東部動乱 その後 Part2
「おいレオ!これは、どういうことだ!?」
三者三様の驚愕の声が響き渡る中ーー真っ先に正気を取り戻したアリウスは、勢いそのままに声を荒げる。
「まぁまぁ……アリウス、取り敢えず落ち着いてくれ。」
レオナールは、そんなアリウスに対し宥めるように声を掛ける。
しかし、そんな言葉で興奮が収まる筈がなく、アリウスは、立て続けに声を発した。
「このステータスをみて落ち着けだと?全ての属性魔法に加え、近接戦闘スキル……そして、そのスキルのどれもが軒並み高レベル……だと?常識外れにも程があるだろうがぁーー!」
「いや……それは、その……“能ある鷹は爪を隠す”って言うだろ?アリウスに打ち明けなかったのも“敵を騙すには、まず味方から”とも言うし……ティアの呪いの件があって何処に敵が潜んでいるか分からなかったからな。俺としては、だな……」
『言い訳だな。』
『子供じゃのぉ。』
『主、些か無理があるかと。』
『あちゃー……。』
『見苦しいんだな。』
『……嘘。』
『主、正直に話した方がいいよ?』
レオナールが「もうそろそろ打ち明けようと思っていた。」と、そう言葉を続けようとした矢先、アリウスとレオナールにルーメン達が割って入る様に語り掛ける。
「……………………。」
一瞬の沈黙に見舞われるレオナール。
アリウスは、そんな呆然とするレオナールを見つめ一度咳払いをして笑みを浮かべた。
「ゴホンっ……と、ルーメン達が言っているが、どうなんだ?レオナール君?」
「お前等、どっちの味方なんだよ……。そもそも、召喚してないのにアリウスと念話できるなんて聞いてないぞ?」
『召喚されていまいと主の近くに居るという条件があるが、心を繋ぐことは造作も無いことじゃよ。主が聞いてないと言うが、聞かれてもないしのぉ……フォフォフォ。』
レオナールが思わぬ伏兵に打ち拉がれガックリと肩を落とす中、そんな二人の様子を見ていたルクスが豪快な笑い声を上げる。
「はっはっはっ!アリウスが、此処まで素を出すとは珍しいものだな。」
「あっ、申し訳ありません、父上。お恥ずかしいところを……。」
ルクスの言葉で慌てたように我に返るアリウス。
そんなアリウスにルクスは、優しい笑みを浮かべ話し掛ける。
「いや、構わん。今まで、城の者達と距離を置いていた息子が気を許せる歳相応の友を得たのだ。喜ばしいことこの上ない。だが、今は本題だ。話を移して構わないか?」
「「はい!」」
ルクスの言葉にレオナールとアリウスは、揃って肯定する。
そして、ルクスは、返答を聞いた直後真剣な表情を浮かべレオナールを見据える。
「では、早速聞かせてもらおう。まず腑に落ちないのは、お前達の先程の会話だ。二人で会話していたにしては、あまりに異様と言える光景……まるで第三者がいたようにも感じたが、どうなっているんだ?それに加え、アリウスの言っていた“ルーメン達が言っていた”というのは、この龍王達の事を言っているのか?」
ルクスは、眉間に皺を寄せつつレオナールのステータスに目を落とし自らの考察を述べた。
レオナールは、そんなルクスの発言に対し自然とアリウスと視線を合わせる。そして、それに応じるようにアリウスは、静かに頷き視線でレオナールに発言を促した。
「はい、その通りです。」
レオナールは、ルクスを見つめ肯定する。
「やはりか……だが、どういうことなんだ?我自身、言ってなんだが……よく意味が分かっていない。説明してもらえるか?」
「はい。実は、彼等……龍王達とは、念話によって会話が出来るんです。突拍子もない話で信じ難いかもしれませんが、実際に彼等と会話して頂ければ分かるかと思います。ルーメン頼めるか?」
『相分かった。ジークと母君、そして人族の王よ、声のみですまぬな。主より紹介を賜った龍王種の長にして光龍を統べておるルーメンじゃ。ジークは、先日会って以来じゃの。主の母君もいることじゃし、実際に姿を出して挨拶したいものじゃが……この部屋では、ちと難しいかのぉ?』
ルーメンは、レオナールの呼び掛けに反応しそれぞれに念話で語り掛ける。
