★7-3★(2)
「リズ・キングのルーズが繰り返され、狼狽えるその瞬間にエラーの痛覚信号によって、ファイヤーウォールの隙間が見えるのですが。その先へ突き抜けようとすると、ゴーストに裏をかかれ空っぽの格納番号へ導かれていくだけなんです」
「やっぱりね。アタイが入らなければずっと幻かもしれない」
「駄目です。まだフルコネクトが出来ていません。
肉体が分子レベルでの破断を促して瞬時に消滅するかもしれない。
消える。
死を意味します。
レイ、
絶対ダメ!!! 」
「でも行くしかないンゴ。
うふふふっ。
悪いけどゲームはイチゴんに任せる。
イザナが次の覚醒を成せるように、アタイらの友達と一緒に導いてあげてよ。直ぐに戻って来るからね」
「うっ、仕方がありませんね。
危険を感じたらすぐに戻るのですよ。
それでは・・・・ワタシの分身を持っていって下さい。離れていてもお互いを引き寄せ合う赤い契り。
何かの助けになるかもしれません。
必ず一緒に成れますように」
ワンピースのスカート丈半分を破りスカーフにし、怜のソースコード態に結んであげた。怜の身体に鮮やかな血の獣がニヤリ笑ったビジョンが瞬いた。
「このブラッドカラーは二人の契りのワンピースってか、アハっ。
うれしいなあぁ、生きていく心のレッド。
ドッキドッキ、バゴーンじゃ。
スコ、うふふっ」
「そうです。
あと、怒られるかもしれませんが、ワタシは怜の為に存在することが正義なのです。そういう人間になって死にますから」
「もうやめンゴじゃ。
このAI任侠感、ツヨッ!!! 」
「え、それは?
不勉強でした。次回までに研究しておきます」
「ヒヒヒうふふっ。よろしく頼むンゴ」
「承知致しました」
一旦離脱した怜の不在時間がこれほど絶望に思えるとは。
イザナの泣き言に我に返りました。何度もトライしてもうまくいかない沼で苦しんでいるようでした。
「アネキよ、
敵を破るだけではなく、味方に受け入れて身を守ってもやっている。宝だって分け与えている。それなのになぜ、こいつらは肝心なところで裏切るんだ。
ちゃんと学習して活かしているつもりだぜ。
訳が分からん。
このゲームは狂っている。
何故に俺は、強さゆえに負けてしまうことに陥るのだ?」
そんなイザナの肩をメルーナが抱くのでした。厭らしいけど上手く寄り添う村川に対して、少し見直しているワタシがいました。
「イザナ君の辛みは痛いほどわかる。
ボクもいろいろ理不尽な仕打ちに耐えているから。この世界は狂っているよ。でも、現実に存在している人間界の縮図とも言えるから、ここで生き抜いたらイチゴに生意気なことを言わせないで済むよ。
内緒だよ」
聞こえていた。




