東部動乱 その後 Part4
お待たせしました!
静けさが漂う練兵場内ーーその場に居合わせた者達は皆、動揺を隠せずにいた。
それは、レオナールに寄り添う七龍の姿を目の当たりにし、皆が一様に心の奥底で疑いの気持ちがあったことに起因していたのだろう。
そんな場が硬直している最中、七龍達に向けて溜息混じりにレオナールが声を発する。
「なぁ、前も言ったけど派手に登場する意味ってあるのか?」
『ん?今回は、多少抑えたつもりじゃったが、ダメだったかのぉ?』
「いやいや、前回とあまり変わらないだろ……。」
『フォッフォッフォッ、それは、すまんかったな。皆の意見を聞いて妥協したんじゃがな。』
優しげな表情を浮かべ、イグニス達に目を向けながら話すルーメン。
レオナールは、思わぬルーメンの発言に少し驚いた表情を浮かべ返答する。
「え、そうなの?馬……イグニスなら分かるけど、アクアやフルメン達が良くあれで許可したな?」
『おい主!今、何と言おうとした!?てか、何で俺だけなんだよ!?案外テラやアクアも好『何ですか?イグニス?』……きじゃないんだ……はい、俺がやりたくて意地を張りました。』
心外だと言わんばかりにレオナールに答えるイグニス。
そんなイグニスに対し極寒の如く冷めた声色でアクアが声を発すると、イグニスは尾を腹部に巻きつけ萎縮していた。
『すいません主。後で、ゆっくりと言って聞かせます。』
「おう、お手柔らかにな……。(イグニス……南無。)」
レオナールがイグニスに対し心の中で合掌していると、レオナールの背後からアリウスが歩み寄り声を掛ける。
「レオ。話しているところすまないのだが、そろそろ話を進めても構わないか?」
「あ、ごめんごめん。……って、ルーメン達の念話聞こえてたの?」
アリウスの言葉に苦笑浮かべ謝るレオナール。
アリウスは、軽く頷き後方に目を向け言葉を続けた。
「あぁ、しっかりと聞こえてるよ。だが、皆の反応を見るに聞こえているのは、先程サロンにいた面々だけみたいだな。」
「ーーみたいだな。」
アリウスとレオナールの視線の先には、七龍に向けて独り言を話すレオナールを訝しむように好奇の目で見る者達と、感嘆の声を漏らし見つめる者達に別れていた。
そんな空気の中、ルーメンが見かねて声を発する。
『うむ。茶番は、これくらいにして本題に進むかの。ーールクスよ、何を呆けておるんじゃ?』
「ーーああ、すまない。先程、話していたのに実際に目で見ると信じられなくてな。それにしても、私達以外の者達に声を聴かせないのは何故なんだ?」
ルクスは、ハッと我に返り歩み寄りながらルーメンに返答する。
『それは、先にお主達に確認すべきことがあったからじゃよ。』
「確認だと?」
『そうじゃ。それは、ティアのことを他の者達にも伝えて良いのかという話じゃ。』
「ちょっと待ってくれ、どういうことだ?何故そこでティアが関係してくるんだ?」
『なんじゃ、アリウス。話しておらなんだのか?』
理解し難い面持ちで言葉を発するルクス。
そんなルクスからの発言に対し、ルーメンは、アリウスに視線を向けて声を掛けた。
「すまない。呪いや魔族の話をしても信じてもらえる確証が無かったから言えなかったんだ。父上、申し訳ありません。実はーー。」
アリウスは、ルクスの耳元で以前ルーメン達から聞いた内容を順序立ててルクスに説明する。その内容は、呪い、魔族、聖女といった信じられない話が盛り込まれルクスは、大いに混乱し、思案の表情を浮かべ呟く。
「なんということだ……。よもや、そんなことがあったのか。そうか、だからティアの声が戻ったのか……。それに教会、いや民が混乱を……」
ーーこの時、ルクスの脳内では全ての経緯が繋がり、今後起こりうる様々な問題が脳裏によぎった。
レオナールが魔族を討ち取った頃、回復に兆しもなかったティアの声が急に戻っていたこと。何故声が戻ったのか、何故ティアが誘拐され命を狙われていたかの理由が判明し冷たい汗が背中に流れる。また、自らの娘が聖女であるという事実が教会に露顕した場合、鑑定結果に現れない限り確実な証拠がないとして異端児として扱われるのは明白。娘の今後左右し、強いては、王家の信頼を落とすことに繋がりかねない事実に動揺を隠せずにいた。
