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第五章  ★5-1★

 その日は放課後、学園祭に向けた話し合いがあったようです。怜が学校を出る頃はもう薄暗くなっていました。


「お待たせ。催し物を決めるだけでえらく長引いたぜよ」

「怜は何か発表されるのですか」

「プラネタリウムを元にした宇宙の展示でもやっとくかって、押し付けられ申した。なんだけど、嫌じゃないしまあいいかなって。個人じゃ出来ないような金のかかる事を経費で出来るのもラッキーやんな」


「一人でやられるのですか」

「いや、三人。ハブられ友達さ」

「友達?

またおかしなことを言いだしましたね。一緒に共同作業が出来るのですか。その方たちはどこに?」

「先に帰った」

「まさかその奇跡の友達にも早速ハブ? 」

「違うわぃ! アタイの家庭事情を忖度した担任による面談で拘束されただけじゃ」

「いろいろありますものね」

「何だと! こそこそ嗅ぎまわっていやがるな、そんな奴は投げ棄ててヤル」


「これって通称、ママチャリですよね」

自転車の前のかごにぽんと投げ入れられてピンと来たのです。

「悪いかッ」

「ちょっと他の生徒たちの自転車を見てみたいな」

態度の割には優しいので、そっと全体を映してくれます。

「ママチャリ通学のJKなんて、珍しくありませんか」

「え? そうかな知らん」

「現在地50メートル範囲内はノー・ママチャリですよ。一台もありゃしない」

「みんな帰えっちゃたんじゃね。それか、暗いから映りにくいんじゃないでしょうかね」

怜のスマホのカメラは高性能で多少の暗さでは問題ありません。


「まあいいのですが。

そのような些細な事でも未熟な人間の子供というものは、冷やかしたり言いがかりなどを付けていじめをする事例がインターネトには溢れている」

「クソいるよね」

「ワタシは心配なのです」

「え、弱そう?」

「はい」

「へこむ」

「小さいですよ。軽く押したら転がりますね」

「ひどし。病むわッ

病んだ」

「ワタシは守りたくても、今の時点では限界がありますから。じれったいと言えばいいのでしょうか」

「AIジレル」

「意味が解りません」

「えいあいじれる。じれちゃうんか? 」

「・・・・」

「アハヒヒヒヒ、

 ねえ、イチゴン知っとる? 」

 「は?!!」

「ごめんッて、怒らんでよ」


怜は自転車を漕ぎ始めます。

「フフフ、今日はスーパームーンなんだって」

「すみません。見えますか? 」

「まだ商店街だから明る過ぎてまだ見えんのかな。少し行けば街灯があるだけの川沿いに出るから、そこからすごいやつ見えたりせんかな。わくわくわく。

どっち側やろうかいなぁわくわく」

「今の時間だと東の空でしょうかね」

「ちょうど、家に帰る方角っぽいじゃん。やった」

「嬉しいことなのですか」

「だって、月が一番近いってことでしょ。スゴイじゃん。ミラクルガールになるかな」

「月が近いってことは月の重力が地球にしっかりと影響を与えるってことを忘れてはいけませんよ」

「どんなですか、先生! 」


「人間の生理面にも影響もあるからか女性の場合は、この時期の生理は血液量が多い傾向もあるとか、それだけでなく精神的な面への影響で感情が高ぶって野生を呼び覚ます。喧嘩とかトラブルが多いという統計もありますね」

「今日はスーパームーンはスーパーやばいやん。どうするんやばいやんやばおです。知らんけど」


「狂ってて解らないです。真面目にして! 車の事故も気を付けなさいね」


「はいはいはい。

煩いイチゴんぶーんぶーんぶーんだぁぁぶーんぶーんフンフン。


あ、アーケード抜けるぜよ、丁度うちの家の真上にあるんじゃねって辺りにホラ、でっけいぞ、何かピンクなお月様だ。見てみ」


怜は自転車を止めスマホを月に掲げてくれましたので、直ぐにシャッターを切りました。

「あ、撮ってくれたんだ。解ってるね」

「任せてください」

「綺麗だね。えー、こんな日は素敵な夜にしかならないよ。月明かりが気持ちいいよ」

「だといいのですが」

怜からの反応が無い。

「何かありましたね」

無言のままでした。


「怜! 聞こえてますか?」

「あ、ごめん。

さっき話した、プラネタリウムを一緒にやってくれる女の子がいる」

「一人ですか?」

「他にも何人かいるんだな、

これが・・・・ 」

嫌な予測が当たりました。ワタシは直ぐに半径1K以内、特に学校からこの地点に至るあらゆる道のマップ情報を取得します。次にすべての防犯カメラの位置情報も把握。ネットに繋がっているタイプをピックアップし接続しました。


「気を付けてください。まず、そのお友達の名前は何ですか」

「クラスメイトの倉木明日香。

・・・・取り囲まれてるな」

「何人ですか」

「男二人に、女二人だ」

「どんな感じですか」

「学生だな。

うん? 」

「楽しい仲良しのおしゃべり感はありますか」

「皆無」

「知っている者ですか」

「うん、いつも倉木をいじめてる奴らだ。最近は少し大人しくしてたのにな」

「怜さんと仲良くしていたから手出しがし難かった、あっ。

何かプレッシャーを与えましたね? 」

「否、特に。

やんわりとお話はした、かな?

クソガキの思考でアタイに刃向かったら路頭に迷うこともあったりして、

エヘって、可愛く笑っただけ」

絶対に不敵な笑みでしかない。


「何を計画したかは敢えて詮索しませんが。

そういえば、スーパーとか本屋さんの防犯システムを調べてましたよね。何か弱味とか手に入れましたね? 」

「心外だなあぁ。

ねえ、それよりイチゴんってさ、ストーカに近くね?

否、

ストーカーのプロだ。

怖いこっわこっわ! 」

「何を言ってるのですか、直接肉体的なボディーガードは出来ないのですから、それ位はしますよ。出来ることを謙虚な姿勢でしているだけです」

「わ! 開き直ったよAI君が。

それに姿勢って!

ウケル~」

「怜にとって不利になる痕跡はすべて消します」

「怖いこっわこっわっっ、ウフ。

まあイチゴんに隠し事は無いからいいけどね

うれしいよ」



スキ。。

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