東部動乱 Part14
本当にすいません汗
遅くなりました。
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ーー時を少し遡る。
レオナール達が中央軍の治療を終え右軍に移動している頃……ここ王国軍本陣の天幕に慌ただしく入室する近衛兵の姿があった。
「会議中、失礼致します!至急、殿下に御目通りを願いたいという方がいらっしゃいました!如何なされますか?」
近衛兵の男は、片膝立ちで頭を垂れつつ用件述べる。
そんな近衛兵の報告に対し、アリウスは、眉を顰め応えた。
「至急だと?この忙しい時に……少し待てないのか?」
「私共も同様のお伺いをお掛けしたのですが、殿下に勅命された任務の報告ということでしたので、至急お伝えした次第であります。」
「私の勅命?……ジーク!グリューゲル卿か!?」
アリウスは、近衛兵の話を聞き一瞬思案するもハッとした表情を浮かべ声を発する。
「ハッ、グリューゲル卿御本人に間違いありません。」
「なら、問題ない。すぐに通せ!今回の会議の重要人物だ。」
「畏まりました!失礼致します!」
近衛兵は、アリウスの返答聞くと急ぎ退出する。そして、入れ替わるようにジークが姿を現した。
「失礼致します。ジーク・フォン・グリューゲル、殿下に急ぎ報告が必要と考え参上致しました。」
片膝を立て頭を垂れつつ口上を述べるジーク。
アリウスは、そんなジークに対し真剣な表情で声をかける。
「グリューゲル卿、御苦労だったな。早速ですまないが報告を聞きたい。あの者の言う通りであれば、貴殿が敵将二人とも討ち取ったということになるが相違ないか?」
「ハッ!その報告をと思い証拠の品を持って参った次第であります。」
「そうか……では、やはりそれは、あいつらの……」
アリウスの質問に対し、片膝立ちのまま面を上げて応えるジーク。
アリウスは、そんなジークの右隣に置かれている二つの布包みに目を移し声を濁した。
「はい、殿下の御察しの通り…………グラエス卿並びに魔族テジーの首を持って参りました。」
ジークは、アリウスの視線に釣られ布包みに目を移すと首肯し返答する。そして、布包みを解くと再び続け様に声を発した。
静まり返る天幕内……そう、それが顕となった直後、天幕内にいた者達は、皆一様に息を飲んだのだ。
「…………これが、魔族。」
天幕内にいた貴族の誰かがボソリと、皆が思っているであろう心境を呟いた。
皆が凍りつくのは、仕方ないことだろう。その存在こそ確かと言われていようとも実際に目にした者は、身近に存在しない。それこそ悪の象徴として物語に出てくるような存在が目の前にいるのだ。
そんな詰まる空気の中、ナイゼルは、少し考え込むような表情を浮かべジークに声をかける。
「グラエス卿に加え、この魔族も討った功績は、我々の多くの命を……窮地を救ったと言っても過言ではないだろう。軍を預かる身として、この場を借りて感謝する。……ただ、戦場に放っていた斥候の報告内容と比べると些か腑に落ちないこともあるのも事実だ。その点について、詳しく聞かせてもらいたいが良いか?」
「身に余るお言葉をいただき、恐縮に存じます。何なりとお申し付けください。」
「貴公は、【豪剣】とも称される剣の担い手……斥候からの報告によると遠目からでも分かるほどの高レベルの魔法が使われていたようだが、どういうことだ?」
「その件につきましては、あの契約者が『待て。』……え?」
ジークが、ナイゼルに対し詳細を語ろうとしたその時、アリウスが待ったをかける。
皆が一様にアリウスに視線を注ぐ中、当の本人は、神妙な面持ちで発言を続けた。
「少し待ってくれ。ナイゼル……これから先の話、すまないが全員席を外してもらいたい。」
アリウスの言葉に皆が一様に驚きの表情を浮かべる。その中の一人であるナイゼルは、ハッと我に返ると得心のいかないような表情で聞き返す。
「殿下……それは、参謀たる私も聞けないということですか?」
「…………そうだ。すまないが、例えナイゼルであっても現時点では話すことはできない。」
アリウスは、一時目を伏せ思慮するがスッと視線を上げナイゼルの目を見つめる。
そんなアリウスの対応にナイゼルは、どこか納得するような表情を浮かべ反応する。
「分かりました。殿下がそうおっしゃるのであれば、何か意図があるのでしょう。それに、現時点と言うのであれば、いずれお教え頂けるのでしょうし……また、報告をお待ちしています。では、失礼致します。」