そんなルクスを見て、見兼ねたアクアが諭すように声を発する。
『落ち着きなさい。貴方の心配は、分かります。しかし、一国の王である貴方が落ち着かねば話が先に進みません。』
「そう……だな。何度もすまない、取り乱してしまったようだ。ルーメンよ、聖女に関することは、彼等に話さないでくれるか?時期を見て伝えることとしようと思う。」
『相分かった。その方が、賢明じゃろうな。』
ルーメンは、静かに瞑目し頷くと、練兵場に居る者達に目を向け声を発する。
『待たせてすまなかったの。改めて名乗ろう。儂は、ルーメン。光龍の王にして龍王種の長を担っておる。事の経緯を儂から説明しよう。まず、儂等はーー。』
ルーメンの念話に対し初めて声を聞いた者達は、例外なく驚きの声をあげていた。
そんな混乱の中、ルクスが一喝し落ち着きを取り戻すと、ルーメンが説明を改めて再開する。
七龍全てがレオナールの契約獣となった経緯、ティアの声が戻った経緯、戦争で起こった出来事等、一連のレオナールとの出会いから戦争までの経緯を伝え終えると、皆が一様に言葉を失っていた。
そんな異様な空気の中、ナイゼルが重い口を開け言葉を発する。
「なるほど。人生何が起こるか分かったものではないですね。龍王種の存在、魔族の存在、それに、ティアリス様にそのような呪いが掛かっていようとは……。」
「そうですね。私も何がこの国で起こっているのか整理が追いつかない。詰まるところ、レオナール君の扱いをどうすべきか、あと魔族に対する対策を考えるべきでは?」
「確かに。これは、今後南部の防衛強化も考えなくてはならないですね。だが、龍の力を使えば安泰ではないですか?」
ナイゼルの発言に対し、シオンとフレンがそれぞれ自らの考えを返答すると、そのまま様々な意見が飛び交うこととなった。結果、この場での会議によって5つの取り決めが成されることとなった。
一.レオナールの七龍の存在は、時期を見て成人(15歳)後に公表すること。
一.今回の一連のレオナールの戦果は、全てジークのものとし正式に男爵に陞爵させ、東部の土地を割り振ること。
一.魔族の存在を国民に周知し、軍備の強化、各国へ書簡を送り協力を要請すること。
一.ティアリス姫の病が魔族に由来していたことは、内密にすること。
一.レオナールを本人の意思に反して軍事利用しないこと。
これらの取り決めは、本人と龍達、そしてジーク等家族の意見も盛り込まれ決定し、再度全て箝口令を敷かれ家族にも国王の許可なしに伝えることを禁じられたのだ。
簡潔的にではあるが今後の方針が決まったことで、一先ずの落ち着きを取り戻した場内。
そんな中、ルクスがレオナールに歩み寄り声を掛ける。
「レオナール、そして七龍よ。この度の未曾有の国存続の危機を救ってこれたこと改めて感謝する。それに加え、王としてではなく一人の親として娘を助けてくれたことに感謝の言葉を述べさせてくれ。ありがとう。」
「いえ、頭を上げてください!私は、この国の貴族の一員として、また姫様の友人として当たり前のことをしたまでです。今後同じようなことがあれば、私は、王国の剣として同じように動くでしょう。微力ではありますが、七龍共々今後とも忠誠を誓わせていただきます。」
ルクスの感謝の言葉に対し、片膝をつき臣下の礼をとるレオナール。
そんなレオナールに付き従うように七龍もまた頭を垂れ言葉を重ねる。
『『『『『『『主の御心のままに。』』』』』』』
ーーそんな王に忠誠を誓うレオナールと七龍の姿は、荘厳な雰囲気を醸し出し見ていた者達の心を鷲掴みにするのだった。
書いてたら7000字越えて説明くどくなったので、大幅に削除し簡潔にまとめました笑
次回、時間が半年進み学園編or閑話を挟むか考え中です。
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