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七龍の契約者  作者: Light
第一章 少年期(仮)
32/59

東部動乱Part3

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◇ーミュレー湿原中部ー◇


王国軍は、反乱軍より少しでも有利にことを運ぶことが出来るようにと篝火かがりびを焚き日の出に間に合うように陣形を展開した。


ーーそして今、その陣形が日の出と共に完成間近となっていた。



「……いよいよだな。」


アリウスは、目の前に拡がる光景を目の当たりにし緊張感に包まれていた。

ナイゼルは、そんなアリウスを感慨深そうに見つめ声を掛ける。


「流石に神童と称される殿下と言えども、戦争は緊張するのですね。」


「私も人だぞ?当たり前だろ。」


アリウスは、苦笑を浮かべながらナイゼルに返答する。

そんな2人の元に数人の兵士が近づき片膝立ちで頭を垂れた。


「報告、左軍長ジルベルト侯爵閣下より伝令です。左軍の準備は完了したとのこと。開戦の指示を求められております。」


「同じく、右軍長ファルア公爵閣下からも布陣完了との報告です。」


「中央軍長シュルク公爵閣下も同じく殿下の開戦指示をお待ちしております。」


アリウスは、同じタイミングで同じ内容の報告を受けて笑みを浮かべる。


「流石は、上級貴族達と言ったところか……。」


アリウスは、公爵達の布陣の速さに感心しながら呟き、馬上から見える反乱軍を見据えて剣を抜く。


「全軍、攻撃開始!敵将エイル・フォン・グラエスを討て!」



「「「「「「「「ウオオオオオオオオオーーーー!」」」」」」」」



アリウスの周辺の騎士や兵士から波紋の様に怒号が地鳴りと共に拡がり開戦の火蓋が落とされた。




◇ー左軍ジルベルト侯爵sideー◇



「我は、デューク・フォン・ジルベルト。御主らの命は、我が預かることとなった。彼奴らは、東部貴族の恥……敵将の首は我々が貰い受けるぞーーー!」


デュークは、後方から左軍の味方に対して声を張り上げ檄を飛ばす。

それに呼応するかの様に左軍の貴族並びにその部下である騎士や兵士達が反応する。


「「「オオオオオオーーー」」」


怒号と共に一様に敵軍に向かって駆け出す兵士達……そんな兵士達の後を追う様にデューク自らも前線に身を投じるのだった。



ーー◇ー左軍最前線ー◇ーー


「皆の者、下がれー!!ウィル様が魔法を繰り出すぞーー!」


一人の騎士が、大声で注意喚起すると騎士より前方にいた者達が左右に割かれるように一斉に移動する。


「……万物を焼き尽くす業火よ、我の前に顕現せよ!ファイアストーム!」


左軍副官であるウィル・フォン・デュローは、前方の視界が開かれたことを確認すると本来無詠唱で放てる魔法を指揮上昇を狙って敢えて仰々しく詠唱し、先手必勝とばかりに数多の真紅の竜巻が巻き起こした。

視界は、真紅の炎で埋め尽くされ広大な湿原の草木が一瞬の内に焼き尽くされた。反乱軍では、その元凶が到達するや否や数多の悲鳴や業火に焼かれた兵士が苦悶の声が響き渡る。



「……ふう。少し魔力を使い過ぎたかな?」


当の元凶を引き起こしたウィルは、集中して魔力を練っていたことも相成って疲弊した表情を浮かべていた。そんな中、陣後方から一人の男が馬を走らせ駆け寄って来る。


「おいウィル、お前も副官だろうが!?何だって最前線に来ているんだ?」


ウィルと同年代の立派な髭を蓄えた男が少し苛立った形相で睨みつける。


「そんなに怒らなくても良いじゃないか。辺境伯と言えどガナンと私の仲だろう?」


ウィルは、同じ副官であり旧知の仲であるガナンーーガナン・フォン・ゼブルスに肩を竦めながら話しかけた。


「何にせよ物事は最初が肝心だろう?私が魔法を放つことで反乱軍への突破口を作ることができるし兵士達の指揮も上がる。それに、戦況も良い方向に向く……いいこと尽くしじゃないか?あと因みに、最初の一発だけ放ったら後方に下がって軍を纏める事を条件にジルベルト卿にも許可は貰ってるぞ?」


ウィルは、独断専行ではなく許可を取った作戦であることをガナンに伝えた。

そんなウィルの話を聞いたガナンは、大きな溜息と共に呆れるように呟いた。


「そんな話聞いてないぞ。全くあの方という人は……だが、ジルベルト卿が仰るのであればお前の行動としては間違いないのだろうな。兎に角、もう直ぐ終息するだろうし持ち場に戻るぞ…………ん?」


ガナンは、自身に話が通されていないことに落胆するも、信頼を置くデュークがウィルの行動を容認していることに安堵した。

そして、燃え盛る竜巻の勢いが弱まりつつあることを確認しながらウィルに声を掛けていたのだが、炎の竜巻の背後に薄っすら見える反乱軍を見据えると違和感を抱く。


「おい、ウィル……。何か可笑しくないか?何故こんなに静まり返っている(・・・・・・・・)んだ?」


ガナンは、つい先程まで聞こえていた悲鳴や苦悶の声が無くなっていることに気付きウィルに視線を向ける。


「何だと?」


ウィルは、ガナンの発言を受け反乱軍に視線を向けた。




ーーその瞬間だった。




先程まで燃え盛っていた竜巻が突如巻き起こった暴風雨によって掻き消され、目の前には透き通る様な氷壁が立ち聳えていたのだ。氷壁の裏には等間隔に年端のいかない冒険者や兵士、奴隷といった面々が立ち魔法を放っていた。