そう言うとナイゼルは、天幕内にいた数名の貴族を引き連れ退席する。
ガラリと静まり返る天幕内ーーそんな空気の中、アリウスは「ふう……。」とため息をつくとジークに報告を促す。
「では早速、聞かせてもらおうか?」
「はい、実はーー」
ーー◇ーーーーーーーー◇ーー
「ーー以上が、今に至る経緯となります。」
「はあ……それで、あんな声明を出したという訳なのだな。」
アリウスは、エイルとテジーを討ち取った経緯とレオナールとの遣り取りを知ると深いため息とともに苦笑を浮かべていた。
「はい……正直なところ、息子にあんな力があったとは思いもしませんでしたので、今尚困惑しているというのが現状です。」
「まあ、そうなるだろうな……あのレベルにスキルの数々……ましてや七頭もの龍王を従えるなんて誰も思いもしないだろう。」
苦笑を浮かべ自らの思いを語るジークに対し、アリウスも同様にさもありなんと苦笑を浮かべ言葉を続ける。
「だが、今回の件でレオの存在が明るみになったのは事実……父上含め上層部には隠しようがないだろう。幸いだったのが、レオの存在に置いて一番の問題であった戦争擁護派の発言力が弱まったことだな。トップに君臨していたグラエス卿とその派閥の一部の者達が今回の件で取り潰しや爵位の降格が決定するだろうし、何を言われようとこちらの方が優位に変わりないだろう。レオの存在は、あの強大な力と子供である観点から王族管理として箝口令を敷いて対応させてもらう……その方が厄介なことにならないだろうからな。」
「ありがとうございます。殿下のご配慮痛み入ります……ですが、他の貴族や国民にはどのように説明するおつもりで?実際に目にしている者が、多くいる以上何かしらの説明をしなければ納得しないと思いますが?」
淡々と自らの考えを述べながら今後の展望を予測するアリウス。
ジークは、そんなアリウスに感謝の言葉を述べつつ更なる疑問を問い掛ける。
「そうだな。勿論、それは考えてある。まずグラエス卿と魔族の件だが、実際にジークがこれを私の元へ持って来てくれたことで、ジークが討ち取ったというレオの言葉は真実味を帯びるだろう。だが……戦場の真っ只中であれだけの激しい戦闘をしたんだ……多くの者が魔法を使用しているのを見ている。その点については、レオの名は伏せて『あの龍の契約者が魔族を追い込んだところをジークが居合わせ止めを刺した』ということ形にするから話を合わせておいてくれ。もし詳細を他の者が聞いてきたら私から箝口令を敷かれているとでも言っておけば大丈夫だろう。国民には……そうだな。本人たっての希望により名を伏せている我が国を守護している者とでも伝えておこう………ククク、噂が一人歩きしそうだけどな。」
「口裏合わせの件、了承しました。宜しくお願い致します。それにしても殿下もお人が悪い……ですが、レオも私に黙っていた罰です。どのような噂となってもレオの責任です。国民にも、その方向で宜しくお願い致します。」
アリウスは、ジークの質問に対し今後のレオナールの処遇と魔族討伐の経緯の帳尻合わせを行った。そんな会話の終わりに悪戯好きな子供のような表情を浮かべ笑みを漏らすアリウス。ジークは、そんなアリウスの考えを首肯し、同様に笑みを浮かべ応える。
「よし。では、斥候や私の【陰影】からそろそろ現状の報告が届いているだろう。今回のジークの報告も含めて全軍に伝令を出そう。あとのことは任せて下がっていいぞ。ゆっくり休んでいてくれ。」
「ハッ!有り難き幸せ!失礼致します。」
ジークは、アリウスの配慮に頭を垂れて礼を述べると歩きゆっくりと退出するのだった。
ーーこうして、王国建国史上最大規模の内乱は、両軍合わせ死傷者五千人を下回るという例を見ない結果で王国軍が勝利を収め幕を降ろすのだった。
どのような噂が一人歩きするのか?いろいろ考えています笑
これより先は、王都に戻ったあとのやりとりを描く予定です。
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完結までまだまだあります。書きたい道筋は書いているのですがコツコツと更新していきたいと思っています。仕事上、バタバタしていますが、これからも宜しくお願い致します。
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