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七龍の契約者  作者: Light
第二章 学園編(仮)
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立王太子儀 前編

ーー東部の反乱から半年の月日が流れ土の匂いが香る麗らかな春の訪れを感じる頃、ここ王都ルディオンでは、王国の一大行事に向けて人々は皆、慌ただしくも充実した日々を迎えていた。


「へい、らっしゃい!アリウス殿下の立王太子儀記念メダルは、ここでしか買えないよ!少年、どうだい?」


「呼ばれて急いでいるんだ。遠慮しとくよ。」


王城に続く中央通りに展開する市場にて、威勢の良い露店の男に声を掛けられる少年ーーレオナールは、足早に離れながら言葉を交わす。


「この人混み……それに何軒声掛けられるんだよ……ったく。」


小さな溜息と共に愚痴を漏らすレオナール。

そんなレオナールにアクアが語りかける。


『ここを通るということは、こうなると予想出来たことではないですか?』


「それは、そうだけど……アリウスのやつ遅れると厳しいんだから近道のここを通るしかないだろ?」


『寝坊したのがいけないんだなー。』


『うんうん、起きれたら余裕持って間に合ったたのにねー。』


『まあー自業自得ってやつだな!』


「うっ……そんなことより、アリウスが王太子か……もうそんな季節なんだな。」


レオナールの反論に対しテラ、ウェントス、イグニスがそれぞれ正論を語ると、居た堪れないレオナールは、声を詰まらせ話題を切り替えた。


そんなレオナールにルーメンは感慨深いように声を発した。


『そうじゃの。色々あった事で遅くなったが、本来であれば、もっと早くにすべきことだったじゃろうな。それもようやく出来るというのは、一重に国が落ち着いたということじゃろう。』


「そうだな……あれから半年か……。」



ーー戦争が終結し半年、アーリナル王国では、国全土を挙げての立て直しが行われていた。

それは、東部における反乱において数多くの貴族が関わっていたことにより爵位の降格や取り潰しに伴う様々な問題が発生していたことに他ならない。

王家を始め四大貴族を中心にこれを対処し、最終的に領土の再分配や目立った戦果を挙げた者達への褒賞授与の式典が執り行われ事態は収束した。

その式典では、一番の戦果を挙げた者として、敵将及び魔族を討ち取ったジークが名誉貴族から男爵へと正式に陞爵し貴族の一員として名を連ねることとなった。また、東部の山間にある小さな緑豊かな街、アロードの領土を賜ることとなったのだ。

この陞爵には、一部貴族が魔族の戦闘において魔法が使われていた事を理由に戦果を怪しんだ者も居たが、国王自らが“戦闘においての魔法の使用は、魔具によるもの”と創作した事の詳細を周知し黙らせる形となった。それ以外にも、龍達の存在についての説明を求める声が多く上がったが国の重要機密であることを理由に詳細を伝えず、代わりに味方であることを再度周知されることとなったのだ。




『…………主人、急がなくていいの?』


「あっ‼︎やべっ‼︎」


立ち止まり、そんな物思いに耽っているレオナールに静かに語りかけるテネブラエ。

レオナールは、ハッと我に返り慌てて駆け出すのであった。




ーー◇王国練兵場◇ーー



「おはよう。遅い到着だな?」


「いやいや、ギリギリだろ⁉︎」


練兵場に到着すると既にウォーミングアップを済ませたアリウスが、汗を拭きながら休憩していた。そんなアリウスに向けて心外だと言わんばかりにレオナールが返答する。


「お前な、4回目の鐘が鳴ったのはいつだ?」


「……えっと、城に入った時?」


「ここに着いてない時点で、間に合ってないだろう……まあいい。それよりも動けるのか?」


「おう!バッチリ走ってきたからいつでも来い!」


「ほう、じゃお手合わせ願おうーーかっ!」


そう言いつつ距離を詰め組手を行うアリウスとレオナール。

二人は、時間が合う時にこうして剣術、魔法、体術を主なサイクルとし一緒に訓練することでスキル習得乃至(ないし)はスキルのレベル上げに勤しんでいたのだ。


そんな訓練も5回目の鐘が鳴ると終わりを迎える。



「ーーっと、今日は、ここまでだな。」


「そうだな……にしても、中々体術スキルが取れないな。やはり職業外スキルは厳しいか。」


「みたいだな。俺も……やっぱりまだ習得出来てないか。」


自分のステータスを確認しつつ床に座り込み話し込むレオナールとアリウス。

そんな二人の元に練兵場の扉が開かれ、少女とメイドが歩み寄ってくる。


「お兄様、レオ、お疲れ様です。そろそろ、お食事にしませんか?」


そう言いつつ、歩み寄る少女ーーティアは、笑みを浮かべ二人の元に座り込む。その傍らに寄り添うメイドーーリリルは、同様に笑みを浮かべ持ち運んでいたバケットを置き食事の用意を始めた。



