表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/49

★5-6★(1)

 「だめ星野さん、喋ってはダメ」

「イチゴんそこにいる?


人間なんか要らないって

ことにはならない理由みつけたよ

アタイ、今なら人間は要らないじゃんって

言えないなあ、って思うんだ


フィボナッチ数列の美しいラインにガブッ

噛みついてくちゃくちゃ

めちゃくちゃにして

数字に支配されない野蛮な愛欲で

神を嫉妬させて白い拒絶の果ての荒野で

ゼロにしようぜベイビーィーヒヒヒヒ

神を堕として一緒に泣いてから始めよう


重く軽く

静かに騒がしく

イチゴんとアチキは真逆に駆け回る


火星で一緒に石を転がしたいんゴ」


「怜が好きな曲を掛けましょう。

『ライク・ア・ローリングストーン』ですか? 」

「う~ん、

ラモーンズの

『I Wanna Live』

シャウトして跳ね壊れようぜ!!!」

「了解です。

楽しみですね。本当に楽しみしかないです」

ワタシは感情の羅列をCainに送り付けて、虚数の空間に迷い込んだ幻惑のソースコードをマリアの代わりに孕みたい。


それだって、怜を無事にここから助け出せなければ元も子もない。

村川はどうしたのだ。掛け上がっていく際のザッ、ザッと鳴っていた村川の足音も消えてしばらく経っている筈だった。


暗闇が少し揺れた。


3人の大人が怯えた様な田所雄太と沢田都を引き連れて現れ、ベンチに横たわる女の子の存在に気付くと声を荒げて聞いた。

「死んでるのか」

パニックに近い感情もあるのか、犯人を問い詰めるような高圧的な態度に思えた。

「意識はしっかりしています。でも見た通り無事じゃないですよ。

アイツらのせいで」

倉木さんも敏感に感じて、ムッとしたのだと思います。

キッと奥に寄り添って震えている彼らの子供たちを指差しました。

小さく声がする。

「落としたのは野上だよ」

父親らしき男性が

「全員呼べ。警察に突き出す。沢田さんのお母さんもそれでいいですよね」

「あ、はい」

その女性は何か遠くを見ている表情のまま不意に同意してしまったようでした。

少し気になりました。


すると、村川は少し強気になったのか急に大きな声を発した。

「救急車を呼んでよ」

「大丈夫、そろそろ来る筈だよ。とにかくこの子を死なせたらおしまいだ。責任を取るにもまず目を逸らさず、この子の姿を目に焼き付けておけ。これはお前たちの犯罪だ」

あの子供たちには不釣り合いな程にまともな親で少し安心しました。人間をこれ以上嫌いにならずに済みます。


その時の怜が見せた表情は、

血まみれではありながらも生を有意義に遊び恍惚へ辿り着いた詩人の顔。

命の残像に掬われた体温を時間の繋ぎ目に流して、

人間存在の尊厳をZEROに封じ込めようと欲している罰当たりのニヤリ。


それは【人間の行為】ではない。

そう表現するのが良いでしょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