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雪のように白い肌、淡い緑の長い髪、丸く大きな目、少し深みがかった緑の瞳、整った顔立ち。
体全体を包む異様な長さの袖の服、ヒトのものではない耳。
外見はヒトそのものだが、部分的に異質な雰囲気を含んでおり、噛み合わず不協和音をもたらしている。
彼が確認できたのは耳のみで、老婆や女の子が見たものはそれだけでは無かった。
爪の形、肩甲骨周りの角のような突起状の皮膚、尾脛骨が露出したような腰の突起。
少女のこの衣服はまさにそれらを完全に隠すものであった。
とすると、この少女は一体何なのだろう。どこからやって来たのだろう。
少なくとも、彼女の元いた居場所に送り出すまでは、ここにいる人間だけでどうにかできるとは考え難い。話し合いの結果、一度長老に相談することになった。気付けば夜だった。
住人が皆寝静まった頃、彼は眠れなかった。
突然の出会に困惑しきっていた。これがもし父親だったら、いや、父親だったとしてもこんな日は落ち着いて寝ていられなかっただろう。
庭に出て大きく息を吸った。頭上では月が煌々と輝いていた。
少女も月を見ていた。半日前、彼を見据えていたときと同じ面持ちだった。
彼は彼女を確認すると、邪魔をしないようにそっと寝室に戻った。