八日間森を調査して街に戻って足りない物を用意して行って戻ってを繰り返したの… そしてこの森の調査を初めて九日目の今日… 私は仲間と思ってた二人に裏切られて… 脇腹を切られて右足を刺されてこのザマなの… だからお願い私の代わりにフウロウって男とベルンって女を殺して!」
私の内心で怒りが沸々と煮えたぎっていた
(わかった! 私があなたの復讐を代行してあげる!)
「ありがとう! ムカデさん! ムカデさんに『名前』をあげるよ!」
(『名前』をあげる?)
私は言っていることの意味が分からず呆然とする
「それとお願い! 私を食べて!」
さらに意味が分からないことを聞いて呆然とする私
(どういうこと!?)
「そのままの意味! 私という存在を世界に残したいのお願い受け取って!」
(わかった! 受け取るよ!)
「ありがとう! 私の名前はキウス·サウレラっていうのあなたにサウレラの家名とノエルを組み合わせてノエル·サウレラっていうのはどう?」
(うん! ノエル·サウレラでいいよ!)
「ありがとう… 最後に…撫でさせて!」
キウスの左足の上に乗った私を虚ろになっていく意識の中で撫でるキウス
「ありがとう… 私のお願い聞いてくれて…」
キウスはそう言い残して彼女はゆっくりと目を閉じて亡くなったその表情には晴れやかな笑みをうかべて逝った