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天才調合師の魔法薬には事情がある!  作者: 幻想桃瑠
★・・・・・・・★*☆*★【第二部◆第二章】★*☆*★・・・・・・・★
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第二話 魔法薬依頼とティーモ大臣と謎の客

 今日はみんな元気なのか、客足が途絶えていた。

 昼間の長閑でアンニュイな午後のことだ。

 芽々はお昼ご飯を食べたあと、やることもなくてストーブの前でぬくぬくしていた。


 そんな時、ラボラトリーのドアチャイムが寒々と音を立てた。


「ごきげんよう……」

「いらっしゃいませ~って、こないだ薬草を拾ってくれた人じゃないですか!」


 あの、長いストレートの金髪に青い目の知的な女性だ。今日は外套を着て、マフラーをしている。雪は降っていないようだが、外は相当寒いみたいだ。


「ティーモです。反国王派の大臣をやっています……」

「ティーモ大臣ですか。私は芽々――いや、私の名前ってご存じなんですよね?」

「ああ。芽々さんの事は良く聞き及んでいます……」

「そうですか! 私って超有名人だな~!」


 芽々は頭を掻いていたが、ティーモ大臣はこちらを無表情で静観していた。

 な、なんだか、美人に見つめられると照れるぜ……!

 芽々が照れて言葉に詰まっていると、奥からエルヴィンが顔を見せた。


「なんだ? お客さん?」

「こちら、ティーモ大臣」

「どうも、エルヴィンさん。それで、今度他国に売るための美容薬を開発してもらいたくて、王都ファンティアのラボラトリーを回っているんですが……」


 美容薬かぁ……! エルヴィンの作った美容薬だったら、私も飲んでみたいな~!

 滅茶苦茶美人になりそうな感じがするなぁ~!


「エルヴィン、どうする?」


 芽々はワクワクしながら隣のエルヴィンに振った。


「エルヴィンさんは、王室付きの調合師だと伺いました。毎月の研究費が出ている以上、断る権利はないはずですが。勿論、報酬も出ますけど……」


 そっと、契約書を渡してきた。報酬は一〇〇万ティアだ。

 芽々とエルヴィンは顔を見合わせてにやりと笑った。


「命令ですか。じゃあ仕方ないな」


 エルヴィンは断る理由がみつからないようだった。

 ちょっと強引な気もするけれど、私もこの条件なら良いと思うよ~!

 エルヴィンは契約書にサインしている。


「それで、今回は他国から輸入した『未完草』を使ってください。あとの、薬草は自由に組み合わせてくださって構いませんので……」

「かしこまりました!」


 久しぶりの研究だ! 滅茶苦茶心が躍るなぁ!

 ティーモ大臣は『未完草』の薬草を配下に持ってこさせて、大袋を隅に三つ積み重ねた。

 そんな時、またドアチャイムの音が鳴った。


「こんちわ。このラボラトリーって王都ファンティアで一番有名だって聞いたんだけど……」


 旅人のような恰好をして、切れ長の目が格好良い。いかにも健康そうに日焼けしていて、この人が病気なんて信じられない。それほどに、物怖じしなさそうなお兄さんだった。


「っ!? うわああああ、何でもないです! 失礼しました!」


 けれど、何かに恐れをなしたように、逃げ帰ってしまった。

 それには、エルヴィンも芽々も呆気にとられた。


「な、なんだぁ? 冷やかしか?」

「な、なんだろね……?」


 一体、何を見て……。旅人のお兄さんが見ていた視線の痕跡を追った。

 見ていたのは――えっ!? ティーモ大臣……!?

 そのティーモ大臣は、厳しい目をしてドアの向こうに去っていった彼を睨んでいた。


「ティーモ大臣……?」

「ああ、すみません……」


 二人は、知り合いなのかな……?

 しかし、芽々はティーモ大臣が引き上げて行った後、その事をすっかり忘れてしまった。

 それほど、他人事で自分には関係ない事だと思っていたからだ。

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