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迷宮探索は妖精と共に  作者: 青雲あゆむ
ガルド迷宮第2層編

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21/87

21.攻略再開

 レミリアの手引きでサンドラと愛を交わした翌朝、俺は2人を両手に抱いていた。

 ちなみにベッドはふたつくっつけてあるから、それほど狭くはない。

 2人のぬくもりを感じながら昨晩のことを思い返していたら、レミリアが起きてキスをせがんできた。

 そんな彼女に愛情を込めてキスをすると、同様に起きていたサンドラともキスを交わす。


 しかしそんな2人の態度には、どこかまだ不安のようなものが垣間見えた。

 俺の心変わりでいつか捨てられるとか、そんな恐れを抱いているのかもしれない。

 ここは少し安心させてやるべきだろう。

 さて、なんと言ってやろうか。


「おはようレミリア、サンドラ。この際だから2人にははっきり言っておく。今後、2人とカインは折を見て、奴隷から解放することになるだろう。だけど使役契約は解除しないから、君たちはずっと俺のものだ。一生、放さないから覚悟して欲しい」


 そう耳元でささやいてやると、その意味を理解した2人が、嬉しそうにすがり付いてきた。

 これで少しは、不安を払拭できたのではないかと思う。

 今後もゆっくりと、信頼を深めていけばいいだろう。



 しばらくスキンシップを楽しんでから1階へ降りていくと、カインを含め全てのメンバーが揃っていた。

 以前、レミリアと結ばれた時のような微妙な空気が漂っていたが、やはりそこはかとなく祝福されてる雰囲気だった。

 考えてみれば今後はカインだけ浮いてしまう心配があるので、たまに小遣いをやって酒場や娼館で発散させてやった方がいいかもな。



 朝飯を食べた後は、昨日と同じパターンだ。

 午前中はギルドで武術を学び、午後は迷宮2層に潜る。


 ちなみに、レミリアとサンドラがビキニアーマーを着けてギルドへ行ったら、想像以上に注目を集めてしまった。

 いかにマントで隠していてもチラチラ見えるので、彼女たちの周りに男どもが集まってしまう。

 あまりに鬱陶うっとうしかったので翌日は普通の服を着せて行ったら、男どもがひどくがっかりしていた。

 仕事しろよ、お前ら。


 それから迷宮では2層序盤を軽く流して、ゴブリンやコボルトの群れを相手に集団戦の経験を積んだ。



 そんな訓練を繰り返していたある日、ようやく迷宮内で回収してきた男爵次男の装備について進展があった。

 男爵夫人が息子の最後について聞きたいと言ってきたので、ギルドで面会をする。

 夫人には、ご子息がゴブリンとオークの襲撃によって討ち死にしたことを正直に伝えた。

 俺が駆けつけた時にはすでに遅く、ご子息を逃がそうとしていた奴隷を助けるのが精一杯だったこともだ。


 夫人は涙ながらに俺の話を聞き、最後にお礼を言ってくれた。

 結局、次男の装備は金貨12枚で全て買い取られ、首の回収と仇を取ってくれたことへの謝礼として、金貨3枚が上乗せされた。


 その他の犠牲者については買い取りの要望が無かったので、こちらで処分した。

 これらがなんだかんだで金貨10枚にもなり、合計で金貨25枚の大金を手にした。

 この稼ぎは装備の強化にでも使わせてもらおう。

 俺たちは、あんな風にならないようにしないとな。


 そんなイベントをこなしつつ1週間ほど訓練を続けると、カイン達の肉体はほぼ完治し、盾の使い方も様になってきた。

 そろそろ2層の本格的な攻略に取り掛かるとしよう。



「明日から本格的に2層に潜るから、今日の午後は休みにしよう。ついでに野営の装備を整えるけど、何か欲しい物とかあるかな?」


 ギルドでの訓練の後、昼飯を食いながら聞いてみた。