ウィルは、自らの魔法を掻き消した者達を見て驚愕の表情を浮かべる。さらには、火魔法に長け達人の域に達しつつある熟練の魔術師であるウィルに対して、束となり力を合わすことで反乱軍が対応出来たことに舌を巻く。


「この私が、若者共数名で賄われるとは思いもしなかったな。」


ウィルは、報告に聞いていた上級魔法を扱う冒険者達の人数がこれ程いるとは思いもしなかったのだ。本来、上級者の域に達するには長い修練や才能が必須であり、上級魔法を使えるだけでベテランの域に達しているようなもの……何かしら裏があるとはいえ上級魔法を放てる若者が数多にいるなんて誰も思わないだろう。


そんな最中さなか、ウィルは反乱軍の最前線に再度眼を凝らす。すると、魔法で焼き払った亡骸が異常に少ないことに気付き、焼死体とは異なり綺麗な姿で倒れている新兵や冒険者らしき者達の姿が確認できた。また、最前線で先程まで魔法を放っていた者達が次々と倒れ後方の冒険者達と入れ替わる。さらには、お返しとばかりに十数名の冒険者達が一斉に詠唱を開始した。


「ーーくっ、そういうことか!?魔術師隊前へ!!アイスウォールとアースウォールを放てーー!!」


ウィルは、大声を張り上げて指示を飛ばす。一斉に詠唱され展開される氷や土の壁……ウィルも同様に今度は無詠唱で味方を守る土壁を展開した。


間一髪、多少の被害を被ったものの指示の速さが幸いして左軍の被害は最小限に抑えられた。そんなウィルは、切迫した態度で隣にいたガナンに話し掛ける。


「ガナン!直ちにジルベルト卿や本陣に伝令を頼む!奴等は、上級魔法を使えようとも長くは使えないみたいだ。……おそらく倒れている者達を見るからに、個人差があるのだろうが一発や二発で打ち止めなのだろう。威力も驚異的ではあるが、上級者なりたて程の威力のようだ。それに、報告にあった反乱軍の総数の割に左軍に数が集中しているようだ!ジルベルト卿には、私がこのまま最前線に残り指示を出すと報告してくれ!」


ガナンは、ウィルの話を受けて少し驚くも直ぐに真剣な表情を浮かべる。


「分かった、今直ぐ向かおう……死ぬなよ。」


ガナンは、真剣な表情でウィルに声を掛けると手綱を引き踵を返し駆けて行った。


「私は、案外しぶといんでね……そんな心配はいらないよ。」


ウィルは、駆けていくガナンの後ろ姿に向けボソッと呟くように答えると視線を反乱軍に見据え指示を出す。


「前線を立て直すぞ!魔術師隊は防壁を展開した状態で歩兵隊の後ろにつけ!それから……。」


この後……左軍最前線では、ウィルの的確な指示と報告を聞いたデュークの援軍のお陰も相成って拮抗した状態に持ち込まれるのだった。





◇ー右軍ファルア公爵sideー◇



「開戦してからというものの中々思う様にはいかないものですね……フレン様。」


開戦し鐘が一つ鳴ろうかといった時が過ぎ去った頃、一人の騎士が主君ーーフレン・フォン・ファルアに声を掛ける。


「ジェイクか……ふむ、そうだな。例の上級魔法を使う冒険者達に加えてグールのように手足を切り倒しても向かって来る前衛職……そして、流石は腐っても公爵家だな。兵士の練度に不足は無しと言ったところか。」


フレンは、右軍の拮抗している戦況を見て舌を捲く。

また、それと同時にある疑問を抱いていた。


「だが、可笑しいな?聞いていた反乱軍の総数の割に右軍こちらに布陣している兵士が多くないか?」


フレンは、首を傾げ右軍の戦況を見ながら騎士ーージェイクに確認を求める。


「いえ、フレン様の気のせいではないみたいですね。」


ジェイクは、フレンと会話している折に届いた本陣からの報告書を一目見て呟く。


「何?」


フレンは、右後方に控えるジェイクに振り向きながら声を掛けた。

対してジェイクは、フレンの元に近寄り報告書を手渡しながら話す。


「左軍ジルベルト侯爵閣下の軍でも同様の疑問が上がっている様です。また、例の冒険者達の情報もあります。左軍でも報告にあった総数の割に明らかに左軍にも兵士が集中している様ですね。」


「どういうことだ?左軍でも同様に……だと?中央軍は、どうなっている?」


フレンは、ジェイクの報告を耳にしつつ報告書を読み込み、折り返す様にジェイクに問いかける。


「流石に私にも分かりかねます。右軍ここから見える限りでは、中央軍にも相応の兵士がいるように見受けられます……が、それにしては敵陣に深く入っているような気がしますね。」


ジェイクは、筒状の望遠鏡で中央軍の状況を確認しながらフレンに報告した。

フレンは、ジェイクの報告を聞き思案に暮れる。そして、十数秒経っただろうか……おもむろに顔を上げジェイクに指示を飛ばす。


「ジェイク、右軍こちらの進軍状況を直ちに本陣へ伝令を送ってくれ。嫌な予感がする……急いでくれ!」


「フレン様の予感は当たりますからね……畏まりました!」


ジェイクは苦笑を浮かべ呟き、直後真面目な面持ちに切り替わりフレンの指示を受諾する。


「……私の予感が外れてくれれば良いのだがな。」


フレンは、本陣に向かうジェイクの後ろ姿を眺めつつ、消え入る様な声でか細く呟くのだった。


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