すると、思いも寄らないルーメンの言葉にルクスとソフィアが驚きの声を上げる。そして、ジークもまた二人に同情する視線を送りながら声を発する。
「……何だこの声は!?」
「頭に直接響いてくる……何なのこれ?」
「先日振りだな、ルーメン。あまり陛下と妻を驚かさないでくれよ?」
ジークの言葉と驚きの隠せない二人の反応に対し、ルーメンは、笑い声を上げて話を続ける。
『フォフォフォ。儂にそう言われても仕方ないじゃろう。魔物である儂が話しておるんじゃし、二人が驚くのも無理無いと思うがの?……じゃが、念話でお主等の心を急に繋いだのが悪かったかの?その点については、すまんかったな。』
そうルーメンが謝罪すると、ルクスとソフィアは、慌てるように声を発する。
「この声は、光龍王なのか?そうなのだとしたら、こちらこそ申し訳ない。念話が出来るとは、思いも寄らず驚いてしまったのです。」
「ルーメン様、私も申し訳ありません。先程から驚く事が多すぎて理解が追いついていないのです。私の事は、お気になさらないでください。」
『フォフォフォ。ルクスと言ったか?やはりお主は、アリウスと似ておるの。アリウスにも言った覚えがあるが……龍王と言えど、今は、主の召喚獣じゃ。そんなに謙る必要はないというに。もちろん、母君も同様じゃぞ。』
ルーメンは、過去のアリウスの反応を思い出しつつ笑い声を上げて自らの考えを返答する。
「構わないのか?……分かった。では、そのように対応させていただこう。」
「わ、分かりました。私も善処させていただきます!」
『うむ、重畳じゃ。して、話が脱線してしまったのぉ。ルクスよ。お主は、儂等に何か聞きたい事はあるかの?』
ルーメンは、脱線してしまった話を軌道修正しルクスに声を掛ける。
「ああ、何点か尋ねたい事がある。だが、その前に頼みがあるのだが聞いてもらえないだろうか?もちろん、当事者であるレオナールが一番関わる話なのだが……。」
ルクスは、そう言いつつ空中を彷徨わせていた視線をレオナールに留める。
対するレオナールは、真剣な表情を浮かべルクスに応えた。
「どういったお話でしょうか?」
「うむ……。正直な話、ステータスをみたと言っても、ルーメン達の存在は、実際に話さなければ到底信じられるものではなかった。それに、先程アリウスも言っていたが、レオナール……お主のステータスは、常識外にも程がある。これを信じろと言われても半信半疑なのは否めないだろう。……そこでだ。今から人払いをして練兵場を空ける……そこでお主の力を見せてもらいたい。そして、この目で直接見て龍王達の話を聞きたいのだが構わないか?あと、ここまで頼みを言っていてなんだが……我に加え、我が最も信頼する者達も一緒に同席させてもらいたい。お主の存在は、この国にとって命運を左右する存在だ。この者達は、お主にとっても知己を得て損にはならないだろう。どうだろうか?」
ルクスの真剣な言葉に眉を寄せ思案するレオナール。
そんなレオナールにアクアが念話で語り掛け、レオナールも声に出さず返答する。
『主、私は、同意すべきと思います。否が応でも主の存在は、今後世に広まります。そうなると、間違えなく国同士の諍いに巻き込まれるでしょう。それに対抗するカードは、一つでも増やすべきと思います。』
『そういうが、その人達に知られて俺の存在が明るみに出る可能性が高くなるんじゃないか?』
『大丈夫です。そうならないように考えがあります。安心してください。』
『そ、そうか……アクアがそう言ってくれるなら心強いな。分かった。』
レオナールは、力強いアクアの言葉に後押しされ念話を終える。
そして、ルクスを見つめ声を発した。
「分かりました。陛下のお言葉を信じさせていただきたく思います。」
「そうか、すまないな。では、早速移動しよう。」
「はい。」
そう言うと、ルクスの後を追うようにそれぞれ行動に移すのだった。
1月20日追記
大変お待たせしました。一年半振りになりますが、25日に更新致します。待っていてくださった方々ありがとうございます。感想返しが出来ておりませんが、すごく元気をいただきました。 Light




