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「では、ですね」
私は二人の話をまとめ始める。
「エドモンドは、元々私とヒューイが実の兄と妹だと始めからご存じだったんですね」
エドモンドが静かに頷く。
ああっっと私の声がもれた。恥ずかしさで、頬が熱くなるのが止められない。
「ヒューイが公爵家へ養子へ出て、頻繁に私が遊びに行っていたときに、エドモンドも来ていらしていたんですね」
「はい。姉と遊びに行ってました」
「でっ、でっ……、そこで……」
エドモンドが私を気に入ってくれていた……。その言葉を発せられず、どもってしまう。気恥ずかしい。誰かに知らずに好かれていたなんて……。
「あまりにも、マリアがヒューイを好き過ぎて……。ああ、僕もあんな風に誰かに好きになってもらいたいと思ったんだ。誰かを夢中で好きな姿って、すてきだなと思ったんだよ」
かああぁぁっと私は赤くなる。
エドモンドが言うように、本当に、本当に私はお兄様のヒューイが大好きだった。
なにをしても出来て、頼りになり、自慢の兄とはこういう人を言うんだと理想を体現したかのような存在だった。
結婚できないと知った悲しみは計り知れなかったぐらい……。
「入学したら君に会えると思っていた。同い年だからね。でも、留学の手続きが思いのほか日数を要してしまい、教室に合流する日がずれてしまったんだ。
だから、僕はヒューイにお願いした。マリアに恋人ができないように見張っておいてと……。ごめんね。僕が原因で……、教室になかなかなじめなかったんでしょ」
「いや、もう、それは……」
私はすごく恥ずかしい。
大好きな人二人に囲まれて、今こうして、ここにいるだけで、本当に、恥ずかしくて、恥ずかしくて、顔があげれなくなってしまった。
☆
三年時に家庭科を選択し、無事に卒業した私は、エドモンドと結婚する運びとなった。
ウェディングドレスを着て座っている私のそばに、ヒューイがきた。
「馬子にも衣装とでも言うんでしょ」
減らず口の私が余計なことを言ってしまう。
ヒューイは首を左右に振った。
「まさか。
今日は今までで一番きれいだよ」
彼のそんな恥ずかしいセリフをさらっと口にして私は目を丸くする。
「かつてマリアが俺を好きだったように、俺もちゃんと君を好きだったよ」
「……お兄様……」
こんなところでほろっとくるのはまだ早いのに、私の目は潤みそうになる。
「結婚、おめでとう。マリア」
「ありがとう……」
かつて、一番大好きだった人。
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1話から読まれてる方へ。ラスト裏切ってます。謝ります。悪意も悪気もありません。本当になかったんです。作者的には予定調和。でも、ごめんなさい。
読んでいただき心よりありがとうございます。