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37 何だか別世界に来たみたいです




 チーンという音ともに正面の扉が開く。

 映画やドラマで良くある、開いた瞬間待ち伏せしていた敵により蜂の巣にされる展開を想定し、私達は身構える。

 しかし、全くそんな様子はなく、寧ろ人の気配すらしない。

 静かすぎて逆に怪しいと思うくらい辺りはシンとしている。


 エレベーターのようなものから外へと出ると、この世界観には似つかわしくない、元の世界よりも未来、近未来的な風景が広がる。

 いや、正確には近未来的だったであろう風景だ。

壁や地面はところどころひび割れ、何かの機械らしきものは錆つき壊れているようだ。配線らしきコードも千切れていたりとボロボロである。

 いくつかの電灯のようなものの配線は何個か生きているようで、薄暗くだが廊下を照らしている。



 「なんだかファンタジーな世界から急にSFちっくな場所に来てしまいましたね。異世界転生したと思ったら異世界転移しちゃいましたかねこれは」


 「誰か大昔に私達のような転生者がこの世界に来て、トルーデ様の固有魔法の機械や、自前の知識を利用して、地下にこの場所を創っちゃったとかですかねえ。大分風化してるようですし、本当に大昔に造られたみたいですけど」



 というかなんだか流れで来ちゃった感もあるけど、こんな場所に果たしてユディはいるのだろうか。


 闇雲に探していても拉致があかないと、私は先程ウェルテクスから受け取ったユディのリボンを、わかばに嗅がせて道案内を頼む。

 今度はリードを絶対に離さないように持ち手をぐるぐると手首に巻きつけて持つ。

 匂いを確認したわかばは、こっちだとでも言うように、自信満々に歩き始める。

 その後を、もしもの時に備え警戒しつつ歩みを進めていく。



 あまり代わり映えのしない無機質な廊下を3人と1匹で進んで行く。

 結構歩いたつもりだが、人の気配は相変わらず無い。

 私達の足音だけがカツカツと反響するだけだ。


 本当に居るのだろうかとぎもんにおもいながらも、わかばはこの先にいる!と言わんばかりにグイグイとリードを引っ張る。


 わかばを信じ歩き続けていると、ようやく出口が見えたのか、強い光が目の前に見えてきた。

 私達はさらに警戒を強め、光に向かって進む。


 どうやら出口ではなく広間に出たようだった。目の前に見えたのは大きな鉄の扉、風化したコントロールパネル、そして大量のコードに繋がれた鉄の塊。



 「トルーデ様!ヤバイです!ガ○ダムですよ!!!」


 「ロボットのことなんでもガ○ダムとか言うのはやめてください!それにあれはロボットじゃなくMSですからね!」


 「ほほーーーーう!ほうほう!」



 私達が世界観ぶち壊しも甚だしい物体を見て興奮し騒いでいると、風化したコントロールパネル付近からけたたましい警告音が鳴り響いた。



 「【警告。警告。脅威が検出されました。最終防衛システムLM-4639を起動します。】」


 『LM-4639、起動しまシタ。脅威特定成功。対象を排除しマス。』



 たくさんのコードに繋がれた巨体が動き出し、目の前へと立ち塞がる。

 5、6メートルくらいはあるだろうか、青を基調とし、アクセントに黒いラインをあしらった重厚でカッコいい人型デザインのロボットだ。

 装備がたくさん搭載されているのか、腕や脚など結構ゴツい。

 あっ、腕が変形して砲塔に・・・あれ、もしかしてこれって・・・



 「これ絶対ビーム放ちますよ見て!光吸収してません!?ヤバイですヤバイです!カリーン先生、ウェルテクスさん!わかばも戻・・・どうやって戻すのおおお!!!」


 「うおお!今の見ました?変形、変形しましたよ!かっこいいですねえ、ロマンですねえ。あ、そうだ。ドリルとか出ませんかアレ」


 「わしは決めたぞ。アレ、改造する」



 またも騒ぎ始める2人をよそにウェルテクスさんが真剣な顔をしてなんだか突拍子も無い発言をする。



 「わしがアレを改造するから、お主ら2人でアレの足止めをしてくれんかの?あぁ、壊してはダメじゃぞ!少しの間で良いのでな、頼んだぞ」



 ウェルテクスは私達にそう伝えると、風属性魔法の詠唱をし飛び上がったかと思うとものすごいスピードでそのロボットの背中側に回りこんだ。



 「暴れ回っては手元が狂ってしまう。ほら2人とも早くせんか!おぉ、びーむとやらが放たれるようじゃ気をつけい」



 収束した光が私たちに向けて発射される。

 私達は左右へと身を翻す。

 どうやら私の光線と同じようで直線上にしか放てないようである。

 ドゴォォンと大きな音がして、放たれたであろう場所を見やると、地面はえぐられ立派なクレーターが出現していた。

 これ当たったら終わりなやつ!


