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35 怪しい人物発見です

今回少し長めです。




 路地裏を抜けると少し薄暗い開けた場所に出る。

 立ち入った瞬間、一瞬不快感に襲われ思わず顔を顰める。

 が、すぐにその不快感は霧散する。一体なんだったのだろうか。



 「トルーデ様ーッ!怪しい奴を確保しましたよ!」


 「わんわんっ!」



 いち早くわかばの元へと走っていったカリーン先生がこちらへと手を振る。

 どうやら容疑者はとりおさえられたようで大人しくその場に座り込んでいる。



 「一体なんなんじゃあ・・・わしは何もあくどい事などしてないと言っておるに・・・」



 カリーン先生に近づき、声の主に目をやるとそこには男とも女とも言えるような、息をのむほどに美しい人がとても情けない姿で座っていた。


 自然の美しさを思わせるような緑の髪を一纏めにして腰まで垂らし、耳元にはなんだろう、ヘッドホンのような者だろうか。まずこの国では拝むことができないような機械的な見た目の物を装着しているようだ。

 これらの事から、先程の子どもが話していた人物だと予測できる。


 まずはこの怪しい容疑者だと思われる相手に質問をしてみる。

 所謂職務質問の開始だ。



 「少しお聞きしたいことがあります。貴方のお名前、年齢、住んでいる場所、あと何か身元がわかるもののご提示をお願いします。それと、どうしてここにいたのかお聞かせいただいても良いでしょうか?」


 「はあ、本当に悪い事はしておらんのだが。名前はウェルテクス、歳は2852歳、住んでいる場所はここから山を越え谷を越え海をずーーーーっと越えた先にあるミコアストルムという場所から来たのう。身元がわかるもの・・・あぁ、これなんぞどうかの?ほい、どうぞ」


 なにか名刺サイズくらいの厚紙のような物を手渡される。

 なになに・・・


壊れた物の修理・改造はお任せ!


【アニムスアルキュミア】


住所:ミコアストルム国 ゼノ市2丁目××○○ 

店長:ウェルテクス


 なんだこれ、名刺?この人店長なのか。修理は分かるけど改造って・・・


 私がしげしげと名刺もどきを眺めていると、カリーン先生がさらに質問をする。



 「それで何故こんなところに1人でいらっしゃるのですか?ミコアストルム国という国も聞いたことがありませんし」


 「それはその、なんとなくじゃよ。なんかこっちの方にイヤーな気配があるなあと思うてのう。ミコアストルム国はあるぞ?あぁ、この国、なんだか閉鎖されとるというか、護られとるというかなんだかよう分からんが、わしも入るのに苦労したのじゃよ!まあこのわしにかかれば造作もないわい!」



 ウェルテクスと名乗った人物はわははと誇らしげに笑う。


 そういえば職務質問をしていて分かったのだが、どうやらなんとなーく、相手が嘘をついているかそうではないのかが分かるようなのだ。

 そしてこのウェルテクスという人物、先程から本当(・・)の事しか言っていないようなのだ。

 私達の知らない聞いたことのない存在しているか定かではない国は、本当存在しているらしいし、2852歳という素っ頓狂でメチャクチャな年齢についても彼は嘘などついていない(・・・・・・・・・)のである。


 そして話をするために近づいて分かったこの感じ。

 以前にも感じた事のある、人間とは何か違うものの気配。



 「がるるるー!!!」


 「うわーっ!なんじゃあ!痛っいたたっ!」


 「ああっ、そ、それはユーディット様が身につけていらっしゃるリボン!やはり貴様が犯人か!神妙にお縄につけい!」


 「どうどうどう、わかばステイ!カリーン先生もステイッ!」



 唸るわかばと縛り上げ拷問の準備をしようとするカリーン先生を慌てて止める。



 「ウェルテクスさん、このリボンは私の友人のものなのですが。どこで拾われたのですか?」


 「そこの近くに公園があったろう?あそこで拾ったのじゃよ。落とし主に届けた方が良いと思うてな、公園の子供達に聞いて回ったんじゃが、皆に違うと言われての。そうしているうちに嫌な気配をここら一体でかんじてのう。持ったままここに来てしまったというわけじゃ」


 「そんなの信じられませんよ!ユーディット様のリボンを持っている時点でもう怪しいです!しょっ引いて洗いざらい吐かせるべきですトルーデ様!」



 カリーン先生は怒りを露わにし私に詰め寄る。



 「カリーン先生、どうやら私の特殊スキルで、質問や尋問中に相手が発した言葉について嘘か本当か分かるみたいなんですよね。それによるとウェルテクスさんは最初から最後まで1つも嘘偽りを述べてはいないのです」


 「だからさっきから嘘などついておらぬと言っておるではないか!」



 ぷんすこと表現しても良いような怒ってはいるが微塵も恐れを感じない表情を浮かべ、ウェルテクスが抗議する。


 私はある事を確信し、口を開く。

 これで間違ってたらかなり恥ずかしいけどまあ良いや!



