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30 巻き込まれました




 「あっ、あの、今名前を・・・呼び捨てに・・・!」



 しまった。心の中ではいつもユディユディと呼び捨てにしていたせいか普通に呼び捨てで呼んでしまった。



 「大変失礼しました!嫌でしたよね、家族でもないのに」


 「嫌ではないです!愛称で呼び合うとは言いましたがお互い敬称が取れませんでしたし、余所余所しい感じが残っていたので・・・とても・・・嬉しいです!」


 ユディは頰を染め嬉しそうにはにかむ。

 いかん可愛すぎて動悸がしてきた。


 それと同時に私の脳内にカリーン先生が出現し、隅に置けませんねぇとニヤニヤしながらおちょくってくる。

 ぐっ、こいつ脳内にも現れやがった・・・!


 「じゃあ今度からユディって呼ぶね!だからユディも私の事は呼び捨てで呼んで!」


 「そ、そんな恐れ多いですトルーデ様!」


 「違うでしょユディ?」


 「う・・・ト、トルーデ・・・」


 私は満足げにユディを見るとユディは恥ずかしそうに目線を逸らす。


 そんなユディの手を再度握り直し、兄貴達の元へとお転婆王女よろしく駆けていくのだった。



♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢




 「俺は・・・俺はどうすれば・・・」


 「とりあえず鍛錬した方がいいんじゃねえの」


 「いえ、まずは勉強ですよ」



 兄貴達が出て行った方向へ進むと、庭園へと辿り着いた。


 兄貴達の3人は庭園に設置されているガゼボの中に座り込み何か話しているようだった。


 騎士団長が居ないのを見るに、彼は職務へと戻ったのだろう。

 


 「あ、姫さんじゃねえか」


 「ユーディット様も!先程は災難でしたね・・・」


 「全くですわ、お父様方にはほとほと愛想が尽きましたわ」



 気づいた2人がこちらに声をかけ、ユディがそれに応える。


 するとユディがいるのが分かったのかそれまで沈み込んで居た兄貴が急浮上してきた。



 「はは、ユーディット。貴様のその自信も今だけだ。この屈辱・・・いずれ晴らしてやるから覚悟しておけよ!その尊大な態度と表情を改めさせぎゃふんと言わせてやるからな!」



 その自信はどこから来るのか、尊大なのはお前の方ではないのか、さっきまでとは打って変わっていつも通りの尊大な態度でユディに向かって叫ぶ。


 対するユディは初めて出会った時とは違い余裕そうでさも気にしていないといった表情を浮かべている。



 「それはそれは大変良い心掛けですわね。私に『ぎゃふん』と言わせると言うからには、何か勝負ごとで勝つという事でよろしいでしょうか?二言はありませんね」


 「ああ、そうだ。当然だろう」


 「ならば良い考えがありますわ。今から1年後にある、エーデルシュタイン王立学院の初等科の試験を受け、その成績で優劣をつければ良いのです」



 エーデルシュタイン王立学院・・・乙女ゲームの舞台と一緒だが、主人公達が通って居たのは高校のようなものだったはずだし、主人公が入学したのは15歳からだ。

 それに、魔法の適性があれば誰でも入学できるものだから特に試験は無かったような。



 「なっ、まさかあの難関の試験を受けるというのか!?いやそれにお前は俺より1つ歳下だろう。まさか一年後に受けた試験と俺の試験の点数を比べようというのか!?そんなの公平でないではないか!」



 兄貴は息を荒げ、ユディに非難を送る。



 「ええ、公平ではありませんね。ですから私も殿下と同じ試験を受けますわ。幸い以前に飛び級が赦された例もあり、試験の合格基準に届けば入学させて頂けるようですの」



 その言葉を聞き、エルンストが嬉しそうにユディに話す。



 「僕も受けますからどちらも受かれば同じ学年になりますね!初等科の合格人数自体少ないらしいので、同じクラスになれる確率が高いらしいですし頑張りましょうね!高等科でも初等科からいる人達は特進クラスとして色々優遇されるみたいですし」


 「だーははは!これで逃げ道がなくなったなイグナ!これからは心を入れ替えて勉強に鍛錬に励むことだな!」


 「プクスー!お兄様頑張ってー応援するヨー(棒)」



 二言はないと肯定したのだ。

 絶対に落ちるわけにはいかない状況になってしまった兄貴に対し、私とライムントの2人でこれでもかと煽りまくる。

 兄貴は怒りをあらわにし真っ赤な顔でこちらを睨んで来るが、自分の置かれた状況を思い出し、血の気をなくしてゆく。


 なんか顔色が赤くなったり白くなったり青くなったりで面白いな兄貴。


 私達は勝負とは無関係で、年齢も受験適性年齢に達していなかったため油断をしていた。



 「ユーディット様も受けるんですからどうせならみんなで受けてみんなで学院に行きましょうよ!きっと楽しいですよ!」



 エルンストが爆弾を投下してしまった。

 当の本人は嬉しそうににこにことこちらを見つめる。



 「いや、でもオレ・・・お前らより1個下だし・・・」


 「ユーディット様と条件は同じですし、術科試験の方だとライなら完璧でしょう?あとは勉強を頑張ればいいだけですよ!まだ1年ありますし」


 「私なんて2個下ですよ・・・ほら、体も小さいですし・・・」


 「ライムント様との戦闘は見事なものでしたし、勉学についても自信がないわけではないですわよね?それともトルーデは私と一緒に学園へ行くのは嫌・・・ですの?」



 美少女2人にうるうるとした目でおねだり光線を食らう。

 だ、だめだ、相性が悪い・・・こうかがばつぐんすぎる・・・


 ライムント・・・あいつもダメだ、アレは断れない顔をしているッ!


 美少女・・・なんて強い生き物なんだ・・・ガクッ・・・



 こうしてガゼボの中で3人の遺体が発見されたとかされなかったとか。

精神殺人事件ですよおまわりさーん!

ハッ、私がおまわりさんだった。


そういや庭とか公園とかにたまにある、屋根が付いてて柵が付いて中に休憩できるスペースがあるドーム状だったりするオシャンティな建物ってガゼボって言うんですね。

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