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天才調合師の魔法薬には事情がある!  作者: 幻想桃瑠
★・・・・・・・★*☆*★【第六章】★*☆*★・・・・・・・★
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第十五話 クルーエル大臣は敵か味方か

「私が、芽々さんにエルヴィンさんを助けるための条件を出したのだよ」


 クルーエル大臣は、飄々として大したことのないような素振りで答えた。


「なんで黙っていたんだ!?」


 案の定、エルヴィンは怒った。


「黙っててゴメン! こっちも必死で!」


 そんな芽々とエルヴィンに、クリストファー王子とクルーエル大臣は試験官のような顔で笑った。


「本当に毒薬を作ってきたらそれで試験は終了で、解放してやるつもりでいた」

「クルーエル大臣、どういうことですか?」

「芽々とエルヴィンが信用できる人物か、クルーエル大臣は試していたのだ」


 私とエルヴィンを試す?

 完全にクリストファー王子をクルーエル大臣が騙しているの間違いじゃないのか?


「クルーエル大臣が魔法薬の材料を持ち出して、クリストファー様と国王様の魔法薬を作れなくしたのはどう説明するんですか!? それに荷馬車屋のノーア社長がガーディアンに一掃されたって言ってましたけど、あれを命令したのはクルーエル大臣じゃないんですか? だって、ノーア社長の持っていた特効薬の作り方とクリストファー様や国王様の解毒薬の作り方と同じ物だった。しかも、作ったことがないような珍しい特効薬がです。ということは、命令したのは同一人物と考えてもおかしくない!」


『私は、運送屋の荷馬車屋を経営している。だからか、不磨の森よりもヤバい区域の採取をある人物から命じられた。断り方が悪かったのか一触即発の空気になった。ついにガーディアンに一網打尽にされてしまったわけだ。なんとか、解毒剤の作り方の調合レシピを手に入れたものの、材料が手に入らなくて作れないと来た!』


 ノーア社長は確かそう教えてくれた。クルーエル大臣はそんな芽々を褒めるように頷いた。


「そうか! ノーア社長に命令したのはおそらく、レベル大臣だ。レベル大臣はあの材料を持ち出して、クリストファー様の特効薬を作れなくした。だから、私が材料を持ち出したように見せかけて、芽々さんたちに教えたというわけだ」

「まじですか!?」


「信じられないのならノーア社長に聞いてみるといいだろう。命令したのが同一人物だとしたら、答えはノーア社長の口から聞けることだろう。近々ノーア社長は、レベル大臣の罪を問うための証人になってもらう。レベル大臣はこれで終わりだ」


 確かに。それがクルーエル大臣なのか、レベル大臣なのか、完全に露呈するだろう。


「証拠を見つけてくれた芽々さんには感謝してもしきれないな!」

「褒めてくださるのは嬉しいのですが。でも、クルーエル大臣が滋養強壮剤をクリストファー様に持って行けと言ったのは? あれは毒薬で、私をはめようとしていたんじゃ?」

「あの、滋養強壮剤には最初から毒の作用を無くしてあった」

「ほ、ホントですか?」


「嘘だと思うなら、アリエンに訊いてみるといいだろう。彼にも工作を頼んでおいたのだからな」

「な、なんだってッッッ!?」


 あ、あのアリエンさんがグルなのかッッッ!?

 芽々の心境は、今まさにブラックホールの中に吸い込まれそうだった。


「危ない薬草を指示して、食べ合わせの悪い料理を出したのは、恐らくレベル大臣の指示だろうがな。確かめようにも主治医と料理人は口を封じられてしまったが」


「じゃ、じゃあ、エルヴィンに毒を盛ったと言ったのは!?」

「あれは、はなから嘘だ。あんな毒薬なんてあるはずがないだろう? エルヴィン君には毒薬なんて飲ませてない。嘘だと思うなら、材料の残りを調べてみると良い」


 もうエルヴィンにばれてしまったから怖いものなしだ。あとで、エルヴィンに調べてもらおう。


「こうでもしなければ、芽々さんは私の事を公にしてややこしくすると思ったんだよ。そうなっては敵わないから、口止めしておいただけだ」

「ええっ!? じゃあ、私は踊らされていたというわけですか!?」


 なんか、ドロップ宮殿って怖いところだな……!


「これは、テストだ。信用を置けるものかどうかを試していた。芽々とエルヴィンの正義感と能力を」

「テストですか!? 私をですか!?」


「ああ。エルヴィン君と芽々さんをな。結果は合格。だから、晴れて二人は本当の王室付きの調合師だ!」

「おめでとう! エルヴィン、芽々!」


 クリストファー王子とクルーエル大臣が拍手し出すと、お付きの人たちが続いて、あっという間に拍手喝采に包まれた。


 しかし、芽々は狐につままれたように素直に喜べなかった。

 エルヴィンと顔を見交わして、芽々は苦笑いするのだった。

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