第九話 特効薬が効かない!? 4 回答編その2
その二時間後、部下その二が帰ってきたのか、ドアチャイムが鳴った。芽々は急いで出迎えた。
外はとても寒いらしい。アリエンと部下その二は外套を着て、手袋をつけていた。
「ただいま戻りました!」
「ご苦労様です!」
「芽々、何か大変らしいけど……」
「アリエンさん、来てくださってありがとうございます!」
芽々が手を合わせてお礼を言うと、アリエンはギョッとして目を瞬かせた。
あ、あれ? 私、悪いこと言ってないよな? アリエンさんってさん付けしたし……。
「そ、それで、用って?」
アリエンは、半眼のまま顎を上げて言った。
ああ、いつも通りのアリエンさんだな。
芽々は、アリエンに駆け寄って、調合レシピを取り出した。
「これなんだけど!」
『『露出病の特効薬』は『フクフク草五〇〇グラ』を『アルコール一リト』で『成分抽出』成功率百パーセント』
アリエンは手袋を外して、ポケットにしまった。そして、その調合レシピを受け取った。
「これが……?」
「ねえ、アリエンさん! フクフク草って、もしかして『毒草』なのかな!?」
「えっ?」
芽々の勢いに、アリエンは面食らっている。
「ど、毒草!? 特効薬がですか!?」
フームス隊長の部下たちもびっくりしている。
魔法薬のレシピに毒草が出てきたからかもしれないが。
「だからね、三人とも、『毒が効かない』なら、フクフク草が『毒草』なら特効薬が効かないのもうなずけると思ったの!」
アリエンは、目を瞬いていた。
「違うかな~……?」
不安そうな芽々にアリエンは満足そうに微笑んで首肯した。
「ああ、フクフク草はアルコールに浸すと、微量な毒の成分が出てくる。人体には影響がないけど、その毒の成分が露出病の病原菌を殺菌すんだろうな」
「な、なるほど~」
「魔法薬って奥が深いんですね~」
部下その二も部下その三も感心している。
やっぱり……!
三人は、『毒が効かない』から、『毒の成分が特効薬』の魔法薬が効かないんだ!
芽々の心の絡まった糸が、するりと解けた感じがした。
「流石、アリエンさん! なんで、三人に特効薬が効かないかよく分かったよ!」
「でも、分かったところでどうするんだ? 特効薬はそれしか作り方がないんだろ?」
アリエンは、呆れたように笑っている。
そ、そうだった!
またしても、魔法薬作りは頓挫してしまったのだった。