「状況によっては3日以上潜ることになるんですよね? それでしたら調理道具と素材を持ち込んで、料理をしてはどうでしょうか?」


 レミリアからそんな提案があった。


「うーん、そうだな。美味おいしいものを食べられるのは嬉しいよな。カインとサンドラは力持ちだから、多少は荷物増やしても大丈夫か?」

「お任せください、デイル様」


 カインも賛成してくれたので、調理道具を買いにいくことにした。


 まず魔石を使った魔導コンロを金貨1枚で購入した。

 これは魔力で鍋を熱する道具で、薪はいらないし煙も出ない。

 魔力が切れても、魔石を交換すればまた使える便利品だ。


 それから鍋や調味料の他に、干し肉や野菜などの素材を購入する。

 自宅の料理ほどではないにしても、これで迷宮内でもいくらかマシなものが食えるだろう。


 買い物の後は、家でダラダラしていた。

 しばらく訓練漬けだったから、何もしない時間が心地良い。





 たっぷりと英気を養った翌日、朝から迷宮2層に潜った。

 今までの探索で2層序盤の地図はほぼでき上がっているので、まっすぐ中盤に向かって探索を進める予定だ。

 例のごとく、シルヴァの探知能力に任せて中盤まで突っ切った。


 1刻ほどで未探査地域に到着し、探索モードに切り替える。

 シルヴァを先頭にカインとサンドラが続き、俺とキョロ、レミリアが最後尾を固めて進んだ。

 もちろん、チャッピーによる後方警戒も怠らない。


 慎重に進んでいると、シルヴァが敵の接近を知らせてきた。

 やがて前方からキイキイと甲高い声が聞こえたと思ったら、10匹ほどのコウモリが目の前に現れた。


 カラス並みにでかいコウモリだが、あれが噂の麻痺蝙蝠パラライズバットだろう。

 俺は散弾を準備してバットに向けてぶっ放すと、うまいこと群れの半分が落ちてきた。

 すかさずそいつらにはカインとシルヴァが駆け寄り、息の根を止めていく。


 残りの5匹はいまだにヒラヒラと、俺たちの周りを舞い飛んでいる。

 パラライズバットは弱そうだが、噛まれるとしばらく体が麻痺してしまう。

 こんな所で麻痺したら命に関わるので、皆には注意するよう伝えてあるが、動きが素早くてなかなかに厄介だ。


 と思っていたら、レミリアが無造作に奴らに近付いた。

 それをくみし易しと見た2匹のバットが急降下した瞬間、目にも止まらぬ早業で叩き落とされる。

 さすがレミリア、抜群の勘と剣技である。


 これに負けじとサンドラが、キョロを左肩に乗せてバットに近づいた。

 またもや不用意に近付いたバットにキョロの電撃が飛び、動きが止まったところをサンドラが切り捨てる。

 もう1匹も同様に落とされ、逃げ出した最後のバットを俺が弓で仕留めると、奴らとの初戦闘が終わる。


 パラライズバットは体が小さい割に、魔石は1匹銀貨3枚なので、わりと楽な戦闘で銀貨30枚を得た。

 これならもっと出てきてもいいな、などと思っていたら、やがて厄介な状況に出くわした。


 シルヴァが進行方向の天井にバットの群れを感知したのだが、さらにその部屋の近くにはゴブリンが2部隊もいると言うのだ。

 パラライズバットと戦ってる時に、ゴブリンに乱入されたら厄介だ。


 安全策を取って迂回するべきかと相談したら、珍しくカインが積極策を提案する。


「デイル様、今の私であれば、シルヴァと協力してゴブリン達を押さえられます。その間に残りでバットを殲滅すれば、対応できるのではないでしょうか?」

「うーん……チャッピーはどう思う?」

「前衛の頭上を守ってやれば、なんとかなるのではないか?」

「うーん、そうだな……奇襲を避けられる分、こっちが有利か……よし、バットが減るまではバンバン散弾を撃つから、覚悟してくれよ。カインとシルヴァは地上の敵を押さえろ。レミリア、サンドラ、キョロは2人の周囲を守ってくれ」


