プロローグ
新作。なるべく投稿頑張る。
「はぁ‥‥なんでこんなことをしないといけないんだ」
俺は机に置いてある書類の山を見てそうつぶやく。多すぎる。なんでこんなに書類があるんだよ。
というか、なんで俺がギルドマスターなんかやらないといけないんだよ。めんどくせぇ。
「マスター。しっかりしてください。あなたがその書類を片付けないと帰れませんよ」
俺の横にいた女の子がそう言った。
彼女はマリヤ・フローレス。ギルドマスターである俺を補佐してくれている子だ。
帰りたいが、この書類を片付けないと帰れないみたいだ。
はあ、ギルドマスター辞めたい‥‥。けど、ギルドマスターはやめたいといって辞められるような職業ではない。やめようと思ったら領主の許可が必要なのだ。
俺は一度領主に『辞めさせてください』とお願いした。しかし、領主は俺が辞める許可を出さなかった。何でやりたくないのにやらないといけないんだよ。
「はぁ‥‥さっさとこの書類を片付けるか」
「早くしてくださいね、マスター」
**********
やっと終わった‥‥。あの書類を終わらせるのに3時間くらいかかった。
外を見るともう日が落ち始めていた。
「終わりましたね、マスター」
「お前のおかげだ、ありがとう」
「‥‥褒めても何も出ませんよ」
なにかが欲しいとかじゃなくて、マリヤには本当に感謝している。マリヤがいなかったらもっと時間がかかっていた。
ギルドを閉めて帰ろう。そして寝よう。‥‥と思っていたら、なにやら問題が起こっているみたいだった。
「マスター。何やら問題が起こっているみたいですね」
「そうだな。‥‥はぁ、止めに行くの面倒なんだよな」
「しかし、それがギルドマスターの仕事です」
「へいへい」
はぁ、面倒なことに巻き込まれたな‥‥。
受付のほうに様子を見に行くと、何やら二人の冒険者がもめているみたいだった。
「テメェがぶつかってきたんだろうが!!!!」
「いや、キミがぶつかってきたんだろう?なぜボクが謝らないといけないんだい?」
「うるせぇ!俺の剣の錆になりたいか!」
「ボクの剣の錆になる、の間違いじゃあないかい?」
あの二人いつも喧嘩してんな。確か、最初に怒鳴ったほうがボウガン、それに反論してんのがガンツだった気がする。
二人は今にも剣を抜いて戦いそうだ。
あれを止めるのか‥‥。両方話が通じなさそうな相手だから止めるの嫌だな‥‥。でも止めないと子のギルドの評判につながるし‥‥。
はぁ、仕方ない。さっさと止めるか。
「まぁまぁ落ち着け、お二人さん」
「あぁ?なんだよギルドマスター。邪魔するってのかぁ?」
「マスター、どいてください。今からそいつをボクの剣の錆にしてやりますから」
まじで話通じないな。俺早く帰りたいんだけど。
‥‥ここは必殺技を使おう。
「ここで問題を起こしたら、最悪の場合ギルドカードの剥奪をするぞ?」
「え、それは‥‥」
「えっと‥‥」
「わかったらここで問題を起こすな。分かったな?」
「「は、はいぃ!」」
うん、ギルドカードの剥奪はやっぱり最強の武器だね。
ちなみに、ギルドカードが剥奪されると冒険者として働けなくなる。だから、冒険者にとって一番恐ろしい武器になってしまうのである。
「止めてきたから俺は帰る」
「わかりました。ではまた明日」
マリヤに一声だけかけて俺は家に帰る。はぁ、疲れた‥‥。
**********
「ただいまー」
「「お帰りー!」」
俺が帰りのあいさつをすると二つの声が聞こえてくる。そして、どたどたと足音を鳴らして俺のほうへとやってくる。
「お帰り、アレスにぃ!」
義理の妹であるアルテ・アイテールが俺の前までやってきた。
アレスというのは俺の名前。アレス・アイテール。それが俺の名前だ。
それにしてもこいつ、いつになったら兄離れをするのだろうか。もう18歳だった気がする。そして俺は25歳。そろそろ兄離れをしてもいいと思うんだが‥‥。
「お帰り、兄ちゃん」
そう言ってきたのは義理の弟のクロノス・アイテール。こいつもまだ兄離れしていない。俺に引っ付いてくる。16歳だから兄離れしてもいいと思うんだが。
「そうだ! 聞いてよ、アレスにぃ! 今日はレッドドラゴンを倒したよ!」
「俺もアイスドラゴンを倒したよ、兄ちゃん!」
今日もこの二人はSランク級の魔物を倒してきたみたいだ。
ちなみにこの二人はSランク冒険者だ。けど、Sランクだからこの街に帰ってこれるのは週に三回だけなのだ。
だから、帰ってきては俺に甘えてくる。
「そうか。俺はもう寝る」
「わかった! お休み、アレスにぃ!」
「お休み、兄ちゃん」
はぁ、さっさとギルドマスター辞めたいなぁ‥‥。
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