47 合格発表です
実技試験から数時間が経過し、結果が発表されたと放送が流れる。
結果は順位と一緒に発表されるらしくなんだかドキドキである。
15位・・・無いな。10、9・・・ワァオ3位。マジで?
ユディは1位かなあ?と1位の番号を見ると、そこには私と一つ違いの番号が記載されていた。
『イェーイ、1位デスよマスター』
「だと思ったよ!!!!」
「あら残念、私2位でしたわ。ここはエルムに向かってぎゃふんといったほうが良いのかしら?」
「僕は5位でしたよ~。良かったあ合格できて」
「おお、オレも合格してる!10位か・・・結構良かったな~帰ったら父ちゃんと兄ちゃん姉ちゃんに自慢してやろ!」
どうやらみんな無事合格していたようだ。良かった良かった。
「・・・無い」
「「「「えっ?」」」」
「俺の番号が無い!こ、これは何かの間違いだ!ックソ、抗議してやる!」
あ、兄貴!ど、どうして!貴方筆記は受かっていたじゃない!
実技そんなに悪かったの!?いやでも兄貴が魔法使ってるとこ見た事ないな・・・
「ちょっと番号見せてもらっても良いですかイグナ様!えっと・・・あっ、ありました!補欠合格の欄の一番上に書いてありますよ。イグナ様、16位だったんですね・・・」
「そ、そんな馬鹿な・・・」
補欠合格ということは、合格者の中でなんらかの事情があって学校に通えないという人や、受かったけれど入学する意思は無く、辞退をした者がいた場合合格扱いになるということか。
兄貴は1人でも欠員が出れば入学できるというわけだ。
しかしこの超難関試験を合格し15人に選ばれたのだ。そう簡単に辞退など起こらないだろう。
友人2人は自分が受かっている手前、なんとも言えない表情をしている、とも思いきやライは「まあ来年もあるからよ、待ってるぜ?」とかなんとか言って兄貴の肩をバシバシ叩いている。
や、やめたげてよお!兄貴のライフはゼロよ!
なんてながめていたら目の前にふと空色が現れる。
「うわー!あっただ!オラの番号があっただ!しかも3位だなんて、こんな嬉しいことはないべさ。それもこれもあのお貴族様のおかげだべ~」
この声に特徴的な話し方・・・私は確信する。
「シエル、私のことまたお貴族様って言ったの?トルーデと呼んでっていったじゃないの!シエルも合格したのね!それも私と同じ順位ね!おめでとう」
「と、トルーデ様!その節は本当にありがとうございますだ。あ、あのこれ、筆記用具、とても助かりましただ!」
「なんだー?姫さんの知り合いか?」
シエルの体がビクリと飛び跳ねる。そういえばよってたかって虐めていたのは男子ばっかりだったしもしかすると怖いのかもしれない。
「なんだその子、うわーすげえな・・・」
「えっとあの、この子は平民の子で・・・」
「すげえ、よく晴れた日の空の色みたいな髪色だなあ。俺の目の色も空の色みたいだってよく言われるからお揃いだな!というかなんだその型破りな服は。平民の間ではそんな格好が流行ってんのか?今度オレもシャツ破いてみようかなあ」
そうだ、ライはこんなやつだった。
デリカシーは無いし空気はあんまり読めないけど、人の事を否定したり、本当に傷つける言葉は絶対に言わない。いやそう思う事さえないのだろう。
心配するだけ無駄だった。
シエルはみるみるうちにその白い肌を真っ赤に染める。まるで先程食べたショートケーキに載っていたイチゴのよう。
「お、オラいままでそんなこと言われたことなくて、う、嬉しいですだ・・・」
「なに!?試験に合格した平民だと?金銀財宝好きなものはなんでもやる。だから平民、お前は辞退しこの国の王子たるこの俺にその座を譲るが良い!」
「ひいっ!」
そんな雰囲気に水を差すどころか荒波を立てる存在が現れる。
「おいイグナ~お前、補欠合格だからってそりゃないぜ。というか不正はこの試験ではご法度だろ?補欠どころか失格になっちまうぞ」
「希望も潰えてしまいますよイグナ様!一応補欠合格の中では1位なのですから大人しく待っておきましょう?」
「兄上見苦しいですよ・・・あんまり見苦しい事をするならば父上と母上に言いつけますからね」
3人からそれぞれ言われ、兄貴は口を閉じ途端に大人しくなった。
「うちの兄上がごめんねシエル」
「そ、それよりもと、トルーデ様はお、王子様の妹だったべか!?それにさっき姫さんとも言われてただ!もしかして本物の姫様なのか・・・!」
「あれ、言ってなかったっけ。私の名前はゲルトルーデ・ハイル・フェーブス。この国の王女だよ」
私がそう告げるとシエルは水揚げされた魚のように口をパクパクさせたかと思うと、白目を向いて倒れてしまった。
「えっ、えぇーっ!ちょっとどうして!?」
「トルーデ様合格おめでとうございます~ッ!つ、ついにその持ち前の可愛さで人をッ!」
なんてタイミングでなんて言葉を言っているんだカリーン先生は。
「起きてよー、だ、駄目だ!完全に気を失っている・・・それになんだか体も熱いような」
「ふむ、発熱しているようですね。今回の為に結構無理をしたのではないでしょうか」
「それに加えて姫さんが姫さんということを言わずにフレンドリーに話していたから、姫さんと知った時に驚き過ぎてひっくり返ったってわけか!」
どうしよう。このまま目覚めるのを待つといってもいつ目覚めるか分からないし、発熱しているのに放置して帰るなんてそんな事できるはずがない。この子家も家族もいないようだし。
「カリーン先生、王城に連れて行きましょう。この子聞いたところによると家も家族もいないようなのです。気絶した原因は私にもありますし何より知り合ってしまった以上放っておけません」
「恐らくお父上もまた拾ってきたのか・・・くらいにしか思わないでしょう。ここの入試を受けて合格しているという事は犯罪など犯していない証拠にもなりますし。ここの学院、酷く不正を嫌うんですよね。その証拠に犯罪に手を染めた事のある者は問答無用で落とされるみたいですし」
「王様・・・そんな感じで良いのですか・・・」
「エルンスト様、私の父からの話によると、現在の王様も幼い頃はトルーデのようにやんちゃで手がつけられなくて厄介ごとには進んで突っ込んで行き、現在では優秀な人材に育った者を拾ってきたりしていたそうですよ。恐らく自分の事もあって強く言えないのですわ」
「なんかあの親にしてこの子ありと言った感じですね、王様とトルーデ様・・・でも親しみやすくて良い方々ですけどね」
なんか褒められてるのか貶されているのかよく分からないなあ。
というか父上もそんな感じだったのね。知らなかった。今度何か言われたら言ってやろ。
皆と別れた後、取り敢えずエルムにシエルを馬車まで運び込んでもらい王城へと帰ることにした。
兄貴のプライドがまたズタズタに




