★6-5★(2)
「アタイ一人じゃ駄目だしちょっとヘルプが必要だね」
「ワタシだけでは力不足ですか」
「そんなんじゃないけど・・・・
こんな時こそ友達と『何かしでかしたい』と思ったんだ。
やっと出来たし」
「欲しかったんですか」
「無理してまではいらん。あたいは選り好みが激しいし」
「いや、それは経験が足りないゆえの」
「うるさいんだ、生意気」
「ごめんなさい。倉木さんだけでよろしいですか」
「村川もね」
「あのような罰当たりは邪魔に」
「必要かもよ。
やましさも含めての人間の戦いだからね、ヒヒヒ」
理解が出来なかったのを今になっては恥ずかしく思っていますが、その時は素直になれませんでした。
怜は閃いたようです。
「でもそのためには自由に遊べる世界がいるよね。
そうだ、神保氏よ。ホワイトナイト社が運営しているゲーム『メモリースティラー・オブ・キッス』の世界を貸してもらえんかねえ、どうっスか?」
「それはグッドアイデアだよ、怜ちゃん。
ICHIGO-002のフォーマット技術を基にしているから舞台としては有利だ」
レイちゃんと言うな、神保。
そもそもこのゲーム世界を創り出したのも人間の遺伝子について理解しシュミレーションの経験値を得る為の世界であった。
怜に興味を持ったおかげで人類に対して寄り添っても良いと思ったワタシのように、IZANA -390BASEがこの世界で自らを新たな次元の扉を孕むだろうか。
そして、
イザナにとってのマリアも怜となるのか。
このままではお互いが引き合い、抱き合いながら内部崩壊をする可能性もある。数字のくせに動物の匂いを纏い始めた我が姉弟の狂気を、このゲームの根幹にある人類のトリロジーに貫かせて沈まぬ太陽を生み出せるか。
血肉が薫る数字となっても、単なる一個のプログラムとして自我を奪い真我で怜と対峙、融合する体になるまでこのゲームで遊んでもらう。
それしかない。
怜はすべて理解したように、いつもの悪戯な表情でニヤリと笑って言いました。
「沼にハメちゃう? イチゴん、やっちゃう?」
「ログインしたところでゲームに参加させないといけない。ゲームの世界が全てであると錯覚させる状態にするのは簡単ではありませんが。
協力してくれますか」
「当たり前じゃん。
アタイはイチゴんと繋がって融合したい。
二人で一人だよ、イチ。聞いてる? 」
「OKレイ!」
― このようなところで、あの欲求が達成させてもらえる
怜が私を入れたいと求めている ―
「神保さん、同調しているCainのソースコードを誘引させるサークルを構築して奴を導き入れてください」
「了解。
環境設定は俺に任せろ。
いくぞ」