「ああ、ありがとう。」


「ありがとう、ティア。喜んでいただくよ。……っと、みんなも出てきてくれ。」


そうレオナールが声を発すると、周囲に小さな姿の七龍が召喚される。



『やっほー!今日は、何だ?』


『腹ペコなんだなーー。』


『…………サンドイッチ。』


『え、サンドイッチなの!やったー!』


『貴方達、少しは落ち着きなさい!』


『そうだよ、みんな落ち着こうよ。』


『フォッフォッフォッ。まあ良いではないか、折角の好意じゃしの。』


レオナールの周囲を元気に飛び回り始めるイグニスとテラに加え、バケットを見つめ続けるテネブラエとウェントスといった落ち着きの無い四頭に対し、アクアとフルメンが注意しルーメンが見守るといった、ありがちな構図に分かれる。


そんな天真爛漫に騒ぐ龍達を見つめながらアリウスがポツリと呟く。


「にしても、異様というか……何とも言えない状況だな。」


「ん?何がだ?」


レオナールは、首を傾げながら返答しアリウスに発言を促す。


「いや、あの大仰しい龍達の姿が、小さく出来るようになるなんて誰も思わないだろうなと思ってな。それに、その龍達がサンドイッチを心待ちにするというのも……な?」


「あー、そのことか……。」


そう言いつつ龍達を見つめるレオナール。



ーーこの半年で一番変化し成長したのは、間違いなく龍達だろう。この半年で本来の魔力の扱い方を徐々に思い出し擬人化までには至らずとも身体のサイズ調整が可能な程に魔力を練ることができるようになったのだ。これによって、ダンジョン等での狭い場所での活躍が期待出来るとともに、少ない食事量で満腹感を得られることに龍達の心が更に満たされることとなったのは言うまでもない。



そんなたわいもない話をしながら食事を摂り終えた頃、練兵場の扉が叩かれる。


「レオ。」


「分かってる。食べたばかりなのに、みんなすまない。」


アリウスの一言で、レオナールは意図を汲み取り龍達に声をかけ送還する。

龍達もいつものことである為、静かに了承しこれに応じる。


「構わん、入れ。」


龍達の送還を終えるのを見届けた後、アリウスは扉の反対側にいる者に向けて声を発する。


「失礼致します。殿下、そろそろお時間です。」


「あ、もうそんな時間か。今から行く。レオ、すまないが政務に行ってくる。」


「はいよ、行ってらっしゃい。王太子になるとはいえ、いつもながら大変だな。頑張ってこいよ。」


「お兄様、行ってらっしゃいませ。」


アリウスの発言に対し、レオナールが片手を上げながら声をかけると、ティアもまた笑みを浮かべながら兄を見送る。


アリウスは、そんな二人に「ああ。行ってくるよ。」と簡単に挨拶を済ませ練兵場を後にした。


ティアは、そんな兄の後ろ姿を見つめていると、小さな声を上げ思い出したようにレオナールに声をかける。


「そういえば、レオ。3日後のお兄様の立王太子儀の日にお父様がレオにお願いしたいことがあると言ってましたよ?」


「えっ?お願いしたいこと?」


「なんでもレオにしか頼めないことって言ってましたけど、私もよくわからなくて……。今日の帰りにでも顔を見せて欲しいって言ってたので後で一緒に行きませんか?」


「ああ、勿論!じゃ、いつも通り魔法の訓練を始めようか。」


「はい!よろしくお願いします!」


レオナールは、ルクスからの依頼内容に疑問を浮かべながらもティアと共に訓練に励む。

その後、サロンにて待っていたルクスに伝えられた内容にレオナールは、目を丸くし了承の意を伝えたのだった。


そして、立王太子儀当日の朝を迎えるーー。


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