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いつの間にかその隣には怜の涼しげな目元に中世的な気配をいかした倉木さんのアバターのユートがいました。こちらも彼女にとっては異性のアバターになるが、いい趣味に思えた。少し怜にも似ていて好感が持てる。
そこへ懲りないリズ・キングが舐めるように見ながら、
「男だがユートも可愛いな。
最初の獲物はどちらにしようかな、キキキキヒヒ。
どっちもいけるな。
お?」
更に近づき触れようとしたが、リズ・キングのアバターはフリーズしたかに見えた。
「どういうことだ動かんぞ、おかしいぞ」
当然のことでした。
「正常な状態なんよ。
君はまだそこのふたりと接触できるレベルにないからな。
経験を積みレベルを上げなさい!
なんだな」
「くそ、騙しやがったな。
まあいいや、やっつければいいのだな。
皆殺しにしてすぐ戻って来るから待ってろ」
テレポートでアタックステージへと消えてしまった。ちょっと馬鹿に見えるような浮足立った行動が目に付く奴。
「早っ!
イチゴん行っちゃったよ。計画通り行きそうかな」
「はい、大丈夫です。
まだ彼は、怜さんを甘く見ています」
「星野さあ、なんか。。。
いい塩梅で融合されてますね」
「ギャっ」
メルーナとなった村川にスッと抱きつくほどの距離に迫られ、怜とワタシは同時に声を上げてしまった。ですが、直ぐにユートがメル―ナを回し蹴りで倒していました。
「倉木さんありがとうございます。
ワタシが守れない時は怜をお願い致します」
「当たり前じゃん、任せてよ」
「イテェよ。アバターが変な動きし始めてるから止めて」
怜はワタシの了解も無くアバターを動かしてメルーナに触れさせました。
「だからさ、二人の力がアタイには必要なんだ。
イチゴんも嫌わないの、イイね? 」
怜は何かのソースコードを少し歪になったメルーナの首に沁み込ませるのでした。怜の意思だとしてもワタシのアバターがベースでありその指先が間接的に村川を感じさせることは抵抗があるのに。
でも、怜には逆らえないので、いつも以上にワンピースの揺れを抑えて魅力を下げてやろうなんて、少し反抗を表すくらいはしてみました。
そんなワタシの感情など知る由もなく、
「あ、そうなの?
照れなくていいのに、任せろ。
俺がんばるよ」
その一言で村木メルーナは生き返ったようです。
正直、こういう時の村川の調子よさはムードを変えるポイントにもなるので助かるのですが。
すると、時を同じくして空にネオンサインが瞬きます。
『リズ・キング LOSE』
「え? はっや!!!!! 」
皆が一斉に声を上げていました。