 俺も覚悟を決めて作戦を指示した。

 俺たちは準備を整えると、そのまま一気にバットのいる大部屋に侵入した。

 部屋に入ると10匹のバットが俺たちに気づき、宙を舞い始める。


 すかさず散弾を手近な所にぶち込んだが、2匹しか落ちなかった。

 しかし俺は気にせず散弾を撃ち続ける。


 バットに遅れてゴブリンどもも参戦してきた。

 ご丁寧にも、ホブゴブリン2匹とゴブリン10匹の大群だ。

 そいつらはカインとシルヴァが迎え撃ち、その側面と上空をレミリアとサンドラがカバーする。

 バットは相変わらずチョロチョロと動き回っていたが、6発も散弾を撃つとすでに8匹が落ちていた。


「よし、バットは2匹しかいないから、ゴブリンを殲滅しろ。上空は俺とキョロがカバーする」


 そう指示すると、今まで防御に徹していたカインたちが反撃に転じた。

 カインのメイスが、サンドラのバスタードソードが、レミリアの双剣が、そしてシルヴァの爪牙がゴブリンを蹂躙じゅうりんする。

 残りのバットがそんな彼らに襲いかかろうとしたが、キョロの電撃と俺の弓で始末してやった。

 攻撃態勢のバットなら、それほど当てるのは難しくないのだ。


 こうして終わってみれば、短時間で大軍の殲滅せんめつに成功していた。

 チャッピーの魔法あってのものとはいえ、俺たちも強くなったもんだ。


 魔石を回収して休息を取りながら話をする。


「みんなご苦労さん。カインの作戦は当たったな」

「いえ、デイル様が魔法でバットを落としたからこその成果です」

「まあ、それもチャッピーのおかげなんだけどね。それと、待ち伏せを見破ったシルヴァもよくやったぞ」

「フヒヒッ、そう言われると悪い気はせんな」

「ウォン!」


 チャッピーとシルヴァが誇らしげに胸を張る。

 傍目にはそれほど強く見えないだろうが、実に頼もしい仲間たちだ。


 そんな話をしながら俺はチャッピーに魔力を注いでいた。

 オーク戦で弾切れを起こした反省から、戦闘後は極力チャッピーに魔力を補充することに決めたのだ。

 こうしておけば、常にチャッピーの魔法をふんだんに使える。


 その後も適度に休憩を挟みながら周辺を探索し、適当な行き止まり部屋で野営に入った。

 12刻で区切られた1日の内、探索は3刻から9刻までの間ぐらいにしておくのが常識的だ。

 迷宮内は危険に満ちていて、しっかりと休んでおかないと命に関わるからだ。


 2層では危険度が高いこともあり、見張りも交替で立てるようにした。

 俺、レミリア、カイン、サンドラの誰かが常に起きているようにしておき、キョロ、シルヴァ、チャッピーがその補助に付く。

 4交代シフトを組むには1人足りないのだが、あまり睡眠を必要としないチャッピーが2人分やってくれるので助かっている。


 今までの野営は味気ないものだったが、今回は魔導コンロと調理道具を持ち込んで大きく改善していた。

 それほど上等な食い物ではないが、温かいスープやシチューが食えるのは嬉しい。

 意外と言ってはなんだが、サンドラは料理の腕前も悪くなく、レミリアと交互に料理を作ってくれる。

 迷宮の中でいろいろな味付けを楽しめるとは、これまた贅沢な話だ。


 メンバーが増えてから話題が増えたのも良かった。

 カインたちの魔大陸の話はけっこう面白くて、機会があれば魔大陸へ行ってみたいと思うほどだ。

 そんな歓談をしながら、迷宮の夜は更けていく。

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