52 道案内してもらいます
「あの、本当に案内を頼んで良かったのですか?道無き道というか、方向もなんだか・・・」
「いいの!違った場合はまあ、なんとかするよ」
私達はシエルの案内でミルフィーの元へと向かっている。
最初は街道や細道を進んでいたのだが、カリーン先生が道無き道と言っていた通り、途中からは草を掻き分け柵を潜り抜けながら進んでいた。
「着きましただ。ここがミルフィー様の住んでいらっしゃったお家ですだ」
「そんな、コレって・・・」
シエルに案内されて来たのは、ラーゼン伯爵邸から随分と離れている上に、まるで隠されているかのように木々に囲まれ佇んでいる小さな邸の前であった。
平民にとっては大きな邸に見えるだろうが。転生前の私もこんなの見たら、うわーすっごい!豪邸じゃん~と感想が出るだろうし。
しかし平民にとっては大きい建物だとしても、貴族にしては小さいというか、なんというかコレは・・・
「ここにいた人はラーゼン伯爵の娘だと、本当にそう言っていたんだよね?」
「そうですだ。オラが嘘ついてもなんの得にもならないですだ」
「この邸の状況からしてやっぱりそうなのかも。あのねシエル、多分私の予想が正しければ・・・」
「そこにいるのは誰だっ!!!」
私達の会話に突然割り込み、さらに怒鳴るような声が聞こえてきた。
まさかラーゼン伯爵家の使用人!?よく見たら帯剣しているので護衛の兵士が何かか。
しかしそうだとしたら不法侵入しちゃった私達はとてもまずい状況では・・・?
そんなことを考えているうちにその声の主であろう男性が私達へと近づいてくる。
「逃げようとしても無駄だ。そこにいるのは分かっている。さっさと出て・・・な、お前は・・・!」
「ひーすみませんすみません!悪気があったわけじゃねぇんですだ。許してくだせぇ!」
「お前、お嬢様によく会いにきていた子供だろう。・・・いやしかし以前と違ってにみすぼらしくも無いし、人違いか?」
その声言葉を聞き、頭を下げて謝り倒していたシエルが顔を上げ驚いた表情を浮かべる。
「あ、あんたはオラがここに来るときいつも居眠りしてお仕事サボっていた兵士さんじゃねえべか!」
「アレはお前がお嬢様に会いに来るときだけワザとやってたんだよ!仕事をサボっていたわけじゃねえ!というかお前、コッソリ行ってたつもりだったろうけどバレバレだったからな?それに起きてるとお前警戒してなかなか行かねえし。というかやっぱりおまえだったのか。なんでそんな小綺麗な格好になってんだ」
あれ、もしかしなくても知り合い?というかやっぱりシエルはバレずに忍び込むとか器用な事は出来なかったんだね・・・
兵士さん優しそうな人でよかったね・・・
「でも知り合いなら話が早そうで良かった!」
「いやお前は誰なんだ。こいつの友達か?」
そう言ってその兵士は鋭い目つきでジロジロと私を見る。
この流れなら自然に行けるかなとも思ったけど甘かったか。
「私は、ゲルトルーデ・ハイル・フェーブスです。一応、この国の王女を務めさせてもらっています」
「なんだ、お前たちそういう遊びでもしていたのか?しかし王女様は病気がちで外には滅多に出てこないと聞いているし、それに王女は緑系統の髪に太陽を思わせる瞳をしていると聞いて・・・あっ」
はい、その特徴バッチリ当てはまりますねえ。この滅多にお目にかかることのできない稀有な特徴をとくと見よ!!!
「信じられないなら父上に頂いた書状もお見せします」
そう言って私は肩から下げていたポシェットに手を入れ書状を・・・あれ、なんだかもふもふしているような。
「わんわんっ!」
「うそっ、わかば!?もしかしてポシェットの中にずっと居たの!?でもなんか軽かったような・・・いや待って書状、ウワーッ!グシャグシャになってる!」
わかばが居たことに驚く。いつのまにか居たんだ。というか重さをあまり感じなかったんだけど。
しかしそのせいで書状はわかばの下敷きになりグシャグシャになってしまっていた。
私は必死に皺を伸ばし、そのグシャグシャになっていた書状を涙目で兵士へと見せる。
兵士はやれやれといった表情で私を見る。
「髪と目の色でまあ分かったけどな・・・先程からの無礼な言動、大変失礼しました。自分はラーゼン伯爵家の兵士を務めさせて頂いている、クルトと申します。本日は如何様でこの様な場所へ?ここには長居しない方がよろしいかと。なんなら本邸へとご案内致しますよ」
「やっぱりココは別邸・・・それも故意に隠されていた場所ね。長居しない方が良い理由を教えてもらっても?それと、取り繕わずに先程の喋り方で良いですよ」
「じゃあお言葉に甘えて。というか、全然イメージと違うんだな王女様って。長居しない方が良いのは、本邸の奴らがお嬢様が残したとされる魔導石の設計図を探しにこっちにやって来るからだ」
「魔導石?設計図?」
「詳しい話は後だ。取り敢えず離れるぞ」
遠くから大勢の足音が聞こえてきたことから、クルトの話は本当なのだろう。
一先ず私達は、クルトの後に続きこの場を去る。
ポシェットの中からいつ出てこようかとスタンバッていたわかば。
しかし途中からずっと寝ていた。