 「・・・ニーレさんが『お前の拾ってきた子がお前が居なくなったせいで寂しがってるから早く帰ってやれ』って言ってましたよ」


 緑色の目と髪で、長い髪を後ろまとめ、耳に変なモノを付けたやけに見目の良い人物。クソジジイはよくわからなかったが、条件に当てはまりすぎる。


 ウェルテクスはきょとんとした顔を浮かべると、途端にパァァアっと顔を輝かせたと思うと馴れ馴れしく肩を叩いてきた。



 「なんじゃなんじゃ、ニーレの知り合いかあ。あやつ、この国に知り合いなんておったのじゃな!というかお主、よく見たら神憑きではないか!あの子と一緒じゃなあ。年の頃もあの子と一緒ぐらいじゃし合わせてやりたいぐらいじゃ!そうそう、あの子が寂しがっとるとニーレが言っておったのじゃな。うーむ、もう少しこのれとろな雰囲気とやらを味わいたかったのじゃが、仕方ないのう。そろそろ帰ってやろうかのう」



 急に饒舌になり、笑ったり考え込んだり表情をコロコロと変えながら話しかける。

 外れなくてよかったのだが、なんか久し振りに話し相手ができたおばあちゃんみたいだなあこの人。


 カリーン先生はというと、精霊様の知り合いを取り押さえ、犯人と思って縛りあげようとした事について悔やんでいるらしく、珍しい事にやや沈んでいるようだ。



 「つかぬ事をお聞きしますが、ウェルテクスさんも精霊様なのですか?あと気になっていたんですけどその耳に装着しているものは・・・」


 「そうじゃ、元風精霊じゃ。あぁ、元と言うのは長く生きすぎて風以外にも使えるようになってしもうてな、風でもなんでもなくなってしもうたで元なのじゃ。この耳の奴は防音機じゃ。これをつけてないと耳が良すぎて痛くなってしまうのじゃ」



 そう言うと、ウェルテクスはヘッドホンのようなものを外して見せてくれた。


 しかし私たちの興味は既にヘッドホンではなく、緑の髪の隙間から覗く、その美貌の両横に伸びているものに行ってしまったていた。



 「「エ、エルフ!!!!!」」


 「ほ、本物ですよカリーン先生!」


 「だからやけに顔が良かったのですね・・・生エルフ・・・異世界に来たって感じでなんだか興奮しちゃいますね!」



 そう、人間よりも長く尖った耳を持っていたのである。



 「そんな珍しいものなのかの?風精霊は耳が長いものじゃしのう」



 そういやニーレさんも、闇精霊は角が生えてるのが常識と言っていたな。

 精霊様ってだいたい皆こんな感じなんだろうか。

 なんかそう考えると他の属性の精霊についても気になって来たぞ・・・



 「なんだかこう、熱のこもった目で見られるとむずむずするのう」



 そう言うとウェルテクスは先程のヘッドホンのようなものを耳に装着しなおした。

 しまった、耳に気を取られてヘッドホンを見るのを忘れてしまった。まあいいや。


 そうだ、精霊様の事でちょっと飛んでたけど、ウェルテクスさん、少し気になることを言っていたな。



 「あの、先程嫌な気配を感じてそれを追ってきたと仰っていましたよね。それってどこから感じるとか分かりますか?」


 「あぁ、それはええと・・・この辺りじゃな!」


 「うん?何もないですよ。落ち葉が沢山積まれているようですし、おそらくゴミをまとめただけですよ」



 そこには落ち葉が大量に積まれている以外なんの変哲もないように見える。



 「カリーン先生、この落ち葉をちょっと片付けてみましょう。もしかすると、隠し通路なんてものが出てくるかもしれません」



 落ち葉を掃いて隅に纏めた様にも見えるが、この落ち葉の葉をよくみて見ると、ここに生えている木の種類と違うものが沢山混じっているようだ。


 カモフラージュするために何処からか持ってきたものかも知れない。



 「では・・・火y(フォイy)


 「ストップストーップ!燃やしちゃったらまた隠せなくなっちゃうでしょ!もし本当に入り口ならもう少し用意してから行かなきゃいけないでしょ!」



 なんだか不服そうな顔をされたが、わかってくれたようで、風属性魔法を使い落ち葉を別の場所に移動させる。


 そうして出てきたものは、隠し扉などではなく、なんだか某幽霊が出てきそうな古い井戸だった。

 

 ここに来た時に一瞬感じた不快感が再度襲って来た。

 えっ、マジで出るんじゃないでしょうね。



 「トルーデ様〜何もないみたいですよお〜うわーっ、深そう」



 オイオイオイ、怖いもの知らずだなあ。何か出てきちゃったりしたらどうするんだよ。

 いや、あの人チートだし多分怖いものなんてないんだろう。

 すごいわぁ、尊敬しちゃうわぁ。


 なんてぼんやり眺めていると後ろからガリガリガリガリと何かを引っ掻くような音が聞こえて来た。


 ま、まさか・・・本当にホラー展開が来ちゃったの・・・

 そ、そう言うの求めてないんだけど。いやしかし気になる。


 ゆっくりと怖いもの見たさで恐る恐る後方へと振り向く。


 そこには、一生懸命土を掘り続けるわかばがいた。



 「な、なんだぁ。わかばかあ〜もう、ビックリさせて!何掘ってるの?」



 わかばに話しかけながら近寄ると不意にガコンッと大きな音が響き渡った。


 わかばの足元には、何かのボタンが・・・



 「うおああああああああぁぁぁぁぁぁ」



 カリーン先生の驚いた声が響き渡りどんどん遠くなっていく。


 カリーン先生がいた場所を見るとカリーン先生は居なくなっており代わりにカリーン先生が先程まで立っていた地面・・・井戸の正面の部分には大きな穴が空いていたのだった。



 「嘘でしょ・・・カリーン先生!カリーン先生ーッ!!!!!」



 いくら待っても返事が返ってくることは無かった。

カリーン先生!

そんなッ・・・用意してから、準備万端にしてから行くって言ったじゃない!

ううっ・・・!

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