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落ちたる世界に剣を捧げる  作者: 黒乃レイ
プロローグ
1/4

 瓦礫ガレキ下敷シタジきになって、大勢の人が事切れていた。ぼろぼろになった近くの民家から発生した夕焼け色の化け物は、ごうごうと唸り声を上げて、地面をめるように燃え広がっていく。

 地面を見れば、まるで怪物が通った後のような、おびただしい数の亀裂キレツが走っていた。亀裂のからは、星にも似た輝きを放つ空色の粒子リュウシが生まれていく。それらは、静かに遥か上空へとノボっていった。

 大量の粒子を目で追った先。いつも満天の星で美しく輝く空は、まるで星々をどこかに落としてしまったかのように、真っ暗でヨドんでいる。美しい月も、暖かな太陽も、狂ったように真っ暗な空に隠されて見えない。

 今この世界を照らしているのは、民家も人々も弄ぶように覆い尽くしていく、夕焼け色の化け物だけだった。

 天変地異テンペンチイ地獄絵図ジゴクエズ世界セカイ崩壊ホウカイ

 そのような言葉で表せそうな、まさにこの世の終わりのような光景が、この瞬間、自分の世界にはヒロがっていた。


「―――、―――て」

 ふと。夕焼け色の化け物が発する声以外に、明確な言葉をもつ声が世界に響いた。その声は、ひとりでよろよろと歩いている人影から発せられたものだった。人影は、世の神秘を集めたかのような、美しくもハカナさを感じさせる、人間の女性の形をしていた。

「――か、――けて」

 彼女は、生物という生物が地面にいつくばっているこの世界で唯一、地面を踏みしめていた。そして、時折トキオリ苦しそうに胸のあたりを抑えては、繰り返しなにかの言葉をツムいでいた。

「―れか、――けて」

 今にも消え入りそうな声。しかし、徐々に大きくアエぐような音量で、必死に彼女は言葉を吐き出した。

「だれ、か……だれか、

  たすけて……っ


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