夜4
「そもそもアレが見えること自体異常なのよ。そしてアレの処理現場に入ってこれることも」
僕が逃げないことを悟ると渡辺さんは饒舌になった。この子結構おしゃべりな子なんじゃなかろうか
「へーそうなんだ」
僕も話に合わせる、別に質問も無いし、何て質問をしたらいいのか分からない
「・・・・あなた、なんでそんなに淡々としているの」
あの現場に居合わせたのに平然としてる僕を不気味に感じたのだろう、渡辺さんはそんな質問を投げてきた
「驚くこと事態に慣れてないから・・・・かな」
僕は本心を口にする。・・・・ごめんなさい、嘘です。今でもメチャクチャビビってます。ていうかあんな大量の生首見たらもう夜一人でトイレに行けない。こういう態度取ってたら早く帰してくれないかなーっていう圧倒的打算で動いてます。
「不気味な人ね」
彼女も意味深な感じでそう言った。
何も深くないのに。
まあ、確かに他の人よりも驚きや恐れは少ないのだろう。
なぜなら僕にとって鬼が見えること自体別に今始まったわけではないのだから
「あなた、アレを見るのは初めてじゃない?」
あれぇ!?僕が心の中で格好つけてたのバレた!?
やだはずかしい!
「・・・・・・」
「・・・・・・・」
「待って!無言で刀を鞘から抜こうとしないで!!」
「分かった、じゃあちゃんと答えて」
いや、わかったってお前刀から手離してないじゃん・・・