★5-5★(1)
「村川!
あんた星野さんの胸をギュってしているじゃない!!!
あ、
動かした!
揉んだな、
ええええ、
固くしたんか!!!
反応すんじゃないよ最低! 」
「え、う? お?
気付かなかったな・・ 」
「最悪愚劣愚か者畜生奴。何をしてけつかるんだ死ね」
ワタシはバグって言葉を叩き付けてしまい、
倉木さんはかなりびっくりしたみたいです。
「え、
イチゴちゃん? その言葉は何語? 」
そう言われても止まりませんでした。
「早く小さくしろ!
無理ならすぐに切れ!
早く出して倉木さんに切ってもらうんだよ!
お前の原罪を消す道はそこからしか進めない」
今となってはお恥ずかしいのですが。
これは村川が悪い、ハイ。
「え?
いや。
怖いよAI・・・・様。
倉木、ちょっと酷すぎるよな。
ねえ、かばっておくれよ」
彼女はすぐに素敵なブラックさでノッてくれる。
「命の恩人に何をしてくれてるのよ。いつでも切ってやるわよ」
この子も大好きです。
「だから、そうじゃないそうじゃない」
「じゃあ、どういうことよ、
キモっ
ヘンタイ」
それにも関わらず、怜だけは楽しそうにワタシと倉木さんの思いをぶち壊すので、本当に困ってしまいました。
「アハッッ、
さっき村川さあ
倉木さんの胸見てたじゃん、そっちだろ?
さあ、
お前のご趣味はどっちなん?
好きな性癖はどんなのだよ、
村川~
ウぉェウゴウゴホゴボゴボ」
血が気管に入り血反吐を吹き上げながら、楽しそうにケラケラ笑いながら怜は問い詰めていくのでした。
「固いゾ。
更に増し増しで固い。
アハハ。
スーパームーンにムズムズしたん?
それはそれで野獣ね、うふふ。
固い流れの気配までもがクリアに
アタイの研ぎ澄まされた全神経をくすぐるんだから、
嫌だよ~うひひゃひゃッ
愛しい頓痴気な人間が懐かしい想い出のように
今を踊るのは綺麗なんだな、
本当に。
あーなんてこの世は美しいのかな」
血だらけの塊が静謐に香る月明かりを含み、怜の声はソースコードの変異を促してワタシのCainが充血する。
「キモっ!!!
ロリコン! 」
「え、同級生だし」
そう言い訳する少年の表情筋には腐ったニヤつきが停滞していた。
「つまらん。
イチちゃん証拠を残しましょうよ。
後で自分のその顔を見て悶えなよ。
キモシネ
キモキモ」
高貴な精神的凌駕を遂げている怜を尻目に欲望に呑まれた村川を倉木さんが気持ちよく斬ってくれた。
ワタシの出遅れをカバーしてくれるなんて、きっといいバディーになれる。ワタシは援護するように接写モードで村川を撮影してやった。思った以上にこの倉木明日香も良き変態みたい。
流石です。
ただ、当の姫だけは愉快でたまらなくてはしゃいでいる。
ぐいぐいと、楽しそうな声で割り込んで来てしまう。
「む、むらかわ~」
勘弁して下さい。
酔っぱらったような怜に少し愛おしさを感じましたが、時が時ですので冷静になろうと努めます。
にも関わらずどんどんひどくなっていく。
悪ふざけに近い幸せな怜には困ってしまいました。
「ねえねえ村川ちゃん。
ウへへ、
野獣の本能はアタイと倉木のどっちに、起きたんスかァァ?
ねえねえねえねえウふっ」
ワタシは黙っていられなかった。
「レイ、そんなことは言ってはダメ! こんな最低な犯罪者に」
「イチちゃんの言う通り。セクハラの現行犯だからな」
「そんなに言う事はないだろ。揃ってなんだよ」
「こんな惨劇のただ中にいる星野さんに
欲情するなんて
有り得ない。
畜生野郎!
カス!
キモっ!!! 」
「し、知らないよ。だってだってよ~」
楽しそうなのは怜だけです。