 再度ビームを充填し始めるがそれを阻む為に詠唱を行う。



 「地よ(エーアデ)!カリーン先生!私が一旦足止めをします!その後はよろしくお願いします!」



 私は地属性魔法を使い蔦を生やし、ロボットの腕と脚に何重にも絡める。

 いわゆる足止めとビームの攻撃箇所を逸らす為の処置である為、強度は二の次だ。

 腕から放たれようとしたビームは、私の蔦により急に銃口の向きを変えられる事になり、充填されきれないまま先程よりも威力の低い光線が放たれ、横の壁が抉られる。



 「私もたまにはいいとこ見せなきゃいけませんねえ!地よ(エーアデ)風よ(ヴィント)!」



 カリーン先生は地属性魔法でとてつもなく長いワイヤーを創造し、風属性魔法で勢いをつけて巻きつけていく。

腕、脚、胴体、ウェルテクスさんのいる場所だけは器用に避けどんどん巻きつけていく。

 そして数分もしないうちに、ロボットはワイヤーに包まれてしまった。

 まるで、素早く糸を巻きつけ餌の動きを封じる蜘蛛のようだ。



 「ほうほう、そっちの赤い方も凄いもんじゃのう。これで改造が施せるわい。ありがとさん」



 嬉しそうに礼を述べたウェルテクスは、何かを唱えながら工具の様なものを取り出し作業を始めてしまった。

 えぇ、マジモンの改造なの?というか精霊って機械の心得あるの?

 いやもう本当世界観を大切にしてほしい。


 そういやロボットにも鑑定とかって出来るのかなあ。ちょっとやってみよ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【ステータス】


名前:LM-4639

Lv20

性別:不明


HP:2000(老朽化により低減)

MP:2000(老朽化により低減)

EP:2000(老朽化により低減)

攻撃:2000(老朽化により低減)

防御:2000(老朽化により低減)

速度:2000(老朽化により低減)

魔攻:2000(老朽化により低減)

魔防:2000(老朽化により低減)


職業

防衛システムLV3


属性

無LV5

各属性をエーテルにより擬似的に再現可能


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 えっ、こわいんだけど。老朽化してなかったらまだステータス恐ろしいことになってるのでは・・・

 


 「その顔、鑑定したのですねトルーデ様。私は鑑定LV7なので、スキルと固有魔法が見れるのですが、これまた凄くて。精霊様がああ言わなければ、是非とも戦ってみたかったですよ〜」



 恐ろしい。これが強者・・・いやバトルジャンキーか・・・

 この国の頂点に立ってしまった今本当に怖いものなんてないのだろう。

 そのうち精霊様にバトルを挑みかねない。


 因みにカリーン先生から教えてもらった、スキルと固有魔法を追加したあのロボットのステータスがこちら。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【ステータス】


名前:LM-4639

Lv20

性別:不明


HP:2000(老朽化により低減)

MP:2000(老朽化により低減)

EP:2000(老朽化により低減)

攻撃:2000(老朽化により低減)

防御:2000(老朽化により低減)

速度:2000(老朽化により低減)

魔攻:2000(老朽化により低減)

魔防:2000(老朽化により低減)


職業

防衛システムLV3


属性

無LV5

各属性をエーテルにより擬似的に再現可能


固有魔法

機械LV5/学習LV3/解析LV5


スキル

自動修復LV10/エーテル炉LV10/魔法耐性LV8/物理耐性LV8/エーテル理解LV5/エーテル感知LV5/エーテル変換LV5


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 さらに凶悪なステータスになってしまった。

 こんなのと戦いたいとか言ってるのカリーン先生。

 自動修復LV10だよ?詳しいことは分かんないけど自動修復って自動的に傷が治るって事でしょ?LV10ってことは即治っちゃうとかじゃないの?

 そんでもって魔法も物理も効きにくいと。

 絶対動けなくしたのが正しい対処法じゃないですか!グッジョブウェルテクスさん!



 「よーし、完了じゃ!さ、このわいやーを解いておくれ」



 心の中でウェルテクスさんに賛辞を述べていたら、どうやらその本人は改造とやらを終えたらしく満足そうな顔をしてカリーン先生に話しかける。



 「了解しましたー!火よ(フォイヤー)!」



 瞬く間にロボットが炎に包まれてしまった。この人すぐに燃やそうとするなあ。


 しかし炎上するロボットを見てウェルテクスは悲鳴を上げる。



 「うわー!なんてことをするんじゃあ!燃やすやつがあるか!それにわしは、炎だけは苦手なんじゃあ!はよう、はよう消火しておくれ!!!」


 「わわっ、すみません!水よ(ヴァッサー)!」



 精霊様に言われたせいがカリーン先生は慌ててしまい、よく考えずに勢いよく炎上し熱されたロボットに水をかけ鎮火させてしまう。

 炎により熱されて高温になってしまった金属が急激に冷却されるとどうなるのかを考えずに。


 ロボットの炎上が収まったのは束の間、ピキピキと瞬く間に亀裂が入り、そしてガラガラと崩れ去り、見るも無残な残骸と化してしまったのだった。



 「そんなあ〜あんまりじゃあ〜〜〜」


 「・・・・・・・・大変申し訳ないデス」



 広間にウェルテクスの悲痛な叫び声が響いたのであった。

カリーン先生、先生なのに・・・とっても強いのに・・・たまにポンコツ発揮するのはなぜ・・・


A:前世の影響

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