表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
つまらない話  作者: GOMI
8/74

8

少女がここへ来てから、まだ二度しか夜が訪れていない。時の流れが早いのか遅いのか、最早時が経過しているかさえも、彼には判らなかった。

ようやく、もう日が再び昇った。少し重くなった身体を起こし、庭へ向かい大きく伸びをした。

ぱたぱた、と足音を立てて少女が出てきたと思うと、素足のまま庭に降り立ち見様見真似で少年を再現した。まるで自分のことを親だと思いこんでいるようで、擽ったかった。


老婆は彼らよりも先に起きていたようだ。気付けば香ばしく軽い香りが庭まで届いていた。おはよう、と笑顔で挨拶する老婆は、焼きたてのそれを皿に盛り少年少女の前に置いた。

まるで孫が増えたみたいだ、と嬉しそうに呟いた。


老婆は自身の皿を起き、座って

お食べ、と微笑んだ。

彼はいただきます、とわざとはっきりと言い、食事を始めた。少女は発声はできずとも彼の真似を始めた。

見た目は彼より少し上に見えて、行動がいつも相手をしている子供たちより下な、物心すらついていないからか、行動を見せるには少し難しかった。

少女は焼き上げられたそれを手に取り、彼の真似をしてそれの角を口に入れた。さくり、と音を立てて噛み切り離し、ゆっくりと咀嚼する。本当に咀嚼できているかは定かではないが。

さく、さく、と繰り返される音に合わせて、徐々に少女の目が輝き始めた。かっと目を輝かせ、頬は綻び、さぞ幸せそうに食事をするのだった。

老婆もつられて頬を綻ばせた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