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天才調合師の魔法薬には事情がある!  作者: 幻想桃瑠
★・・・・・・・★*☆*★【第二部◆第一章】★*☆*★・・・・・・・★
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第二話 クリストファー王子と交渉術

 二時間かけてドロップ宮殿に到着した。クリストファー王子かクルーエル大臣に打診して、芽々は材料を分けてもらおうと考えていた。芽々とエルヴィンは王室付きの調合師なので、ドロップ宮殿の出入りも自由にできるのだ。


 最近はレベル大臣も処刑されたので、ドロップ宮殿の中では比較的平和な空気が漂っているようだ。芽々が煌びやかな廊下を歩いていると、向こうから近衛兵を引きつれたクリストファー王子が歩いてきた。


 クリストファー王子は横にいる茶髪の男と会話を交わしている。

 な、なんだか、二人とも難しい顔をしているぞ。話しかけにくいな……。

 芽々が躊躇していると、向こうがこちらに気づいた。


「芽々!」


 クリストファー王子は、芽々を見つけるなり太陽の下を駆ける愛らしい犬のように飛んできた。


「クリストファー様! こんな所でどうされたんですか?」

「芽々こそ、ドロップ宮殿に何の用かな?」


 クリストファー王子はににこにこしている。先ほどの気難しい空気はどこへやらだ。

 よっしゃー! 絶好の機会だ! せっかくだから許可を貰おう!


「私はドロップ宮殿に赤ほっぺ病の特効薬の材料を頂きに!」


 クリストファー王子に両手を差し出すと、クリストファー王子は表情を曇らせた。


「……残念ながら材料はないんですよ」


 そう言ったのは、クリストファー王子の横にいる細目の男だった。彼も難しそうな顔つきだ。


「ええっ、材料がないんですか!? ドロップ宮殿にもないんですか!? ええと……」


 クリストファー王子の横にいる茶髪の彼の名前が分からずに、芽々は困って頬を人差し指で掻いた。

 その細い目の男は、クルーエル大臣と同じような異世界風のスーツを身にまとっているが。もしかして――?


「私は、パトリオットです。クルーエル様の配下である国王派の大臣です。よろしく、芽々さん」


 あ、やっぱり、クルーエル大臣の配下さんか。

 パトリオット大臣は、細い目を更に笑みに変えた。気難しそうな顔をしていなければ、なかなかのイケメンさんだ。

 手を差し出してきたので、芽々とパトリオット大臣は握手をした。


「よろしくお願いします。パトリオット大臣。それで、材料がないって……」

「ああ。今まさに、パトリオット大臣と隣国の『フォルティア王国』の使者と貿易の交渉をしてきたところだ」


「えっと、フォルティア王国……? クリストファー様、その国が何の関係があるんです?」


 異世界の国の事はあんまり知らなかったけど、ファーグランディア王国だけじゃなかったんだな。当たり前かもしれんけど。


「ああ、すまない。説明不足だったな」


 クリストファー王子は苦笑して説明を続けた。


「フォルティア王国には『無窮の森』がある」

「無窮の森……?」


 このファーグランディア王国で言うところの不磨の森みたいな森だろうか。


「そこで、赤ほっぺ病の特効薬の材料が採れるんだ。悪く言うと、そこでしか取れない」


 ええっ!?


「じゃ、じゃあ、交渉ってその材料を輸入させてくれっていうことですか……?」

「ああ、そうだ。流行ってからでは遅いので手を打とうとしたんだが。でも、うまく行かなかった。足元を見られているのか物凄い額を吹っ掛けられてね」


 向こうの国の方が一枚上手だったわけか……。


「そんなぁ……。うちにもお客さんがたくさん来ていて困っているんですよ~。何とかなりませんか?」


 困り果てた芽々に、クリストファー王子は楽しそうに笑った。


「芽々ならこの状況を何とかしてくれそうだがな?」

「ええっ、私が!?」


 な、何を言い出すんだ、この王子様は……!

 芽々は吃驚して手をパタパタと振った。


「無理です! 私に交渉術なんてありませんから!」

「クルーエル大臣とは互角にやりあったと聞いたが?」

「あ、あれは必死だったんです! でも、これはやっぱり無理ですから!」


 前々から思っていたけど、クリストファー王子は滅茶苦茶私を買いかぶりすぎだぞ!?

 急に、パトリオット大臣が笑い出した。


「ど、どうされたんです!? パトリオット大臣」

「いえいえ! クリストファー様が生き生きされているので……!」

「ハァ……? 生き生き? 何か良いことでもあったんですか……?」


 芽々は首を傾げるだけだ。クリストファー王子は大慌てに慌てた。


「パトリオット……!」

「何でしょう?」


 パトリオットは笑いをかみ殺している。


「良いから、行くぞ! ではな、芽々!」

「芽々さん、またお会いしましょう。では、失礼しますね?」

「は、はぁ……?」


 芽々がその場から去っていくとき、パトリオットがしつこくこちらを見ていたので、芽々の頭の中ではクエスチョンマークが無数に飛び交っていた。

 パトリオットには、どことなく烏羽玉先生と同じニオイがする。なんというか、ひとで遊んでいるっていうか――。


 脳裏に十歳ぐらいの生意気で可愛い少年の影がよぎった。芽々はポンと手を叩いた。


「そうだ、アリエンさんに会いに行こう! アリエンさんなら赤ほっぺ病の特効薬をなんとかしてくれるかも!」

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